「香港スカッシュオープン 2018」が、今年も香港スカッシュセンターと香港パークスポーツセンターで開催された。お気楽夫婦は今年も(もちろん試合を観るだけ)参戦!初めて観戦に行った1998年以来、今年で4年連続8回目の観戦だ。最初の観戦、1998年はまだ男子のみのトーナメント。第1シードはピーター・ニコル。以下、ジャンシール・カーン、ジョナサン・パワー、ロドニー・アイリスと懐かしい選手の名前が続く。
1998年の優勝者はジョナサン・パワー。テニスで言えば、ジョン・マッケンローのようなやんちゃな存在のチャンピオンだった。スカッシュを始めたばかりのお気楽夫婦は、選手の名前と顔が一致せず、同行のスカッシュマニアの友人にその存在を教えてもらった。*それでも写真は一緒に撮る(笑)。2005年からは男女共に開催。その年から2015年までニコル・デイビッドが11連覇!圧倒的な強さを誇ったレジェンドだ。
ところで、今回は「スカッシュセンターでスカッシュしたい!」と、同行のスカッシュ仲間が宣言し、全員ラケットやシューズ持参で香港に行っていた。プロ選手が試合を行なっている同じ会場で、素人スカッシュプレーヤーがちょぼちょと練習をしていると、見覚えのある女性がコートサイドに現れた。伝説のチャンピオン、ニコル・デイビッドだ!すかさず記念撮影をお願いすると、にこやかに応じてくれた。スゲーっ!

スカッシュは(良し悪しは別にして)マイナースポーツであるが故、選手との距離感が近い。有名な選手でも会場のあちこちで見かけることができ、撮影をお願いすると多くの選手はフレンドリーに応えてくれる。*世界ランキング2位のアリ・ファラグ、怪我から復帰したアマンダ。
香港OPENは男女共賞金がUSD22,800=約250万円とスカッシュとしては高額で、有力な選手がほとんど全員参加するレベルの高い大会。テニスで言えば、グランドスラム大会クラス。スカッシュの盛んな香港であるからこそ実現しているイベントだ。美味しい中華料理を楽しむというもう一つの目的と共に、それが日本から(わずか4時間余りのフライトで行ける気軽さもあり)わざわざ観戦に行く理由だ。
香港滞在最終日、準決勝を見終えて大会会場前で記念撮影。「お兄ちゃん、強かったねぇ。でもやっぱりマーワン(弟:怪我で欠場)観たかったなぁ」エジプトのエルショーバギー兄弟を応援する友人が呟く。昨年初めて大会を観たとは思えない堂々たるハマりっぷりだ。そんな話をしながら駅に向かう。すると、その日の女子準決勝で敗退したサラ・ジェーン・ペリーとすれ違う。こちらは知っているから(笑)Hi!と気楽に挨拶。
その後、ホテルに戻り荷物をピックアップし、空港に向かい、出向手続きの列に並ぶ。すると、ラケットバッグを背負った短パン姿の長身の女性がすぐ前に並んでいた。うわっ!数時間前にすれ違ったサラだ!聞けば、彼女も帰国(イギリス)するのだと言う。すかさず記念撮影をお願いし、バッグの中からTシャツとペンを取り出した友人はサインまで頼んだ!「ところで、彼女名前何だっけ?」と友人に聞かれたのは内緒(笑)。
帰国後、決勝を観られなかったからと、妻は早速「スカッシュTV」をチェック。*何と彼女はスカッシュ専門のNET有料チャンネルを契約し、各トーナメントを観戦している。「やっぱりお兄ちゃん、優勝だ!」いそいそと友人に結果を報告。こうして1998年に友人から妻に感染したスカッシュ観戦シンドロームは、2人の友人たちに感染が拡大した。「来年も香港行くよ!」お気楽妻の周囲には、感染注意報が発令中だ。
