カナダのトロントに本部を持つフォーシーズンズ(以下FS)・ホテルズは、言わずと知れたラグジュアリーホテルチェーン。お気楽夫婦も「FSホテル椿山荘東京」(現在は提携解消)や「FSホテル丸の内東京」の他、ランカウイ島、上海などに宿泊した経験がある。いずれも設備のデザイン性や機能性が高く、部屋数が少なく、スタッフのサービスが心地好い、実に快適なホテルだった。早い話がお気楽夫婦のタイプのホテルだ♬
「京都に行くならフォーシーズンズに泊まらなきゃ!」ホテルフリークの妻が譲らなかったのが、ただこの1点だけ。確かに事前情報から期待度は高い。個性的なエントランス、竹垣のアプローチ、低層の建物、ロビーの向こうには吹き抜けから見下ろすメインダイニングと日本庭園。京都駅から車で10分程の距離にあるロケーションなのに、これはもはやシティホテルではなく、リゾートホテルの佇まい。ストンと恋に落ちる。
客室に入っても恋心がいや増すばかり。入口からすぐ左手にウォークインクローゼット、作り付けのベンチ、ウォークスルーのバスルーム、そしてベッドルームとリビングコーナーという実に機能的なレイアウト。窓の向こうには東大路通り、豊国神社の緑。内装のデザインは京都らしさに溢れ、クッションは着物や帯のような柄、カーペットは麻の葉柄、間仕切りは障子のような意匠。機能とデザインがきちんと折りあっている。
ところで、案内してくれたスタッフは、チェックインを担当してくれた女性。会話が自然で丁寧でいながら慇懃ではない、“外資系”ホテルのスタッフらしい客との絶妙な距離感。「私がお部屋までご案内します」と一緒に歩きながらホテル業界話。パークハイアットが近くにできると言う話題で盛り上がる。やはりライバル視している模様。お気楽夫婦はどちらも大好きなホテルだけに嬉しい(選ぶのに困るけれど)だけだが。


*特筆すべきはバスルーム。左から①ウォークスルー、②バスタブとシャワールームのセパレート、③一体化したビューバスと3wayの使い方ができる。素晴らしい!
ルームサービスも全室に備え付けられたiPadでオーダーできる。キッズメニューやベジタリアンメニューもあり、エキスプレスメニューは24時間OK。全メニューが写真付きだから、直感的に選べるし、届けてもらう時間の指定もできる。その日は「瓢亭」でランチをたっぷりいただいたので、さほどお腹も空いていない。客室内の居心地も良いことだし、だったら夕食で試してみよう!ということになった。
お気楽な2人が選んだのは、「丹波地鶏のシーザーサラダ」と「季節野菜のロースト」そしてお約束の「フレンチフライ。それに加えて、たっぷり入ったパンが付いてくるから、少食の2人には充分な豪華ディナー。ご近所に散歩しながら買って来たビールをグビリ。ルームサービスのスタッフが「一緒にワインはいかがですか」と、オススメのワインを持って来てくれたけれど、その日はビールと小瓶のワイン(散歩で調達)で満足。
「良いホテルだし、良い部屋だね♬」ホテルフリークの妻も満足の笑み。窓の外には古都の慎ましい夜景、暗すぎない照明、食事をするのに充分な広さ、レストランの個室で食べているような豪勢な気分。客室で食事をしようと思える、というのが彼女のホテル評価の基準のひとつ。この部屋はかなりの高得点で合格の模様だ。「また明日もジム行かなきゃね」妻が満足した理由のもうひとつ、スパについては、次回の記事で!
「京都に行こう!その日はスカッシュのレッスンないし♬」と、お気楽妻が宣言した。彼女の週末の最優先事項は、1999年から(20年近く!)続けている日曜のスカッシュレッスン。何よりも優先すべき不動のスケジュールであり、海外の渡航先から帰ってきたその日にレッスンに出かけた事もある。逆に、休講となったら、もうひとつの血が騒ぐ。ホテルフリークの血だ。「京都ならフォーシーズンズか、リッツだね」おぉ怖っ!
