春が来た♬「自由が丘さくらまつり」

Sakura1上陽水のアルバム『氷の世界』に、『弥生三月散歩道』という曲がある。桜の季節にこの道を歩くと、ふとその曲を思い出す。桜や木蓮の並木の両脇に車道はあるものの、歩行者専用の散歩道の風情。私が勤めるオフィスがある自由が丘の南口、九品仏川の緑道だ。毎年のように早くなる桜の開花に合わせ、今年は3月半ばから提灯をぶら下げ、恒例の「さくらまつり」の準備が始まった。春が来たと実感する嬉しい風景だ。

Sakura2して、渋谷を経由する通勤故に、東急百貨店に立ち寄ることが多い日々。それもシブ目に「東横のれん街」が私の獣道。井の頭線の改札からのれん街を通って、東急の渋谷駅に向かうのだ。その途中「花見弁当」という企画が目についた。出店する惣菜系各テナントが花見に掛けて「873円」の期間限定のオリジナル弁当を販売するという、昭和のオヤヂに刺さってしまう企画!思わず桜の花見なのに「梅の花」の八角弁当を購入。

Sakura3道の桜を見下ろしながら、自分のデスクで花見弁当をいただく。春の細やかなお楽しみ。小さな幸福。帰宅する前に、のんびりと夜桜が美しい緑道を歩く。まだ肌寒いけれど、緑道の両側に建てられた建物は景観条例に則り、派手な看板もなく、壁面などの色調も落ち着いたものに限定されており、統一感のある美しい街路となっているから、歩くだけでもとても楽しく、この街で働けることを誇らしく、嬉しく思えるルートだ。

Sakura4たある日の花見弁当は、銀座アスターの中華弁当。実は私は、かなりの弁当好きであるばかりか、温めなくても美味しい、さらに言えば、常温で食べる方が美味しいシウマイ弁当や駅弁が大好き。この弁当も常温でウマウマ。緑道を見下ろせば桜も満開。…そんな風に、日々自由が丘の桜の開花状況や花見弁当をSNSでアップし続けていたら、それを読んだ奥さまが釣れた。「IGAちゃーん、週末に自由が丘でお花見しよう♬」

Sakura6OK!と、軽いノリで応え、すぐにオススメの店を予約。「自由が丘さくらまつり」開催の週末は、あいにくの肌寒い陽気だったけれど、自由が丘らしく、オシャレなサクラを堪能。その日ご一緒したのは、花よりダンゴならぬワインなマダム。春らしいコートを纏い、のんびりと緑道を散歩し、サクッとサクラを鑑賞。お気楽妻と共に桜の樹の下で写真も撮った。花見の儀式は終了。さぁ、本番のランチ、そしてワインだ!

Sakura7んで向かったのは、「エノテカ クチーナ フレッチェ」という絶対に店名を覚えられないであろうイタリアンの人気店。九品仏方面に向かう緑道沿い、かつての繁盛店「SODAカフェ」があった場所。その日のランチも予約で満席。誕生日を祝う家族連れ、初々しい初?デートと思しきカップル、賑やかなオバちゃま女子会など、多彩な客層。マダム2人+オヤヂは、さっそく冷えたスパークリングワイン&ウォーターで乾杯だ。

Sakura8初に供されたのは、サーモン、タコ、甘エビなどの海鮮系に加え、サラミ、アーティチョークなど多彩な食材が豪快に盛り付けられたオードブル♬さらに、何種類かのメニューから選べるパスタランチはお得。皆でシェアしようと3種のパスタをチョイス。中でもスパゲッティ ポッタルガ(カラスミ)が絶品。「IGAちゃん、ワインお代りしようか!」Oui、Madame!休日の昼下がり、まったりとワインを傾けるゼータクな時間だ。

Sakura9の開花に心を踊らせ、誰かと約束したくなる。満開のサクラを前に人恋しくなり、誰かと共に酒を酌み交わしたくなる。散り行くサクラの花びらが物悲しく、来し方と行く先をひとり思う。春よ春、今年も春がやって来た。あと何度私にサクラの季節が巡ってくるのやら。若い頃のような焦燥はない。かと言って、まだまだ諦観もない。井上陽水は唄う。♬だって人が狂いはじめるのは だって狂った桜が散るのは三月♬もう4月だ!

