暴飲暴食の果てに「酒呑おやぢ始末記」

Crab走某日、夫と共に渡米する友人を囲む壮行の会。風邪気味ながら、ひれ酒なら大丈夫だろうという根拠なき理由で杯を重ねる。本城さんの料理が旨いから飲み過ぎるのだ、などと嘯き、甘い自己弁護を抱きつつ2軒目に向う。風邪気味だというのは気のせいだったのかと思いつつ、あらためてビールを飲み、ワインを飲む。もちろん、酔ったからこその錯覚であり、風邪と相まって深酔いす。つくづくおバカである。

Moet走某日、前月に香港でご一緒した仲間と反省会と称して飲む。前日の痛飲の名残と睡眠不足を自覚し、途中で睡魔に襲われるであろうことを妻に宣言しつつ友人宅を訪問。友人の手料理を堪能し、泡モノを楽しむ。気の置けない仲間たちと愉快なひとときを過ごし、居心地の良さと美味しい料理に油断し、ついついグラスを重ねる。結果、予想以上の早さで眠気に取り込まれ友人宅のソファで爆睡。言うまでもなくバカである。

niemon週の風邪が抜けたのを良いことに飲み続けた週末。前職の同僚と「魚の寄り処 てとら」に向う。店主ジローさんの笑顔と「黒龍 二左衛門」という希少な酒と、飲んべ仲間に乗せられて杯を干す。ここは、飲んべ殺しの肴、きときとの魚に溢れた居心地の良い店。小さな店なのに豊富な酒に喜ばされた店。その度に喜び過ぎて、帰宅後に風呂の中で爆沈したのは、思えば何かの予兆だったのか。にしても、学習しない男である。

Foo走某日、渡米する友人の何度目かの壮行会。「広東料理Foo」にスカッシュ仲間が参集。絶品の海鮮、焼物をつまみにワインを味わう。中華ビストロを標榜する店だけあってワインの品揃えがツボ。勝沼醸造アルガーノのボトルを何度も追加するも、あっという間に蒸発する神の水。すると、甚だしく酩酊する者あり。それをも笑い散らす楽しき宴。人の振り見て我が身を省みつつ、痛飲。畢竟、学習はしておらぬということ。

SQ&KARA走某日、渡米する友人の最後の壮行会。朝からスカッシュ、昼からカラオケBOXに籠るという健康的なのか不健康なのか判じ難い会。延々と歌い、飲み、泣き、笑って7時間。短期間に数えきれぬ酒宴をこなした友人は、さすがに飲酒せず。前々日に予定していたお気楽夫婦との酒宴も延期した程、胃腸疲労蓄積の模様。思えば、彼女の事例を他山の石とせず、自らの消化器官を労るべきだったと、今なら分かる。今なら。

Asighn走某日、つまらぬ芝居を観て、幕間に小屋を抜ける。1幕が終わった瞬間、唖然として妻と互いを見交わす。妻も同様の思いと判り、安堵し泡盛酒場へ向う。年間10数本は観る芝居の中には、このような作品もあろうかと零しながら泡盛の杯を重ねる。酔う程に憤りが解け、気持が柔らかくなっていく。これぞ酒の効用なり。だから酒は有り難い。酔い気持でシモキタの街を彷徨い、アドレナリン増大。浮かれた夜に痛飲。

NewYorkBar走某日、忘年会の名目で甥の素行確認。が、甥が寝坊で約束の時間に未着。若い頃には良く寝たなぁなどと感慨に耽っていると、妻は即刻延期と手厳しい。ではと、ニュヨークバーに向う。何か良いことがあった時、決まってこの店から夜景を眺め乾杯をした。暫く良いことがなかった訳ではないが、久しぶりの再訪に驚きつつ乾杯。やはり良い店だ。美味しい酒だ。と、ついつい杯を重ねる。寝坊の甥に感謝。そして深酒。

Benichiみ食べ続けた師走を経て、妻と義父母と共に穏やかな年末年始を過ごしつつ、独り飲み続ける。日中から湯上がりのビールを飲み、早朝から学生たちの襷リレーを眺めながら辛口の酒を飲む。これぞ至福の時。そんな幸福気分を引きずったまま、仕事始め。自宅での仕事も順調に終え、いや順調だったばかりに、つい昼酒。前々日の惣菜の残りをつまむ。ん、うまい。幸せは続く…と思っていた翌朝。悲劇は太陽と共にやって来た。

まらぬ下痢。病院に行こうにも、断続的にやってくる噴火の兆し。大小の噴火が数時間続いた後、大逆流した上に、大量の冷や汗。思わず踞る。撃沈。便座に口づけし、便器を抱擁することしばし。我に帰り、シャワーを浴び、死んだように眠る。ようやく快復の兆しを感じ、白湯を飲む。そこで再度ブラックアウト。

