和みの空間、安らぎの時間「嵯峨沢館」
2005年 10 月16日(日)
日本旅館もなかなか、かな。そう思い始めたのは永遠と思っていた人生も半ばを過ぎた頃。そして画一的な大型温泉旅館ではなく、“和風モダン”と、これまた残念ながら一括りにされてしまうことが多い、小さな旅館に泊まりはじめてから。ホテルの好みと同様に、スモール&ラグジュアリーな宿であれば、ホテルおたくを自称する妻もOK。元々温泉は好きだし、旅館も悪くないかなと思い始めたらしい。(人生の半ばを過ぎたからだけではなく・・・)
妻の両親に招待され、修善寺の嵯峨沢館に宿泊した。駐車場に向かうと、係りの男性がまるでずっと到着を待っていたかのようにどこからかすっと現れ、空いたスペースに案内される。導かれた小さなエントランスを入ると、フロントを素通りして、庭に続くウッドデッキが開放的に広がるサロンに通される。和洋折衷の美しいソファに座ってチェックインの手続きをする。おしぼりと一緒に供されたゆず茶が美味しい。ウッドデッキの向こうにはデッキチェアが並ぶ小さなプールがある。改装されて、いわゆる和風モダンというより、リゾートホテルの趣を取り入れた“RYOKAN”になったようだ。
接客は適度な親しみやすさと、適度な距離感。深入りせず、慇懃でもなく。ふ~ん、良い感じ。そして何より、31室の客室の大半に露天風呂が付いているのに、館内には大小12ヶ所のお風呂がある、温泉好きには堪えられない宿だ。(我々4人の部屋にも、贅沢な円形の檜作りの露天風呂があった)結果、貸切の風呂でなくとも、貸切気分。宿泊者数に比べて、風呂の絶対数が圧倒的に多いのだ。ふにゃふにゃになりながら2日間で大半の風呂に入り、鮎で有名な狩野川の川音を聞きながら、デッキでのんびりと過ごした。(ここは読書に最適。やはり時間帯によっては貸切になる)
それにしても、両親と一緒の旅行だとすっかり“一人っ娘”に戻る妻は、終始リラックスモード。旅館ならではの食べきれない量の食事(これだけは、なかなか馴染めないし、なかなか変わらない、確かに美味しいのだけれど。そしてこの宿は少量多品種なのだけれど)にカロリーを気にしながらも、「また来たい宿だねぇ」と呟いた。