エネルギー充填♬「ハイアットリージェンシー東京」

HyattR1直に言うと、そのホテルに余り期待してはいなかった。どうしても泊まってみたくて予約した訳でもなかった。昨年末に、めでたく「ワールド オブ ハイアット」というハイアット ホテルズ&リゾーツの会員カテゴリで、エクスプローリストになり、無料宿泊券をゲット。東京近郊でその権利を行使して泊まれるホテルが、日本国内で初のハイアットホテル「ハイアットリージェンシー東京」だけだったのだ。まぁ、タダだしと。

HyattR2ブル前夜、1980年に小田急グループが経営する「ホテルセンチュリーハイアット」として開業した頃は一斉を風靡した。1983年に『誰かが私を愛している』という人気ドラマの舞台(ロケ地)にもなった。最上階のプールが画期的だった。エントランスロビーのスワロフスキーのシャンデリアが憧れだった。但し、それ以降にできた外資系ラグジュアリーホテルに押されて、お気楽夫婦にとっては古いタイプのホテルの評価だった。

HyattR3ェックインした際、フロントスタッフに「IGA様はエクスプローリストでらっしゃいますから、アップグレードさせていただき…」と言われたものの、まだナメていた。ところが、客室に入った瞬間にその評価は一変した。広い!明るい!新宿中央公園が見下ろせ、富士山が望める眺望も抜群。予約していた28㎡のゲストルームから、40㎡のビューデラックスルームにアップグレードされていたのだ。VIVA! エクスプローリスト♬

HyattR4価が上がると、現金なもので、全てがポジティブな見方に変わる。狭いながらもリノベーションされ、都庁やパークハイアットを眺めながらトレーニングできる明るく開放的なジムや、決して広いとは言えないけれど空いているプールに満足。たっぷり汗を流し、シャワーを浴びてさっぱりした後は、ホテル内にある鉄板焼店に向かう。無料宿泊なのだから、せめて夕食ぐらいはホテルで豪華に食べようと予約した店だ。

HyattR5んだメニューは、神戸牛と武州和牛のサーロイン食べ比べなど、普段なら手を出さないゼータクなコース。埼玉県の指定農家のみで生産されるという武州和牛が大当たり。濃厚な味の神戸牛に比べ、脂が軽やかで爽やかな旨味がある。「こっち(武州)の方が美味しいね」と妻も満足。足などを怪我をした後、治療院でタンパク質の摂取が足りないから治りが遅いとの指摘を受け、がっつり肉食宣言をした後の最大のヒットだ。

HyattR6室に戻り、新宿中央公園とパークハイアットの夜景を眺めながら部屋飲み。ホテルの1階にはコンビニもあり、ビールやおつまみの買い出しも簡単便利。「そこそこラグジュアリーな(それでもまだ評価が低い)ホテルだけど、パークハイアットとかに比べるとお気楽だよね」と妻も納得。新宿中央公園も含め、新宿駅西口の広大なエリアがかつて「淀橋浄水場」だったなどという、まるで爺さんの昔話のような話題で夜も更ける。

HyattR7朝、せっかくの広い部屋だからと朝食はインルームダイニングで。妻はヘルシーな洋食、私はなぜかホテルに宿泊すると食べたくなる和食。ルームサービスは2人で別々のメニーを、一緒にのんびりと食べられることも嬉しい。「よしっ!午前中もジムで走るよ!」と休日はのんびりグダグダ過ごすよりも、アクティブレストを望む妻の瞳が輝く。すっかりお気に入りになったジムで、再びたっぷりと汗を流す。

HyattR8ぼ毎日深夜残業が続き、久しぶりの完全OFFの週末というタイミングで、今回のホテル滞在。実は、妻のエネルギー充填が目的だ。ジムの帰りにホテル内のペストリーショップに立ち寄り、昼食用のパンを買い込む。エクスプローリストの会員特典として、14時までのレイトチェックアウトがあり、のんびりと客室に滞在できるのだ。休日の昼下がり、ビールを飲みながら公園で開催されているイベントを部屋の窓から眺める。

HyattR9んだか元気になったなぁ♬」パンにかぶりつきながら妻が呟く。「逆バンジー楽しそうだけど、オトナもできるのかな。やりたい!」とイベント会場で遊ぶ子供たちを見下ろし、半ば本気で言っている模様。確かにさっぱりとして元気なご様子。何よりだ。「次回の無料宿泊も、この部屋にアップグレードしてくれるんだったら、また来ても良いね」相変わらずの上から目線の妻。やれやれ。すっかりエネルギー満タンだ。

