ホテルで暮らす日々「グランドハイアット シンガポール」

ベッドルームバスルームテルのスイートルームのように、生活感がなく、すっきりとしていて、けれど機能的で、…それがお気楽夫婦の目指す住まい。東京ではなかなか実現できないそんな理想の生活を、旅先で束の間叶える…それがお気楽夫婦のヴァカンス。けれど、正価でスイートに宿泊する経済力はない。そこで活躍するのが、ハイアット・ゴールド・パスポート。各地のハイアット系ホテルの宿泊で貯めたポイントを使い、アップグレード。これがかなりお得なのだ。例えば、シンガポールのグランドハイアットは、スタンダードルームの正規料金相当+6,000ポイントで、4連泊までスイートにアップグレードが可能。今回は、42㎡のグランドツインルームが、書斎、広〜いリビングダイニングルーム、キッチン、ウォークインクローゼット、お気楽夫婦宅のバスルームより大きなシャワーブースなどがある108㎡のコーポレート・スイートに変わった。

書斎からリビングルームを望むダイニングからベッドルームを望む食はグランド・クラブ・ラウンジで。もちろん、無料。1泊目の朝にルームナンバーと名前を確認されると、その日の夕方のカクテルサービスからは「こんばんは、Mr.IGA!」という挨拶で迎えてくれる。朝食の後は、フィットネス・センターへ。これも無料。まず、たっぷりと時間をかけてストレッチ。その後はトレッドミルやクロスウォーカーなどのカーディオ系のマシンでたっぷり汗を流し、軽く筋肉トレーニング系のマシンで戯れる。クールダウンのストレッチの後はシャワー&ジャグージ。スカッシュコートがある場合(このホテルは本格的なバドミントンコートがある)は、トレーニングがスカッシュに変わる。2人はストイックな訳ではない。普段よりもたっぷり食べる朝食を消化し、さっぱりと汗を流した後の美味しいランチ、そして美味しいビールのためのジム通い。

グランドハイアット 中庭のプール本格的なバドミントンコートンチは、プールサイドで…という場合が多いが、シンガポールは(香港と同様に)美味しいレストランの多い街でもある。お目当ての店、お目当ての料理をチョイスして、ちょっとだけお出かけ。そのついでに、少しだけ観光。お土産だけの買物。そして夕刻にはホテルに戻り、クラブラウンジで食事。ラウンジでの食事、飲み物(ビール、ワイン、ソフトドリンク等)も当然無料。小食の2人は、何種類かのオードブルをつまみながら乾杯し、何種類かのホットミールを食べ、のんびりワインを飲みながらチーズとバゲットを食べれば、もう充分。その後、デザートを少しだけいただき、部屋に戻る。「おやすみなさい、Mr.IGA!」というスタッフの声に送られながら。

ウェルカムフルーツ&ワイン、ショコラクラブルームでの夕食っとこんな生活したいなぁ」滞在最終日、妻が呟く。確かに、この生活は妻の理想。好きな時間にたっぷりと朝食を取り、歩いて行ける場所にフィットネスクラブがあり、プールサイドでランチを楽しみ、ゆったりと読書をし、顔馴染みのスタッフと話をしながら軽い夕食。気が向いたら美味しい食事を求めて街に出かけ、買物をする。…けれど、毎日そんな生活はどうかなぁ。2人でひ〜ひ〜仕事をして、年に何度かのホテル暮らしだから良いんじゃないの?まだまだ働かなければ経済的にも無理だし。「でも、こんな生活が良い♬」はいはい。

年のヴァカンスも楽しかったね。あの料理美味しかったなぁ。きっと、旅から帰った後にも、2人で記憶を反芻し味わう。今年の夏はどこに行こうか?どのホテルに泊まろうか。きっと、来年もそんな話題になる。毎年の短いヴァカンスの日々を重ね、積み重なった記録と記憶を掘り返し、手に取って眺めながら、それぞれを楽しむこともできる。…こうして、お気楽な日々が過ぎて行く。

天空のプール「マリーナ・ベイ・サンズ」シンガポール

天空のプールマリーナベイサンンズ全景模型空の…という、安直で手垢が付いた表現は、本当は使いたくはない。けれど、このプールに関しては、それ以外に表現のしようがない。地上200m、57階建てのホテルの上に、それも3棟のホテルの上を繋ぐ、天空を翔る船のような姿の、長さ150mのインフィニティ・プール。初めてその画像を見た時に、これは行かねばなるまい、そう思った。シンガポールのマリーナ地区の南側、マリーナ・ベイ・サンズという巨大なリゾート施設が(一部)完成した。開発したのはラスベガスに本社を持ち、マカオなどでもカジノを中心としたリゾート施設を運営するラスベガス・サンズという会社。ホテル以外にも、カジノ、コンベンションセンター、ショッピングセンター、ミュージカルシアターなどの複合施設ができ、国際的なMICE(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition)すなわち観光だけではなく、ビジネスツーリズムの誘致を狙うシンガポールの戦略。日本はここでもすっかり遅れを取っている。

