「IGA-IGAのパーティで流した画像をじっくり観たぁ〜い!飲んでばっかりで見られなかったんだよね」パーティ会場でずっとヴーヴを飲み続けていた友人から、そんなリクエストがあった。「それにしても良いパーティだったね」ありがとう。そんな嬉しいコメントをいただいたら、しっかり応えねばと、「ビストロ808」を開店することになった。パーティの画像や映像をBGVにして、飲もう!と言う企画だ。
集まったのはお気楽妻も含め、偶然にも全員が世田谷在住の奥様(奥様候補生1名含む)たち。成人したお嬢さんがいたり、大学受験の真っ最中のJK娘を心配していたり、家族の季節はそれぞれ違う。会社勤めの仕事をしていたり、ご主人の仕事のサポートをしていたり、職業もバラバラ。けれども、スカッシュを通じて知り合い、美味しいものが好きで、何より美味しいお酒が好きだという共通点で、一緒に楽しく集まれる。
料理は何が良い?と尋ねると、「キャロットラペが食べたい!」「パテドカンパーニュも!あ、美味しいワイン持ってくね♬」「私はバゲット買って行きます!」と、ビストロ808の常連ならではの定番メニューのリクエストが返って来た。ビストロ808のメニューはシェフにお任せ、飲み物は自分が飲みたいモノを飲みたいだけ持参というルール。それもすっかり定着。白ワイン好きのシェフに気遣い、常連は泡や白を持参。
「ヴーヴ持って来ました!」「春らしいサクラのラッピングがあったんで、フェッラーリにしました♬」それは嬉しいね。パーティから続くヴーヴ!わが家にもヴーヴが1本残っていたから、その日もゼータクにヴーヴ三昧。オードブルの盛合せを味わいながら、グイグイと飲み進める。新たな定番となった季節の食材を使ったムースは、パプリカ。世田谷産ネギのマリネも好評。他の定番料理と合わせ、安定の美味盛合せ。
「持ち帰りしたかった!あっ、美味しそう!この料理も食べてない(涙)」「このチーズリゾット美味しかったね」パーティの映像を見ながら、当日の様子を思い出し、楽しかった時間を反芻する。準備に楽しく、当日は本番を楽しみ、終わった後に噛みしめる。一度で何度も美味しく楽しいパーティ企画。「IGA-IGA、またパーティやって!今度はじっくり食べたい」これまた嬉しいリクエスト。了解!何とかしよう♬
5年後に、銀座のセントリックでパーティやろうか。その問いにお気楽妻はビミョーな笑顔。「あんなに大袈裟じゃなくても良いよ」ん。こぢんまりと、ゆったりと、お祝いしようか。さらに5年も年齢を重ねても、アクティブな2人でありたい。「こんな部屋だったら時間気にせずに飲めるね」客室の写真を見ながら友人が微笑む。嗜好や価値観が近く、リラックスして一緒に居られる友人たちと、楽しい時間を過ごそう。
「またヴーヴを飲み続けるってことだよね。しょうがねーなー、こいつら!」と零す妻は、幸福そうな満面の笑み。5年後、そんなお気楽妻も還暦だ。
ハイアットセントリック銀座にはレストランが少ないどころか「NAMIKI667」というオールデイダイニングがあるだけ。とは言え、マルチユースな空間は、コーナー毎に特徴的なレストランであり、大きなテーブルがあるパーティスペースであり、バーでもある。ワンフロア全てを使い、吹き抜けが効果的で、開放的な空間。使い勝手はすこぶる良し。朝食はオープンキッチンのすぐ横に、和洋食のビュフェコーナーが登場する。
壁面には“魚”偏の漢字がPOPに描かれ、業務用キッチンのカウンタートップの上に料理が並ぶ、オシャレなカフェの風情。皿や料理のディスプレーが独特で、大きさや形の異なる皿やボウルが並び、人それぞれのスタイルで料理を盛り付けることができる。この演出はライフスタイルホテルの先輩、「アンダーズ東京」と同様。ちなみに、アンダーズとはヒンズー語で“パーソナルスタイル”と言う意味らしい。ふむふむと納得。
「NAMIKI667」の最大の特長は開放的なオープンテラス。さすがに3月初旬の朝食で利用するには肌寒いが、並木通りを行き交う人たちを眺めながら食事ができるロケーションは嬉しい。銀座の真ん中で(店名の667は、ホテルの住所の銀座6丁目6−7による)、ゼータクなスペース。朝食後、ランチ用のパンを買いに銀座の街をぶらぶら。早朝の街は観光客も少なく、「銀座に住んでいる気分だね」と妻もウキウキモード。
部屋に戻ると(自分たちでドアノブに掛けたとは言え)こんなDD(Don’t Disturb)カードが迎えてくれるのは楽しい。ZZZ〜「EXPLORING SLUMBERLAND 眠りの国を探険中♬」などと記載された遊びゴコロ溢れるカードだ。「ジムに行く準備をしなきゃ」とトレーニング好きの妻がはしゃぐ。ロッカールームもない小さな24h利用可能なジムだから客室で着替えて、ランニングシューズでホテル内をウロウロ。それもまた楽しい。
