博多の怪しい夜が更ける「小金ちゃん」(後編)
2006年 2 月26日(日)
博多の屋台に集い、盛り上がる2グループと1人。その日に初めて会ったとは思えない。その上、1人は日本語が余り話せない韓国の娘。傍目には怪しい集団。しかし、思えば釜山は高速船ビートルで僅か3時間弱。東京より近い街。両国の関係は良好とは言えないが、個人レベルでは、こんな接し方もできる近い国。自国語では互いに意思が通じなくてもブロークンな英語でコミュニケーションはできる。・・・あ、1人いた。両国の架け橋、ことばの通じる謎の男が。
「ココでお会いしたのも何かのご縁。じゃあ一緒にカラオケにでも行きますかぁ!」日韓の架け橋、謎のバイリンガル男から、そんな提案。一瞬躊躇ったものの、カラオケも、こんなノリの軽さも嫌いではない私。「じゃあ、行きましょうかぁ!」同僚たちを引き連れて夜の街をぞろぞろ歩く。・・・これは屋台で出会った縁なのか、博多という人なつっこい街が作る空気のためなのか。“釜山から来た一人旅の娘”が媒介となったから?東京のどこかの街で同じように出会っても、こんな状況にはなっていないだろうなぁ、きっと。
真夜中の天神西通り、カラオケボックス。不思議な9人のグループ。モニターに映る韓国語の歌詞も見ずに歌う、謎のお囃子くん。釜山の彼女も思わず口ずさむ。踊る。彼の振り付けも合っているらしい。いったい彼は何者?負けじと彼女のリクエストしたビートルズナンバーをデュエットする私。店を出る頃には、皆すっかり意気投合。路上でもビートルズメドレーを歌い続ける、おバカなやつら。・・・こうして博多の夜は更けて行った。
その日の宿泊先は「西鉄グランドホテル」。博多の名門、老舗ホテル。老紳士の佇まいのような、落ち着いた良いホテルだ。今までも会社負担分との差額を自腹で支払いながら、ゆったりできるホテルに泊まってきた。博多の場合はグランドハイアットやホテルオークラなど。いずれのホテルもゆったり贅沢に過ごすことはできた。しかし、その日のリラクゼーションのポイントは、ホテルの施設でもサービスでもなかった。不思議な出会い、怪しい夜がこの街の魅力をさらに増幅させ、私をすっかりリラックスさせてくれた。
それにしても、「楽しかったですねぇ。今日は我々に払わせてください」とご馳走してくれた、お囃子くん。ありがとう。(年上なのに、逆に奢られてどうする?)いつかまた、どこかの(夜の)街でお会いしましょう!