京都はインバウンド観光客に人気のある街でありながら、ラグジュアリー系のホテルが少なく、ホテルおたくの妻が泊まりたい!と思うホテルがなかった。そしてようやく2014年冬に「ザ・リッツカールトン京都」が、2016年秋に「フォーシーズンズホテル京都」が開業し、いつかは!と楽しみにしていた模様。そこで、毎年春先に忙しい妻の慰労を兼ねた「ホテルでのんびり企画」の行先は京都になった。よしっ!京都行こう!
還暦のお祝いにとスカッシュ仲間からいただいた旅行券を使い、グリーン車で往復!と言うゼータク旅。ただし、2泊ともフォーシーズンズ、またはリッツというのは予算オーバーだ。初日の宿泊は「ザ・ウェスティン都ホテル京都」となった。チェックインするとスイートルームになぜかアップグレード。近くに南禅寺、遠く吉田山、遥か貴船、鞍馬を望む良い眺めだ。プールで泳ぎ、ラウンジでビールをいただき、街に出る。
夕刻、早めに到着した祇園白川に掛かる巽橋で夕涼み。周辺には多国籍語が溢れる。目当ての店は白川沿いの「割烹 さか本」という小さな店。現在はご夫婦で沖縄の人気カフェ「サン・スーシィ」を経営する、P社時代の後輩(妻)のご実家だ。ビルの中の小さな通路を通った突き当たり、店に入ると窓の向こうに白川のせせらぎ、獲物を狙う白鷺の姿も。実に落ち着いた佇まい…のはずが、その日はインバウンド観光客で満席。
「賑やかで申し訳ありません」女将さんが申し訳なさそうにご挨拶。いえいえ。観光の街の宿命。それよりも皆さん英語が堪能で、若い板さんも英語でカウンタの客と世間話を展開中。さすが京都。さすがと言えば、もちろんお料理も。ひと口だけの“おかゆさん”から始まり、じゅん菜の小鉢、蛸と子持ちシャコの炊いたん、すっぽんのお椀、炙った鱧などが美しく盛付けられたお造りなど、どれも美味しく見事な皿が続く。
「湯葉美味しそう♬」専用の器で出て来たのは、振り湯葉というこの店の名物料理。熱々の湯葉を鰹出汁でいただく。湯葉は妻の好物だけあって、嬉しそうに湯葉を振る。それに比して、私のテンションは下がり気味。実は、前夜に深酒をしてしまった私は料理を少しづつ残し(大将にお断りして)、最後まで辿り着こうとするのが精一杯。美味しいのだけど、全部は食べられず、少しづつ味見という体たらく。やれやれだ。
翌日、やや回復した二日酔い(どころか3日酔い)男は、引き続き絶好調の妻と共に「瓢亭 別館」へ向かった。ウェスティンに泊まるなら、歩いて行ける「瓢亭」へ、そんな計画だった。ところで、京都の人にとっては、スターウッド・ホテル&リゾートと提携してウェスティンと冠しても未だに「都ホテル」であり、京都の迎賓館であり続けている。もちろん運営する近鉄グループにとっても本店格の旗艦ホテルだ。
「瓢亭 本館」のランチは、と言うかランチでも、懐石料理で23,000円から。とても食べ切れない、と言うよりも、ランチにそんな料金を払えない。その点、お隣の別館では松花堂弁当が5,400円でいただける。これも十分過ぎる程ゼータクなのだが、23,000円に比べればグッとお手頃に感じる瓢亭マジック。名物「瓢亭玉子」も入った豪華な盛合せ。一子相伝の料理「瓢亭玉子」は、白身の固さと黄味の蕩け具合が絶妙な逸品だ。