マリーナベイサンズ全景室内からの眺望室数2,560。お気楽夫婦の嗜好からは、大きく外れる巨大ホテル。けれど、天空のプールを利用(見学だけなら宿泊客以外も可能)するには、宿泊しなければいけない。サービスに関しては期待せず、スケジュールを変更し予約を入れた。案内された部屋は開発中の公園と貨物船の浮かぶ風景が見える“シービュー”。すかさずマリーナベイビューに変更。「このホテルのウリはビューしかないんだから」チェックインで不快な思いをした妻がぶつぶつ。新たに用意してもらった部屋は、大きな窓から心地良い風景が広がる。妻のご機嫌も直り、待望のプールに向う。そして、その絶景にご対面。凄い、というよりも、何考えてこんなものを造ったんだ!という風景。水がそのままマリーナベイに流れ落ちてしまうような、青空に浮かび、ベイサイドの摩天楼群を見下ろす、オープンエアの巨大なプール。高いところが大好きなお気楽夫婦。くらくら、わくわく、見飽きることのない快感の眺め。

巨大なカジノ水路もある巨大なショッピングセンターいて、ホテルから直接アクセスできるカジノとショッピングセンターを見学。カジノに向う途中には、Van Cleef & Arpels、BVLGARIなどのショップ、キャッシュディスペンサーが並ぶ。カジノで勝っても負けてもお世話になる施設が、分かりやすく配置されている。そして、旅行客はパスポートを見せ(無料)、地元住民は有料でカジノに入場。金ぴかの内装、巨大な吹抜、周囲には何層にも重なる賭博場。まるで『スターウォーズ』に出てくる銀河共和国の大会議場。内部には最新のマシーンが並び、(ほとんど中国人と思われる)多くの客が溢れる。場違いのお気楽夫婦は早々に退散。施設内に造られた水路に船まで浮かぶ、これまた巨大なショッピングセンターに向う。工事中の店舗も多い中で、一部は営業中。昼時はテイクアウトの屋台に従業員が並ぶ。香港や上海でも見慣れた風景。高級ブティックのSCと、数百円相当のランチのギャップが際立つ。

巨大なペッパークラブを喰らう満腹である食はシーフード食べたい!」ということで、妻の綿密な事前調査でチョイスされた「無招牌海鮮(No Signboard Seafood)」エスプラネード店に向う。看板のない海鮮の店という名の超有名店。夕刻には夜景が眺められるテラス席まで大勢の客で溢れる。妻が食べたかったのは、ペッパークラブ。シンガポールの海鮮と言えばチリクラブが有名だが、この店はペッパークラブがおススメだという。シングリッシュでまくしたてる店のおばちゃん相手に、妻が奮闘しオーダー。そして、運ばれてきたのは巨大なカニ。満席の店内、周囲の客が好奇の目で覗き込む。「あの2人、あんな大きなカニを2人で食べるのかしら」という眼差し。「計算間違えちゃった!」というオーダーした妻に料金を聞くと、納得。「量」だけではなく、「価格」でも興味を持たれたらしい。味はと言えば、ぴりっと利いたペッパーがカニの旨味を引立てる美味。流れる汗を気にすることなく、小食の2人ながら意地で完食。

マリーナ地区全景ベイサンズの花火腹のお腹を抱えて店を出ると、マリーナ・ベイ・サンズをはじめとした高層ビル群の夜景が2人を迎えてくれた。うぅ〜ん、きれい、素晴らしい。絶景に唸る2人。と、突然複数のビルの屋上からレーザー光線。そして花火。香港のシンフォニー・オブ・ライツのような一大イベント。花火は貧弱ながら、なかなか見応えのある風景。けれど、その割には観客も少なく、何となく始まり、何となく終わってしまう。あれ?拍子抜けしながら街を散策。マリーナ地区の至る所に点在する巨大なショッピングセンターを巡る。香港に比較すれば、安全で、健全で、清潔な街だ。

「もうちょっと毒があった方が、街としては魅力が出るよね」ふふっ。男も同様。適度に毒があった方が良いのだ。「あなたには、毒はあるけど、アルコール(酒)で消毒してるからなぁ」妻の評価はいつも厳しい。