西海岸で乾杯だ♬「ビストロ808-Jr.」

Inaba1田谷の外れにある「ビストロ808」は、不定期営業の店。料理はシェフ(と、スーシェフ)にお任せ。飲み物は自分たちが飲みたいモノを、飲みたいだけ持参するのがルール。2014年のリニューアルOPENから数えて、この2月に営業日数30回を超えた。そんな店の常連の中に、I夫妻がいる。バー808のみのご利用も含めると、ご来店の回数は優に10回を超える。そのご夫妻が遠くの街に引っ越してしまうことになった。涙。

Inaba2主人の転勤に伴うもので、赴任の期間はおそらく数年。気軽に会いに行ける街ではないだけに、彼らの渡航前から既に、現実感を伴わない喪失感がある。そこで、しばらく会えなくなってしまう前に、ビストロ808にお招きしよう!ということになった。ところが、人気者のI夫妻、渡航前の週末は既に予定が一杯。それではと、シェフとスーシェフ揃って会社を休み(ついでに日中はスカッシュをして)、初めての平日営業だ!

Inaba3は言え、さすがに全ての料理を準備することは時間的に難しく、最近導入したデパ地下のデリをメニューに加える、名付けて「ビストロ808-Jr.」スタイルを採用。スカッシュ帰りに2種類のマリネ、パテドカンパーニュを買い込み、ビストロ開店の準備に取り掛かる。作り置きしてあった「キャロットラペ」と「紫キャベツのマリネ」を一緒に盛付け、最初の1品、4種のマリネ盛合せが完成!実にお手軽だ♬

Inaba4こに酒を買い込んで登場したI夫人(又の名をサダコ)たち。期待通りの本数のワインを抱えて。さっそく(スカッシュで汗を流した後だけに)先ずはビールで乾杯。「シェフのキャロットラペが一番美味しい!」「前は紫キャベツじゃなくって、キャロットラペにクミンシードでしたよね」…確かに今はキャロットラペにはキャラウェイシード、紫キャベツにクミンと使い分けている。サダコになる前のI夫人の舌と記憶は確かだ。

Inaba5の後、仕事帰りに遅れて合流したIくんとサプライズゲストを交え、改めて泡で乾杯♬主役のIくんが登場し、飲んべ2人が加わったことで、一気にワインが減って行く。I夫人のリクエストで作った「グリーンメドレーサラダ」と、スーシェフ渾身の作「豚肉のロースト・リンゴとクリームチーズのソース掛け」と言うメイン料理をお出しすると、「キャーっ」と、すっかり女子会の予想を呈したメンバーから歓声が上がる。

Inaba6ェフ、大胆なお願いをしても良いですか」女子会メンバーのひとりから、Iくんを囲んだ女子全員の写真を撮って欲しいとのリクエスト。もちろん喜んで!今日の主役はIくんだ。昨年、私と妻の「60th&25thパーティ」の司会をしてくれた彼は、話のキレが良く、周囲に目を配り、かつ飲んべえと言う、実に愛すべき男。普段はもちろん、サダコになっても尚、妻に愛情を持って接することができるところが素晴らしい。

Inaba7ェフのパテカンの方が美味しい!美味しいですよ!」ん?I夫人のコトバがリフレインし出した。どうやらサダコ化が始まった模様だ。「ボウモアなんて勧めるからだよ」お気楽妻が冷静に分析する。確かに、以前も同じように2人に強い酒を勧めてしまい、夫婦揃って多摩センターのマックで朝を迎えたと言う過去を持つ。「ビバリーウィルシャーに泊まりに来てくださいね」「絶対に行くよ」酔っ払いに優しい妻が答える。

Inaba8んでます( ̄▽ ̄)」終電前に家路に着いたIくんから画像付きのメッセージが届いた。KO線の車内から発信した余裕のコメント。どうやら大丈夫そうだ。「僕がいなかったら、この2人はきっと八王子行ってるでしょうね」確かに。…そんなI夫妻に次に会えるのは、西海岸か。「Iくんたちに会いに、絶対にLAに行くよ!」お気楽妻の鼻息は荒い。では、いつの日にか、愛すべき彼らと西海岸で乾杯しよう♬

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