今年も香港スカッシュOPENに行くぞぉ!と仲間と一緒に宣言をして約半年。事前に丸の内で香港を学び、三茶で香港を味わい、予習もばっちり。万全の態勢で香港に飛んだ。去年一緒に行って“ハマった”友人と、香港は20年ぶりぐらいだと言う友人は1日遅れで現地に到着。前日にあちこち下見をして、いかに香港を楽しんでもらうかを塾考して友人たち2人を迎える。まるでお気楽妻は現地コーディネーター状態(笑)。
旅のメインはスカッシュの試合観戦だけれど、もうひとつ大切な目的があった。カクテルタイムに「モアシャンパン?」とスタッフがグラスに注ぎ続ける、グランドハイアット香港のクラブラウンジの名物(笑)“わんこシャンパン”だ。友人たちは2人とも飲んべで、中でも1人は度々ランスのセラーを訪ねシャンパンを大量に(自宅用として)買い付けるツワモノ。そんな彼女たちと一緒に延々とシャンパンを楽しめるのだ。ワクワク。
香港初日、さっそく31階にあるクラブラウンジに向かう。ヴィクトリアハーバーを臨む広々としたスペース。九龍半島側、尖沙咀(チムサーチョイ)の摩天楼群、九龍湾の巨大な埠頭や、香港島側の銅鐸湾まで望める大パノラマが目の前に広がる。「わぁ〜っ!凄いね!天井高い!素晴らしい眺めだね!」と、初訪問の友人が声を上げ、「良いでしょう♬」と、妻がまるで自宅を褒められたように嬉しそうに微笑む。
「豪華ぁ〜っ!」カクテルタイムに供される料理の数々は(以前より減ったとは言え)冷製オードブルからホットミール、チーズやデザートまでゼータクに並べられ、終了時間ギリギリまで補充される。その上、どれも美味しいのだ。少食のお気楽夫婦はここでの食事が夕食になってしまう。「どれも美味しい♬私たちもこれが夕食で良いよ!」レバーペーストを気に入ったと言う友人が満面の笑顔。それを聞いた妻も嬉しそう。
夕食はホテルのラウンジで取るなら、せっかくの香港、中華料理を食べるのはランチ、という事になる。そこで香港2日目は「香港大會堂(シティホール)」にある「大會堂美心皇宮」で飲茶。香港でも珍しくなったワゴン方式の巨大なレストラン。受付の前には大勢の人だかり、聞けば1時間待ちだと言う。そこで、私1人が残り、3人の奥さまたちでジェニーベーカリーまでお土産を買いに行くという作戦に。
「チャーシューパイ、追加しようかな」「腸粉、滑らか!本場は違うね」ハイテンションのまま、賑やかに食事を終える。やはり中華は大勢で食べるに限る。そして最終日は前日と打って変わって高級路線。フォーシーズンズ香港の「龍景軒」で、豪華なゼータクランチだ。前菜の盛合せに入れてもらったローストグース、チャーシューは感涙もの。「クラゲ、ヤバい!」クラゲをリクエストした友人も美味しい歯応えにびっくり。
そして真打ちは「海老ワンタン麺」。お気軽なワゴン飲茶の店でも、ミシュランの星付きの店でも、シメで食すべきは、これだ。なぜか奥ゆかしく、どの店でも具のワンタンは麺の下に沈んでいる。そのワンタンを表に浮かび上がらせ、インスタ映え(インスタやってないけど)する写真を撮る。これがお約束。「このゴム麺(香港麺)がたまんないんだよね♬」お気楽妻が日本にいても発作的に食べたくなると言う大好物。んまい。
「香港、やっぱりイイね」「来年もまた来たい!」友人たちのそんなセリフが妻にとっては最大級の賛辞。君は香港政府観光局か!と思うぐらい熱心に、いかに香港の魅力を友人たちに伝えるかを腐心した妻。思えば、ひと口も飲まない“わんこシャンパン”を、実に嬉しそうに、得意げに、友人たちに勧める妻なのだ。気が付けば今回で記念すべき20回目の香港旅行。お気楽夫婦は、つくづく、しみじみ、香港LOVE!