恋に落ちたリゾート「カペラ・シンガポール」

カペラ外観カペラ室内ンガポールが凄いことになっている。そんな情報が入った。マレー半島の南端、国土面積707㎡、琵琶湖とほぼ同じ広さに、470万人の人々が住む都市国家。アジアでも有数の経済発展を遂げ、1人当りのGDPは日本を抜きアジアのトップ。欧米諸国の多くの企業が、アジア太平洋地域での本社機能をこの街に持つ。いち早くアジアのハブ空港を目指してチャンギ空港を開港。金融センターとしては、NYC、ロンドン、東京、香港、パリに次ぎ世界6位にランキング。ここまではお気楽夫婦には余り関係のない話題。ところが、そのシンガポールが、観光資源の開発にも乗り出した。シンガポールの南に位置するセントーサ島に巨額を投じたリゾート開発を行い、ホテル、カジノ、テーマパークなどを建設しているというのだ。加えて、マリーナ地区の再開発を行っているとも言う。これは行かねば。

部屋からの眺望3つのプール南アジアのアイランドリゾートも一巡し、昨夏の香港に続くアジアのアーバンリゾート訪問として選んだシンガポール。お気楽夫婦が最初に向ったのは、セントーサ島に昨年オープンしたばかりのホテル、カペラ・シンガポール。チャンギ空港からタクシーでセントーサに向う。途中、開発中のマリーナ地区を横目に観ながら、高速道をノンストップで20分余り。島とは言いながら、シンガポールからわずか800m。車でも、モノレールでも、ロープウェーでもあっと言う間。こぢんまりとしたロビーでチェックインをしていると、ウェルカムドリンクを薦められ、モエ・エ・シャンドンを立ち飲み。ゼータク!というか、だったらソファでチエックインでも…。日本人スタッフに案内されて中庭に出ると、息を呑むような景色が広がる。コロニアル調の建築の真っ白なタナメラ棟、美しいアールを描く近代的な建築のレンガ色のホテル棟。プールを見下ろすテラスには、デイベッド付きの席があるバー。セクシー&ラグジュアリーな、お気楽夫婦をくすぐる空間デザイン。その瞬間に、2人はこのホテルとの恋に落ちた。

ベランダのプライベートジャグジーベランダでランチ気楽夫婦が予約していたのは、全館で4室だけのコンステレーションルーム。最上階の角、アウトドアジャグジー付きのバルコニー、オーシャンビューのバスルーム、天井が高く2面採光の明るく広々とした部屋。バルコニーから見下ろす風景は、3つのプールを配したガーデン、プールサイドのレストラン、バー、敷地内に点在するヴィラ、それらを取り囲む(人の手の入った)熱帯雨林、そして(リゾートっぽくない)貨物船が停泊するシンガポール海峡とインドネシアの島々。室内には大型の液晶テレビ、i-pod対応のオーディオシステム、(アルコールは入っていないが)冷蔵内のドリンク無料サービス。ライブラリーでは午後のハイティ、夕方からカクテル無料サービスなど、至れり尽くせり。24時間利用可能なジムなどをチェックし終えた妻は、「このホテルから出ないよ!」と早々に宣言。

24時間利用可能なジムデイベッド付きのバー宿泊初日。チャイニーズレストラン「カッシア」での夕食後に、「ザ・ライブラリー」へ。文字通り、AVソフトの貸出、写真集などの閲覧、インターネットサービスなどを行うと同時に、夜はカクテルサービスを行っている宿泊者専用のスペース。ゆったりと落着いたコロニアル調の室内。夕食時に満腹だと言いながらデザートまで平らげたのに、ここでさらに妻はコーヒーとスイーツ、アル中の私はデザートワインをいただく。ふぅ。余りに好みとぴったりの建築、インテリア、調度品などのデザインに浮き足立つぐらいに興奮していたお気楽夫婦。ここでようやく落着いてホテルライフを楽しみ始める。そして2杯目のワイン。ふぅ♡、身体に沈殿したストレスがゆっくりと抜けていく。デイベッドのある“まったりセクシー系”のボブズ・バーやジムを眺めながら部屋に戻る。どの場所からも、どの角度からも、建物が美しく見えるのは恋に落ちてしまった者の弱み。

XO醤とアミューズ美しいギョーザテルに求めるモノは人によって異なる。ホテルの選び方もその目的によって変わる。そして、選んだ部屋のタイプ、選んだレストランとメニュー、滞在中の天気、受けたサービスによって印象や評価が変わるのは当然。ホテルでの滞在そのもの、そして滞在中の心地良さを旅の目的としているお気楽夫婦。だからこそホテル選びには万全を期す。情報を収集する。想像力を働かせる。そして、このカペラを選び、実際に滞在し、恋をした。人によってはC/Pの悪い(高い)ホテルという評価かもしれない。サービスに繊細さが足りないというかもしれない。けれど、恋をした者たちは強い。恋愛に慣れている2人は決して盲目にはならないけれど、許すことができる。

日からのホテルをキャンセルして、ここにずっと延泊するってのはどうかな」妻の冗談めいた呟きが、お気楽夫婦の評価だった。

■お気に入りホテルカタログ カペラ・シンガポール

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SINCE 1.May 2005