「京都に来た〜って感じだね。京都を食べた〜っ!」暖簾をくぐりながら、お気楽妻が満足の笑みを零す。京都らしさが堪能できる名店だった。南禅寺を横目に見ながら、仁王門通りを経て、以前京都に来た際に2人で歩いた蹴上のインクラインを眺めつつ、ウェスティンホテルに戻る。さぁ、いよいよ京都旅のハイライト、「フォーシーズンズホテル京都」へ向かうぞ。そうだ、続いて京都(泊まりに)行こう。の旅。
「加藤健一事務所」公演vol.102!『煙が目にしみる』の久々の再演を観に行った。1980年代からずっと観続けている劇団だけれど、4度の上演の内、3度目の観劇というのは初めて。観る度に、大笑いして、ちょっとだけ泣いて、しみじみと心に染みる。そんな芝居。舞台はサクラが咲く頃の火葬場。父や夫を失った2組の家族が繰り広げる“あるある”と頷くエピソード。その同じ芝居が観劇時の自分の状況で感じ方が違う。
最初に観たのは、まだ両親が健在だった頃。2度目は母をおくった後、そして3度目の舞台を観た現在は父もいない。けれども、父母を亡くした時の悲しみや喪失感と共に、在りし日の2人の思い出がたっぷりと蘇り、つかの間記憶の中の両親と対話し、温かな気持ちにさせてもらった。「良いねぇ、お芝居!シモキタも久しぶりだし!」所用で観に来られなかった妻の代わりに、その日はスカッシュ仲間の奥様とご一緒だった。
「刺身どれも美味しい!良いねぇ、シモキタ!」芝居の後に立ち寄った居酒屋のカウンタで、満面の笑顔の人妻(笑)。テンション低めの妻と一緒の生活に慣れた身に、この高めのリアクションは嬉しい。2軒目はいつもの泡盛BAR「Aサインバー」へ、そして妻と合流。昨秋、一緒に「スカッシュ香港OPEN」を観に行って以来、すっかりスカッシュのNET観戦にハマり、スカッシュ談義に花が咲く2人。「楽しいね!また行こう!」
了解!ではさっそくと、一緒にやって来たのは『BURN THE FLOOR』と言うダンスカンパニーの来日公演。ジャズ、タンゴ、ワルツ、あらゆるジャンルのキレっキレのダンス、鍛えられた美しい肉体、そして“刺さる”楽曲。プリンスの『Kiss』、ジェームズ・ブラウンの『Sex Machine』、ツェッペリンの『天国への階段』まで!「凄い舞台だね!」「広背筋がキレーだ♬」ステージの見方は違っても、観劇の感激と感動は共有。
興奮の余韻を抱えて劇場の外で記念撮影。見下ろす渋谷の街は再開発の真っ最中。遠く新宿のスカイスクレーパーが輝く。そして変貌する渋谷の街を彷徨う。ヴェトナム料理食べようか!「良いねぇ、生春巻食べたい!」人妻のテンションがまた上がる。ところが、お目当の店は定休日。では!と沖縄料理の店に向かう。口の中がすっかりフォーやバインセオになっていた気持をゴーヤチャンプルーや沖縄ソバ方面に切替える。
「今日も楽しかったぁ〜!ありがとね」オリオンビールで乾杯しカーリーポテトフライを齧りながら、その日のセットリストを反芻。音楽好きで、お酒が好きで、美味しい物が好きで、野球が好きで、人が好き。初対面でも物怖じせずに話しかける。お気楽妻は、この気遣いができて気を遣わなくてもいい人妻が大好き。舞台は気の置けない友人と行くに限る。ましてやその楽しかった観劇の後の酒宴は。
「香港、今年も一緒に行こうよ!」「行きたいね!」すっかりスカッシュフリークと化した2人の奥様たちが秋の香港行きを目論む。行こうじゃないか。「香港OPEN」と言うスカッシュの晴れ舞台、そして馴染みのホテルでシャンパン三昧。てことで、一緒に行くには最高のパートナーだ。この秋も、香港へGO!