ンゴ買ってきたけど、食べられそう?」帰宅した妻の声は、心なしか普段より優しい。せめてもの救いだ。禁断の果実の瑞々しさが、甘さがありがたい。食べられることの喜びを味わう。そして、自分の愚かさを呪い、食物の尊さを讃える。

方、ビールのCFを視ても飲みたいと思わない。料理番組を視ても食べたいと思えない。驚いた。これは悲しい。実に淋しい。らしくもない。

して、体力も快復した3日後。酒呑童子ならぬ酒呑おやぢの行動は…。

妻が娘に戻る街「浜松での日々」

ShinkansenPotateChips事納めの日の夜、東海道新幹線で西に向かうお気楽夫婦。おつまみやビール、ワインを買い込みご機嫌の私。その隣で妻がにこやかに微笑む。2人だけの新幹線宴会を単純に楽しんでいるだけの私とは違い、妻の表情は穏やか。どうやら数時間前までの仕事モードを脱し、プライベートモードに入ったらしい。そして、彼女の生まれ故郷、浜松が近付くにつれ更に表情が柔らかくなる。一人娘である妻。2人きりで暮らす両親を思い、可能な限り帰省しようとスケジュールを調整する。中でも年末年始に両親と過ごすことは、妻にとっては大切な時間。義父母も妻の帰りを楽しみにしているのが分かる。年の瀬が近づくと互いに電話でやり取りし、日程を確認する。一緒にいられる時間を味わうように過ごす年末の日々。

Oyako1Gokigen父母の住むマンションのドアを開ける。「ただいまぁ〜♡」妻が彼らの娘に戻る。「お帰りぃ〜」ちょっと照れたように義父母が迎えてくれる。新幹線は混んでいた、やはり浜松は風がないと暖かい、おぉっ珍しい地ビールが冷えている…などと、短い親子の会話を埋めるように、ことばを継ぐ私。親子3人が作る空気の中に入るために、気持を整える。彼らが普段なら食べないおつまみを買っておいてくれる。毎年、早々に年末の温泉宿を予約してくれる。私が大好きな「割烹 弁いち」のおせち料理の予約も忘れない。「今年のホテルは楽しみだねぇ」と妻。去年は予約できなかった人気の宿、新築されたばかりの「ホテルウェルシーズン浜名湖」の別館、ガーデンコート。浜松の奥座敷、浜名湖畔に広がる舘山寺温泉のリゾートホテルだ。

AwabiOmar年、夏が過ぎた頃に義母から連絡が入る。「今年はウェルシーズン取れたよ」毎年、年末にどこに泊まろうかと楽しみにしながら宿を選んでいる義父母。ふだんは質素に暮らす彼らの、年に1度の贅沢。「すっきりしてるし、広いし、良い部屋だね」前年に宿泊したかったのに予約できなかったことを知っている妻が、気遣いも込めた感想を口にする。「さぁ、お風呂に行こうか」珍しく積極的な義母。母娘揃って大浴場に向かう途中、義父を伴い親子3人揃って記念撮影。4人の旅での私の役割はカメラマンであり、宴会での司会者であり、添乗員。彼らが楽しめるように、リラックスできるように、でしゃばらず、傍らに寄り添う。「このアワビ、柔らかくて美味しいねぇ〜」「オマール海老も美味しいよ」メイン料理の皿を取り替え、それぞれを味わう。

Osechi2Osechi年泊まるのも、このホテルが良いらしいよ」妻から義母の早々の感想を報告され、ホッとする添乗員。妻も心から嬉しそう。昨年の東日本大震災、さらには自分の足の怪我などの経験から価値観が変化したという妻。仕事に対するスタンス、友人たちとのネットワーク、そして遠く離れて住む両親の存在。何をどのように優先するべきか、何を優先することができるのか。幸いなことに、これまで大病なく過ごしてきた義父母。けれど、限りある時間の中で、義父母に何かがあったら自分たちにできることは何か。早々に住宅ローンを完済するなど、できるだけ経済的に身軽な状態になって、もしもの時に備えたい。選択肢を広げておきたい。そんなことを話し合い、実行してきた妻と私。そんな思いがさらに強くなったという一人娘たる妻。

せち料理はやっぱり弁いちさんだよねぇ」温泉旅行の帰路、割烹 弁いちに立ち寄りおせち料理を受け取る。幸福に重い二段重。これで年末の恒例行事は全て無事に終えた。そしていつものように穏やかな正月を迎えることができた。お雑煮を作り終えた私も、その役割を終え、朝から飲みの体制になる。良い年を迎えられた。そして…見事に飲み過ぎた。

うもお疲れさまでした。ありがとうね♫」帰路、新幹線の車中で乾杯するお気楽夫婦。往路と同様に、おつまみ、ビール、ワインを買い込んで、ご機嫌の私。そして、妻からのひと言が、妻の故郷浜松で私が過ごした時間への何よりの報酬。明日への大切な貯金。そして…またもや飲み過ぎた私!

