スカッシュ2人合宿「グランドハイアットバリ」

Bali1Bali25度目のバリだから観光はしない。というか、お気楽夫婦の“観光”は空港とホテルの間の車窓から街を眺めるだけ。観光スポットを訪ねることは稀だ。特に2017年夏の旅は、スカッシュラケットを抱えた合宿のような旅。スカッシュコートがあるということを評価して選んだのは、ヌサドゥアの「グランドハイアットバリ」。スモール&ラグジュアリーが選択基準のお気楽夫婦が普段なら決して訪れることのない巨大なホテル。屋外プールは7つもあり、ウォータースライダーで某国の家族連れが歓声を上げ、子供たちがプールサイドを走り回る、とても“カジュアルで活気溢れる”(笑)ホテルだ。

Bali3Bali4れど、そんなホテルで快適に過ごす裏技がある。「ベイクラブ」というホテルに併設されたフィットネス&ヘルスセンターが穴場なのだ。リゾートなのにコートコンディションが整ったスカッシュコートが2面、マシンジム、スタジオなどが完備。コート代は有料だけれど、ほぼ貸切状態。早めの朝食を済ませ、午前中はこのエリアを堪能する。撮影NGのスポーツクラブではないから、iPhoneで練習風景の動画を撮ったり、記念撮影をし放題。ジムのスタッフに次々に勝負を挑まれ、悉く粉砕(3戦全勝)して差し上げた。滞在期間中は毎日ジムを訪れ、スタッフとも顔なじみになった。まさに合宿。

Bali5Bali6場である理由のもう一つが、ジムに併設されている屋外プールだ。他のパブリックスペースにあるプールがどんなに混んでいても、この小さなプールにはいつも静寂がある。パラソルはプールサイドに4つほどあるのだけれど、いつも1組いるか、誰もいないかという平和な状態。スカッシュで汗を流し、シャワーを浴びてさっぱりした後に、このプールを独占できるのはかなりのゼータク。プールの底は鮮やかなブルー。周囲の緑と、南国の赤い花と、青い空、赤い瓦屋根がブループールに映えて美しい。聞こえるのは鳥の囀りだけ。これこそがパラダイスかと思える、夢の中にいるような眩しい風景だ。

Bali7Bali8ンチは大勢のゲストで賑わうプールサイドのバーで、フィッシュ&チップスとローカル(ビンタン)ビール。こんなメニューには適度な喧騒が似合う。ランチの後は部屋に戻り、ベランダやリビングルームで読書三昧。滞在中はずっと晴天が続き、程よく暑いけれど湿度は低く、ベランダの読書が快適だった。夏のヴァカンスに向けて貯めてあった本を慈しむように味わう。村上春樹の新作は、ハルキストをくすぐる作品だ。夕方はスパでバリニーズマッサージ。手頃な料金でリラックスできる、これまた至福の時間。スカッシュやジムで走って(アクティブレストで)解れた身体が、ダメ押し的に緩んでいく。

Bali9Bali10メ押しと言えば、グランドクラブのラウンジだ。巨大ホテルの大きなレストランではなく、こぢんまりとしたクラブラウンジにはバランスの取れた賑わいと落ち着きがある。決してメニューは豊富ではないけれど、朝食にはエッグステーションでメニューを選べるし、カクテルタイムにはスパークリングワインやビールが飲み放題。お気楽夫婦は朝夕の食事はラウンジで済ませ、夕食もレストランでの食事はしなかった。カクテルタイムの食事メニューは充実しているという程ではないものの、少食の2人には充分。お腹がやや物足りない分は、読書をしながら部屋でビールやワインを飲めばいい♫

Bali11Bali12テルに隣接したショッピングセンターには、食品や日用雑貨、お土産品が充実。ホテルの案内にも、部屋で飲む分には持ち込んでも構わないとある。そこでチェックイン早々に買い込んだビール、ワイン、おつまみがたっぷり揃い、部屋飲み体制は完璧。まさしく“合宿”だ。香港などと違い、食に大きな期待はなく、街を出歩くこともないから、ジムで汗を流し、プールでのんびり、昼からビール、読書、マッサージ、ラウンジでワンコシャンパン、という循環でホテル内だけで過ごす。夏のヴァカンス前半は、ジムでの時間を最優先する、まさしく2人合宿の楽しい日々だった。果たして後半は?