「香港ウィークのイベント観に行かない?」そんな言い方は、どうしても行きたい!というお気楽妻の意思表示。了解!とスカッシュレッスンが終わった後、東京駅に向かう。KITTE丸の内で行われていたのは、「香港ウィーク2018 Great Bay Area Showcase」という、香港だけでなくマカオや広州を含めたエリアのプロモーション展示。KITTEのアトリウムには、ド派手な電飾アーチで迎えてくれる展示スペースが出現。
アーチをくぐって中に入ると、この夏に訪ねた最近話題の「OLD TOWN CENTRAL」のイラストデジタルMAPや、元SMAPの香取慎吾くんの描いた壁面アートのレプリカが展示されていた。入場制限があり、やけに人気のイベントだと思っていたら、どうやら人気の理由はこれか。他にも精密に作られた香港の街並みのミニチュアが展示されており、旅情を誘い、今すぐにでも香港に行きたい!という気分が盛り上がる2人。
すぐに香港に行こう!という高揚感のまま、香港に向かったお気楽夫婦。思い立ったら即実行!がIGA夫婦のモットーだ。狭い路地に小さな飲食店が軒を連ね、通りの向こうには高層ビルが聳える。典型的な香港の裏通りの風景…に見える三軒茶屋の通称“三角地帯”だ。大山街道の道標を頂にし、国道246線と世田谷通りに挟まれた、一度入ったら脱出不可能な迷路のような小さな通りからなる、香港にも負けない魅惑的なエリアだ。
その迷路の中に、香港があるという噂を聞いて、三軒茶屋の三角地帯に向かった2人。ところが、事前に予約をし、店への行き方を調べたにも関わらず、散々迷った末にようやく店に到着。恐るべし三角地帯。その店の名前は「香港バル213」という、テーブル席3つと、路地に背中を向けて座るカウンター席4席だけの屋台のような小さな店だ。その小さなハコの中に、香港らしいエッセンスがふんだんに詰め込まれてる。
例えば料理のメニューが香港だ。日本では余りお目にかからないが、香港の飲茶の店ではフツーに何種類もある「腸粉(チョンファン)」という米粉のクレープに豚肉や海老を巻いたメニューが、この店には(海老の1種類だけだが)ある。お気楽夫婦の大好物で腸粉を「ちょうこ」と呼んで溺愛している。これはメニューにあるだけで素晴らしい。「これ美味しいね。初めて食べた!」と同行の友人。ふっ、香港ならもっと…。
「芥蘭がある!」妻が歓喜の声を上げる。アブラナ科の緑黄色野菜で、香港の食卓には良く登場するけれど、日本では滅多に見かけない。コリしゃきとした歯ざわりが心地良く、味はブロッコリーに似て(チャイニーズブロッコリーとも呼ばれるらしい)葉も茎もクセがなく美味しい。茹でてオイスターソースを掛けただけでも旨いし、ワンタン麺と合わせて食べると彩りも良く美味。こんな香港の味を三茶で味わえるなんて!
「海老ワンタン麺も食べたい!」香港に行くと3食は必ず食べるのが、この香港麺(輪ゴムのような細さで噛み切りにくい)のワンタン麺。お気楽夫婦はゴム麺と呼んで愛する麺。これも日本で食べさせる店が少なく、三宿の「新記」に行っては懐かしがっていた。サービスも香港並みの雑な接客(それがまた香港を思い出し、かなり嬉しい)で、美味しいのだけれど、遠いのが難。それが三茶の駅近くの店で食べられる幸福。
「香港の予習もこれで完璧だね!」そう、実は香港バルに集合したメンバーは、スカッシュ香港オープンに参戦(もちろん観戦のみ)する仲間たち。香港に行くのは20年ぶりくらいという友人と、前年にも同行したスカッシュ仲間。そんなメンバーで香港でのスケジュールを確認し、香港を味わいながら決起集会(笑)を開催しよう!という趣旨。そんな目的で集まるにはぴったりの店だった。さあ、香港に行くぞぉ!おぉっ!
「くぅ〜っ!辛くて美味しいっ!」香港への渡航直前、さらに予習を重ねるお気楽夫婦。ご近所の四川料理店に向かった。お気楽妻が喜んでいるのは麻辣牛肉麺。牛スネ肉と干し椎茸、ニンニクの芽が入った真っ赤な麺だ。香港には四川料理店が余りなく、予習というよりは、辛いもの好きの本能で食べたいと欲した模様。何れにせよ満面笑顔でご満足のご様子。やはり、食は香港だけではなく、東京にもあったということだ。