ご当地グルメ「浜松餃子とバゲットと」

浜松ギョーザ当地グルメ、それも自らB級グルメと名乗って、地元で人気の料理でまちおこしを!というブームが起きている。数年前、静岡県の富士宮焼きそばに、福岡県の小倉焼うどんが挑んだ「天下分け麺の対決」が先駆け。その後、B-1グランプリというB級グルメの一大イベントに発展し、横手焼きそば、八戸せんべい汁、駒ヶ根ソースカツ丼、厚木シロコロ・ホルモン、静岡おでんなど、次々にご当地グルメが脚光を浴びた。妻の両親が住む浜松でも、浜松餃子が人気。ある日、浜松餃子の老舗「石松」に向かうと、店の前は長蛇の列。駐車場にさえ入れない。「凄いねぇ。前はこんなじゃなかったのに、店もすっかり大きくなったねぇ」と義母。地元の人さえ驚く人気ぶり。恐るべしB級グルメブーム。空腹の妻は「他に行こうか」とあっさり言い放つ。

ポスター五味八珍れど、餃子好きの私としては諦めきれない。「TVで観たんだけど、五味八珍という店が浜松餃子のほとんどを工場で作っているらしいよ」と妻の情報。そこだ!「五味八珍」という店は、いわゆるファミレス。餃子以外に、つけ麺あり、ラーメンあり、チャーハンありの、浜松市を中心として50店舗ほどあるフツーの中華系チェーン。けれど、侮れず五味八珍。名物の浜松餃子が12ヶで480円!まさしくファミレス価格。これが実に美味しいのだ。キャベツたっぷりのヘルシーな餃子を丸く並べて焼き、中央にもやし。あっさりとした味で、いくつでも食べられそう。「あら、さほど期待してなかったけど、美味しいねぇ♫」妻も満足そうに微笑む。餃子はお気軽で身近な料理。ファミレスで満足できる味なら文句なし。妻の両親もリラックス。

ブランジェリースギヤマ外観ブランジェリースギヤマ看板は行きたいパン屋があるんだよね」浜松滞在中のある日、妻が呟いた。浜松まで来て、妻がわざわざ行きたいパン屋とは、最寄り駅の近くにあるブランジェリー・スギヤマという小さな店だった。真っ白な壁、赤いテント地に白くBoulangerie Sugiyamaの文字。入口の扉を囲むように大きな藤棚。店のロゴもきとんとデザインされ、藤棚の影とともに白い壁に映える。いかにも美味しそうな予感が漂うキュートな外観。店の面構えは、大切だ。「うぅ〜っ、どれも旨そうだぁっ」小食なのに、パンに対してだけは異常な執着を持つ妻。なかなか決められない様子。4人分なのだから、妻の食べたいものを全部選んで、分けて食べようと提案すると、狂喜乱舞。パンのことになると単純明快。

小さな食パン?ブリオッシュベーグルが選んだのは、食パンのミニチュアのようなブリオッシュ、小豆入りのベーグル、シェル型のクリームパン、バゲットなど。「嬉しいよぉ♬」さっそく持帰り、4人揃ってランチ。ブリオッシュはサクサクと香りが豊かで上品。ベーグルはもっちりと、そして小豆の甘さが実に繊細にパン生地に馴染む。クリームパンはしっとりと、そしてこってりと濃厚なクリーム。私好み。バゲットは表面カリカリと、中の気泡も充分。妻好み。いずれもきちんと小麦の香りと味がして、実に丁寧に作っていることが伝わって来る。そしてパンの形やネーミングにパンが好きでたまらないという気持も伝わって来る。ん〜これは素晴らしい。