ハイアットの会員(Discoverist)は、空きさえあれば2時間まで無料でレイトチェックアウトが可能。14時までホテルに滞在できるとあって、ジムでたっぷりと汗を流す。そして部屋に戻ってシャワーを浴び、バスローブに着替えてビール!このフード付きのバスローブが秀逸。薄手の生地なのに汗をよく吸い、何よりも軽い。「これ良いよね」と妻。あの重く厚いタオル地のバスローブは着ていて疲れる!と彼女はいつも不満だった。
チェックアウト後、フロント前にあるライブラリーの雑誌を手に、ラウンジでまったり。このライブラリーの蔵書は、インバウンド観光客向けだけではなく、銀座、東京、日本を知るべき日本人にも充実のラインナップ。嬉しく楽しい視点の情報発信。ちなみに、このホテルは専任コンシェルジュを置かず、全員がフロント、ベル、コンシェルジュをこなすマルチタスクを目指している。スタッフ全員が“情報発信”できるのだ。
「お待たせしました。ご案内いたします」そんなマルチタスクの女性スタッフが声を掛けてくれた。ホテルジャンキーの2人は、このホテルの看板客室「ナミキスイート」の内覧をお願いしていたのだった。部屋でパーティをやりたいので、下見を!と言う半ば本気の理由。エレベータ内でスタッフと雑談をしながら最上階、127㎡の客室に向かう。「すごぉ〜い!」ドアを開けてもらった瞬間、妻のテンションが一気に上がる。
POPな内装の明るい客室。8人掛けのダイニング、カウンタ付きのキッチン、広いテラスなど、ホテルの客室の常識がぶっ飛ぶ。これは楽しい部屋だ。ホテルの客室としては珍しく、室内でのパーティを公認しており、外部からのデリ持込もあり。と言うか、ここは宴会場がないホテルなのだ!自宅で友人たちを招き、パーティを開催する感覚。これは良いね!まさしく正しいライフスタイルホテルの使い方。ここでやろうか!
…5年後には、お気楽妻が60歳、お気楽夫婦は30年。パーティやっちゃうか?
客室のロールスクリーンを開けると、向かい側のビルが近くに見えた。けれどもそれは想定の範囲内。「NYCのフォーシーズンズもこんなだったね」ポジティブな妻の発言。部屋のタイプはデラックス47㎡。面積よりも広く感じる。「やっぱりこの部屋の方がいいね」と妻。実は予約していたのは35㎡のスタンダード。部屋に案内され、窓の外を眺めると隣接するビルの屋上ばかり。上層階だと言われたものの、これは残念。
並木通り側に変えて欲しいとリクエスト。すると、フロントの対応が素晴らしかった。「残念ながら同じタイプで並木通り側のお部屋は空きがございませんが、オプションが3つございます」とスタッフの回答はスムースで合理的。1つはツインタイプ、2つめは低層階だがデラックスタイプの部屋、そして念のために(笑)スイートという選択肢だという。迷わずツインとスイートは除外し、部屋を見せてもらって決めると回答。
冒頭のシーンに戻り、即座に決定。窓の両側にはエレベータ内にあったイラストと同じ作家のパネル、窓際にはカジュアルなカウチ、ティーテーブル、居心地の良さそうなスペースだ。キングサイズのベッドの両側にはデザインの異なる読書灯、水回りと居室コーナーの境にはダイニングテーブルにもなりそうなデスク、マルチユースのテーブル、コンセントがあちこちにあり、機能的かつデザイン性に優れる2人の好みの客室だ。
ベッドサイドのパネルはスライドドアになっており、広いワンルームとしても、水回りと仕切ることもできる。この客室の広さなら、起きている時と眠る時に2wayで使い別けられるこの仕様は嬉しい。このセントリックも含め、“ライフスタイルホテル”というカテゴリのホテルが増えているという。宿泊することを楽しみ、肩肘張らずに過ごし、リラックスして滞在することができるホテル。まさしくお気楽夫婦の嗜好そのもの。
水回りと居室の間に白と黒の、ピアノフィニッシュの塗装がされた、見た目では用途が分からないスタイリッシュな台がある。マルチファンクションテーブルと呼ばれるその家具は、例えば水回り側のカウンタを上げると、裏側が鏡になっており、その中に隠されていた洗面台が登場する。その横の引き出しを開けるとハンドタオルや洗面キットが現れ、逆サイドには冷蔵庫やカップ類などが収納されている。イッツマジック♬
ライフスタイルホテルというキーワードは、これからお気楽夫婦のテーマになりそうな予感。と言うよりは、元々2人はそんな嗜好性をもってホテルを選び、旅をしていた。テーマは、どこに行きたい!と言う前に(何せほとんど観光はしないのだ)、泊まりたいと思ったホテルにのんびりと滞在すること。ジムで汗を流し、プールサイドで読書し、スパで身体を解し、ホテル内で食事をする。まさしく宿泊を楽しむ旅。
お気楽夫婦がこれまで宿泊先として選んで来たホテルは、まさしく(まだこのネーミングにはピンと来ないけれど)ライフスタイルホテル。それを後付けで名前を付けてもらったようなもの。「時代がようやく追いついて来たってこと?(笑)」と妻。窓の外には丸源ビルのネオンが輝く客室で、銀座のコンビニで買った缶ビールを飲み、新橋演舞場で食べようと買った弁当を頬張る。ある意味、まさしくこれが2人のライフスタイル。
…曲解している気がするので、考察は次回にも続く。