おまけのクラム・チャウダ「リーガル・シーフード」
2005年 7 月17日(日)
そこは清潔で無機質で、近未来のエア・ターミナルのようでもあり、核シェルターのようでもある。ワシントンの地下鉄の駅は、日本だったら照明が切れているのか?ぐらいの明るさしかない。その薄暗い構内を背筋を伸ばして歩く人たち。その歩調はNYCのように速くはないが、のんびりしているわけでもない。首都ワシントンD.C.は、ボストンとも違った、大きな地方都市のように思えた。
「リーガル・シーフード」はボストンを中心としたチェーン店。シックな内装のこぢゃれた店。ワシントンのダウンタウンにも支店があった。この街はオシャレなブラック・アメリカンが多いのだけど、この店にも振り返りたくなるクールなグループが談笑している。彼らの佇まいはシャンとした空気を周囲1mぐらいの範囲で纏っている。
食欲はあるけれど、胃のキャパが小さい我々2人は、彼らの1人分しか食べられない。店の名物クラムチャウダも、ロブスターもシュリンプのフリットもシェアして食べるしかない。そんなオーダーをすると店のサービス係、一見やくざなお兄ちゃん、ボブ(仮名)が言った。「なんで、1人分なんだぁ?美味しいよぉ。ウチのクラム・チャウダは。食べなよぉ。これは俺がご馳走するからさぁ。食べなきゃさぁ」まさか貧乏な日本人留学生に見られた訳ではないと思う。ボブの好意はありがたい。でも、食べられないのだ。「ありがと。でも、これを人数分食べると残りが食べられないんだよぉ」…心の叫び。
ボブ(仮名)自慢のスープが運ばれてきた。美味しい、確かに。食べた。残さずに飲んだ。旨かった。チャウダの上にクラッカーも乗せた。これも美味しい。通りかかったボブに礼を言うと「だろ?やっぱりこれを食べなきゃ!旨ぇだろ?だろ?」まくし立てるボブの前でclam(無口)になる2人。そして、ボブの手前、残すこともできず、食べられないのは量が多いからだとアピールするために、シュリンプ・フリットをドギー・バッグに入れて持ち帰る2人だった。