シェル型クリームパンぱりぱりのバゲット「こんなパン屋が近くに欲しいよぉ」涙ぐまんばかりの妻。彼女に言わせると、美味しいパン屋があるかどうかは、その街の文化度を測る物差しだと言う。確かに、それは一理ある。ご当地グルメも良いけれど、自分たちの住む街にこんな美味しいパン屋があったらかなり嬉しい。きちんとしたコンセプトを持った棚のある本屋、ゆったりと落ち着いたソファで美味しいミルクティが飲めるカフェ、美味しい酒と料理を組み合わせてくれる料理屋、そして妻のためにハード系パンが得意なパン屋がある街。そんな街に2人で住めたら良いね。「それに気持の良いスポーツクラブもね」と妻。すると、浜松でまだ見つけていないのは、カフェと本屋…。浜松移住計画までの道程は長い。

それぞれのマリアージュ「日本料理 三須」浜松

前菜盛り合せ十四代七垂リアージュ(mariage)とはフランス語で結婚。そして、ワインと料理の組合せもマリアージュと呼ぶ。つまり、ワインと料理がお互いの味を引立て合い、“素晴らしい”組合せになり、結ばれるという肯定的な使い方。結婚を全て素晴らしい組合せと呼ぶかどうかは異論はあるだろう。しかし、酒と料理の組合せに好みがあるように、男と女の組合せ、夫婦の組合せもそれぞれ。そして、その組合せを合うと思うか、合わないと感じるかの基準もそれぞれ。GW期間中のある日、お気楽夫婦と妻の両親という2組の夫婦で、1組の夫婦が営む日本料理屋を訪れた。

椀ものDASSAIの両親が住む静岡県浜松市。バリアフリーの住環境を求めて長年住んだ一軒家を売却し、私鉄沿線の駅にほど近いマンションに移り住んだ。そのお隣の駅近くに気になる店があった。店の前には「日本料理 三須」と控えめな看板。駅に近いとは言え、住宅地の中にある料理屋。身近なような、敷居が高いような、微妙なオーラがある。2日前までに予約して欲しいとのWEBサイトの案内を知りながら、当日の朝に予約の電話をしてみる。すると、しばし間があったものの「お待ちしております」との回答。脚の悪い義母のためにカウンタの席をとお願いすると、大丈夫とのこと。まずは安心。

刺身盛り早瀬浦約の時間にやや遅れて店に入る。入口でこぢんまりとした店のほぼ全てが見渡せる。落とし気味の間接照明、すっきりとした白木のカウンタ。好感の持てる楚々とした佇まい。カウンタのコーナーに飾られた凛とした花が、決して広くない空間を和らげている。他に客はいない。もしかしたら、GW期間中でお休みの予定だったのか。「いらっしゃいませ」と、おかみに迎えられる。カウンタに座り、飲み物を尋ねられる。飲むのは自分だけで他はお茶をいただくと告げる。メニューはないが、どのような酒が好みかと聞かれ、おススメの日本酒をお願いする。急な予約を詫びると挨拶に現れたご主人が「お休みにしなくて済みました」とはにかみ笑う。やはり(汗)恐縮ですと返す。

餡かけ焼物四代はお飲みになったことはあると思いますが、純米大吟醸の七垂二十貫というお酒があります。最初にいかがでしょう」はい、お願いします。この店も「割烹 弁いち」と同様に、料理に合わせてお酒をお任せするのが最善の店と直感した。弁いちと違うのは、やり取りの全てがおかみ相手だということ。何度か顔を出すものの、短い会話を交わして厨房に戻るご主人は料理に徹し、接客と酒を薦めるのはおかみの役割という分担らしい。聞けば、口数の少ないご主人は、それでもその日は初対面にも関わらず良く話をしているという。ウチもコミュニケーション担当と、酒を飲む担当は私だと笑う。

タケノコご飯デザート理に徹するご主人が作り出す品はどれも繊細で美味。おかみの薦めてくれる酒との組合せも素晴らしい。口数の少ない妻の両親も、他に客がいないこともありリラックスして食事ができ、ご近所ということもあり話も弾んでいる。そんな食事の風景が嬉しい余り、薦められるままに3種の酒を飲む。どれも絶品。酒は料理との組合せで旨くなる。食事の相手、接していただく相手で旨くなる。男と女、酒と料理、どちらが酒でどちらが料理か分からないけれど、組合せ次第で互いが活きる。「酒があなたに決まっているじゃない。そんなに酔っぱらっちゃって」と妻。いやいや、飲んでいるのは私でも、すっかり妻に飲まれているのは私。それぞれの夫婦の関係、それぞれのマリアージュ。