…こんな2人を、今年もよろしくお願いいたします♫

今年はご近所クリスマス「ホームパーティの夜」

A HamA X'masSalade2011年は波乱の1年だった。忘れられない、忘れてはいけない1年だった。3月11日の大震災で、多くの人の価値観が変った。人生観が変った。人と人とのコミュニケーションのあり方が変った。そして、お気楽夫婦にとっても大きなできごとが起きた。6月に妻がアキレス腱断裂。松葉杖生活が続き、健康でいること、身体がきちんと動くこと、好きなスポーツを続けられるありがたさを再認識した。そして、リアルの関係がFacebookによって増幅され、友人たちとのネットワークが広がり、深まった。これから先、どのように日々を過ごしたいか、どんな生き方をしたいか、大袈裟に言えば、そんなことを考えさせられた1年だった。そんな波乱の年も終わろうとしている。

X'masChikenは言え、お気楽夫婦は所詮お気楽である。2人で、あるいは仲間と一緒に、美味しいものを食べること、スカッシュやジムで汗を流すこと・・・それが日々の生活の中で大切な時間。年長のスカッシュの仲間に「エンゲル係数が高い」と揶揄される。家計支出の中で生命維持のために削れない飲食費が占める割合を示すエンゲル係数。係数の高さによって生活水準を計るというものだから、用法として間違っているとは思うが、係数が高いのはその通り。例えば、12月を振り返ってみた。12月29日現在、夕食を外で食べた(飲んだ)回数は、なんと29回のうち27回。わが事ながら呆れ返った。なんてこった!それ以外は、ピザとサラダのデリバリで済ました日が1回。残る1回は・・・曲がりなりにも料理を作った12月24日、ご近所に住む友人夫妻と共に過ごしたクリスマス・ホームパーティの夜だった。

DaikonSteak画の発端は、ご近所のフランス伝統菓子の店「ル・プティ・ポワソン」のクリスマスケーキを予約したことだった。若き菓子職人、小林良ちゃんが作るのはブッシュ・ド・ノエル。彼女が生み出すケーキは絶品ながら、ブッシュ1本ごを2人で食べるには多過ぎ。そこで、4人で食べるならちょうど良いのではと、ご近所の友人夫妻をホームパーティにお誘いしたところ快諾。彼らもお気楽妻もお酒は飲めない。4人で外食する際には、ひとり酒の私。そしてご近所の友人(夫)はスイーツ好き。プティ・ポワソンのオトナのチーズケーキ、オトナのシュークリームも大好物。当日のメニューを相談したところ、やはりご近所の「スモークハウス・テラ」でハムを買ってきてくれるという。チキンは毎年クリスマスには大行列の人気店、ご近所の鶏肉専門店で。では、サラダでも作ろうかと検討していたタイミングで朗報。スカッシュ仲間がFacebookでクリスマスリースのサラダのレシピを公開。これだっ!

X'masCakeースのサラダは、オリジナルレシピをアレンジ。皿に鯛のカルパッチョを敷き、周囲にサラダを盛り付ける。鮮やかなグリーンのワサビ菜やベビーリーフと一緒に和えたのは、ホタテの貝柱、茹でたエビ、プティトマトなど。ワサビ菜のボリュームが立体的に飾れて良い感じ。リースに見えるように、彩りのバランスに注意しながら、最後にフェンネルを飾り完成!なかなかの出来映え。料理は見た目が大事。「うわ~!美味しそうだねぇ!」ご近所の友人が作って持参してくれた牡蠣のスモークもリース風に盛り付ける。今年一年お世話になりました、乾杯!独りスパークリングワインを、残る3人はジンジャーエールでグラスを交わす。それにしても、近所に気の置けない友人夫妻が住んでいることは心強い。妻の入院した際には見舞ってくれた。松葉杖生活の際にもマメに顔を出し、料理などを差し入れてくれた。何度か到来物を互いにお裾分け。そんな2組の夫婦でのんびり料理を味わい、語り、笑った。

日の料理はなかなかの出来だったね」と上から目線ながら、妻から珍しくお褒めのことば。料理を作ったのは私だが、料理を指導したのは妻ということらしい。いつもの役割分担。まぁ、それも良し。ご近所の食材で、ご近所の友人夫妻と過ごしたクリスマス。しみじみと楽しく、じんわりと美味しく、じわじわと幸福を感じる時間だった。

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SINCE 1.May 2005