美味しいキャッチボール「名産フルーツ」

Fruits1Fruits2夏の頃、自分たちでは買うこともない高級フルーツが届いた。美しい網目の模様が入ったメロン。北関東に引っ越した友人が“地元の名産”として送ってくれた。彼女が遠くに引っ越してしまったのはとても淋しいけれど、代わりに彼女に新しい“地元”ができ、名産物を送ってもらえるという嬉しい誤算が生まれた訳だ。さっそく冷暗所で保管し追熟させ、食べる数時間前に冷やし、朝食用のデザートとして美味しくいただいた。とは言え、朝食用だけで食べ切るのはゼータク。夕飯には生ハムを乗せ、ワインを合わせる。メロンの濃厚な甘さと高貴な香り、それに生ハムの塩加減と舌触りとが絶妙にマッチする。この組合せを考えた先人に感謝。ん〜、これはさらにゼータクだ。

Fruits3Fruits4いて、やはり自分たちのためには決して買い求めることもない高級フルーツが到来。山形名産のさくらんぼ。山形県は私の故郷ではあるけれど、さくらんぼが名産の内陸地方ではなく、米どころの日本海側の庄内地方。山形=さくらんぼと言われてもピンと来なかった。ところが、末弟が結婚し新居を構えたのが、同じ山形県内でも正にフルーツが名産の内陸部の街。ありがたいことに、季節ごとにさくらんぼやブドウなどが届くようになった。フルーツ好きの妻は大喜び。とは言え、さくらんぼはデリケートなフルーツ。早めに食べねばと、朝食のデザートだけではなく、妻のサラダランチ弁当用にミニ容器に入れアドオン。彩りも鮮やかなゼータクランチBOXになった。

Fruits6Fruits7夏に届いたのは、箱いっぱいのセクシーで美しいお尻、のような桃。長野の実家に帰省した友人からのギフト。やはりこんな見事でたっぷりな量の桃は自宅用では手が出せない。嬉しくありがたい。せっかくなので、今まで苦労していた皮の剥き方と変色の防ぎ方を調べてみた。すると、お尻の谷に添って切れ目を入れ、アボカドと同じように回しながらタネを外すと美しく剥くことができ、レモン汁に浸けておけば変色も防止できることが分かった。すると、生ハムやブルーチーズと合わせてサラダにするなど、食べ方が広がる。これは美味しい。ブルーチーズと桃の相性は抜群。前週のビストロ料理を再現し、パテドカンパーニュやキャロットラペまで作ってみる。これは楽しい。

Fruits5ちろん、頂くだけではなく、お気楽妻の故郷の名産である「ハウスみかん」を送ることも忘れない。冬の「青島みかん」も糖度が高く美味しいけれど、夏場に出荷されるハウスみかんの甘さ、皮の薄さ、食べやすさは、私にとって“King of Fruits”と称しても良いほど。え?夏にみかん?と思いながら、初めて食べた時の衝撃は、今でも忘れない。その衝撃の美味しさを北関東に、山形に、長野ではなく世田谷に、送っている。つまり、お互いの名産フルーツを、キャッチボールのように送り合っているという訳だ。自分たちが食べて美味しい自慢の名産フルーツを送り合う、美味しく楽しいキャッチボール。それも、自分たちのためにはゼータクだけれど、お送りするには手頃。美味しいものを相手にも食べて欲しいという気持ちも込めて。

ころで、狭義のフルーツとは、樹になる果実。つまり、メロンやイチゴは、厳密な植物分類上は果実的野菜、すなわち「果実のように食べられる野菜」らしい。逆に、その定義上ではアーモンドや栗なども果実に分類される。「だから私はフルーツ好きで、ナッツ好きなんだ」とお気楽妻。風呂上がりに身体を冷ますためにと冷凍のベリーミックスを貪り、夜中に身体に良いからとナッツを抱えて大量に齧る彼女は、間違いなくげっ歯目の血が濃く流れている。

酔っ払い双六「ビストロ808 vol.20」

Bistoro808-1Bistoro808-2度のビストロ808、ワインを宅急便で送っていいですか?」記念すべき20回目の「ビストロ808」のゲストは常連のI葉夫妻、そしてスカッシュ仲間の酒豪奥様たち。お気楽妻は飲まないから、せいぜい6本くらいのワインが届くのかと思っていた。ん?重いぞ。と、開けてびっくり。10本ものワインが入っていた。それも全部白ワイン。「今回のワインのテーマは、シャルドネ以外の全部制覇!なんです」飲めばサダコと化すI葉妻、ただの酔っ払いかと思えば、実はオランダ駐在時代はワインショップで仕事をしていたという筋金入りのワイン好き。夫婦2人で飲むワインの量も生半可ではない。そんな彼らの選んだワインラインナップは、白ワイン好きとしてはかなり嬉しいぞっ♫