世田谷焼き菓子まつり!「カワムラ/アルパジョン/サクラベーカリー」

ARPAJONKAWAMURA店内る晴れた休日、世田谷を(電動アシスト)自転車で巡ったお気楽夫婦。2人には、ある目的があった。毎年GWには妻の両親が住む浜松に向かうのが恒例。妻の両親へのお土産に今年は世田谷スイーツを持参しようという計画。だから必然的に日持ちのする美味しい焼き菓子を探して廻る、ということになる。火龍園でのランチの後、梅が丘に向かう。駅の周辺にはお目当ての2つのスイーツ店。老舗洋菓子店のカワムラ、そして小田急線の高架化で南口に移転したアルパジョンだ。まずは1957年創業のカワムラ洋菓子店本店でフィナンシェ、マドレーヌなど王道の焼き菓子をゲット。

SAKURA BAKERY食べる招き猫いてアルパジョンへ。この人気店では「豪徳寺 福まねこ」「等々力きゃにおん」などと世田谷の地名を冠した焼き菓子の種類が豊富。分かりやすい世田谷みやげになる。どれを選ぼうかと悩みつつ数点ゲット。「なかなか順調だね♫」妻もご機嫌。三宿で折り返し、帰路に立ち寄ったのは若林のサクラベーカリー。世田谷区内に3店舗を構えるパン屋だけれど、その日のお目当ては「ねこやき」という焼き菓子。ネーミングはちょっと怖いが、豪徳寺の招き猫を人形焼きにしたもの。カステラ生地にこしあんというお馴染みの味。「可愛いねぇ♡」と2体ゲット。

チョコcookieチョコチップとピスタチオしっ、最後はミキちゃんところで、世田谷焼き菓子祭りのシメだぁ!」と意気込む妻。自転車を返却して千歳烏山のショコラティエ・ミキへ。ん?店の前に貼り紙。うわぁ!臨時休業だぁ。今回の世田谷の焼き菓子を巡るというアイディアは、ショコラティエ・ミキの「焼き菓子まつり」にヒントを得たもの。普段はボンボンショコラなどの生チョコを中心に扱っているショコラティエ・ミキで、特別に焼き菓子を販売するという企画。近所に住む利点を生かし、焼き菓子まつりの開催当日、開店と同時に数種類の焼き菓子を大量にゲット。その余りの美味しさに思い付いたもの。

チョコレートcakeラスクのチョコがけ人買いの戦利品は、カカオニブ入りショコラクッキー、ピスタチオとチョコチップのクッキー、完熟バナナとレーズンとラム酒のチョコレートケーキ、そしてラスクのチョコ掛けなど。これら全てが絶品ながら、パーラー江古田のかりかりと美味しいラスクにチョコを掛けた一品を齧った瞬間に声を上げた。旨ぁっ!なんという組合せ。ラスクの歯触りと、チョコレートの味と香りの絶妙なハーモニー。そして、サクサクのショコラクッキーも、しっとりのチョコレートケーキも、いずれも堪らない美味しさ。あの味を妻の両親にも味わってもらいたかった。残念。

世田谷みやげして、代わりにゲットした千歳烏山の老舗 菓心たちばなの「世田谷ももこ」「武蔵野メロン」などを加えた世田谷みやげセットが完成。「うぅ〜ん、すっごい美味しそう♫」妻が満足そうに眺める。4店舗を巡り、18点の焼き菓子を買い集めた。世田谷焼き菓子まつり、味わうのは妻の故郷である浜松で。「何から食べようかなぁ♪」あれ?おみやげのはずでは…。

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