Bistoro808-3Bistoro808-4招きありがとうございまぁす♪」乾杯をしたのは、まだ明るい時間。早くウチに帰れるということではなく、早くから長く飲めるとノンベたちが設定した時間。とは言え、まだ皆んな1本目くらいまでは上品な奥さまの風情。まずはオードブル盛合せからスタート。今回の新作はとうもろこしのムース。師匠のシェフ「ビストロトロワキャール」の聡ちゃんが作ったモノが余りに余りにも美味しかったので、再現は無理でも作ってみたかった。「うわぁ〜!おいしぃ♡とうもろこしの甘さが自然でいいね」うん、よかった。試作を何度か繰り返し、スーシェフのOKが出た苦心の作だ。ちなみに、なぜか味見をして客に出せるかどうかはスーシェフ(妻)が決定権を持っている。

Bistoro808-5Bistoro808-6バのリエットおいしぃ!作り方教えて!」と、I葉妻。ん?デジャビュ。常連の彼女には前もレシピを伝えたはずだけど、最後はいつもサダコだから、きっと記憶にないんだろうなぁ。と、サバ缶を使った簡単レシピを伝授。「生ハムとブルーチーズとフルーツって合うねぇ」ネクタリンを使ったサラダも好評。順調にワインも空になっていく。メインを出す前に、追加のパテ食べる?と聞くと「はいっ!」と全員が一斉に手を挙げる。またも美味しいと満面の笑顔になり、さらに美味しいと何度も何度も繰り返す。その生態は同じ酔っ払いとして理解できる(笑)。話題もあちこちに飛び、その度に笑いが弾ける。皆んな食いしん坊で明るい酔っ払いだ。

Bistoro808-7Bistoro808-8インのローストビーフです!」I葉夫が得意そうに皿を持っているのは、その日唯一スーシェフが作った肉料理。合わせるのはシェフの作った4種のベリーを使ったベリーベリーソース。この頃になると空いたワインのボトルは軽く半ダースを超え、“あいつ”の登場が近い気配が感じられる。酔っ払いたち(自分も含む)は既にかなりご機嫌で、飲む→食べる→笑う→ふりだしに戻る→飲む→食べる→さらに飲む→酔うという「酔っ払い双六」で順調にコマを進め、上がり(または1回休み)に向かっている。酒豪の奥さまたちからは、遠慮とか、おすまし、という表情がすっかり消え去り、生き生きとした“私はご機嫌な酔っ払いだぁ”という顔になっている。あ、またグラスが倒れた!

Bistoro808-9Bistoro808-10日はダイジョーブです!絶対、寝ません!」空のワインボトルが9本を超えた頃、あいつがやって来た。不思議なことに、大丈夫と言った直後に、あいつは突然やって来る。燃え尽きる前のロウソクがフッと明るくなる、そんな感じ。現れたのは、いつも通りのサダコだ。この日はダイニングテーブルに突っ伏し、顔が多少見えてはいるから真性サダコとは言い難いが、周囲が警戒しつつも登場を楽しみに待っている気配もある人気者(笑)が現れ、宴の終わりを感じる一抹の寂しさも味わう。きっと彼女は全力で飲み、全力で楽しみ、力尽きるのだろう。燃え尽きた彼女を労わるでもなく、証拠写真を撮るダンナと仲間たち。双六の“あがり”、サダコは1回休みでゲームセット。

日はごちそうさまでした。千夏ちゃんの結婚式の映像みたかった〜」「えっ!繰り返して2度見てたよ!」「覚えてない〜」「私もどうやって帰ったか記憶にない!」翌日、ビールを数本飲んだ後、9本半のワインを飲んだ酔っ払いたちと、唯一素面のお気楽妻の間でメッセージが交わされる。ゲストに何を食べてもらおうかと楽しみ、飲んで食べて愉しく、楽しく酔っ払った(恥ずかしい)記憶を味わう、1度で3回味わえる楽しさ。これだからビストロ開店は止められない。次回開店は、きっと秋。さて、どなたをお招きして、どんな料理を作ろうか。

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SINCE 1.May 2005