食の誤解と疑惑「牛丼と宇宙食」

Photo_96牛丼が食べたくなる夜がある。頭の中を「牛丼」の文字と、オレンジの看板がぐるぐると回る。「うぅっ!牛丼が食べたい!」と口に出すと、周囲は不思議そうな目。「IGAさんって、牛丼食べるんすか?」「牛丼なんか食べないと思っていました」「すっごい高い牛丼だったりして」…転職して2年弱、まだまだ私のキャラクターは出し切ってはいないし、あまり積極的に伝えようともしていない。“謎のあるキャラ”も、また良し。「積極的に好きだよ、牛丼。一緒に食べて帰ろうか♪」残業で残っている同僚を連れて吉野家に向かう。

輸入が再開されたアメリカ産牛肉にこだわり、牛丼を出さずにいた吉野家の牛丼がほぼ復活。午前11時から深夜0時までの時間限定。“ほぼ”と、自ら宣言しているのがちょっと微笑ましい。オーストラリア産を使用した松屋やすきやに対して、豚丼など他のメニューで凌いだ日々に、吉野家自身が嬉しいんだろうなぁと感じさせるキャッチ。BSE問題で他のチェーンも豚丼をはじめとしたメニューが増えたが、何と言っても“牛丼一筋”の吉野家にとって痛手だったよなぁ。決して現在のアメリカの管理体制が万全だとは思わないけれど、食の安全は、雪印や不二家の問題のように、国内の足元から揺らいでいるからなぁ、と思いつつ、牛丼をぱくつく。…うん、ふつーに旨い。

Photo_97お気楽夫婦は、“グルメ:食通”では、決してない。美味しいものが大好きな“グルマン:食いしん坊”。美味を追求するというよりは、気の置けない仲間たちと楽しく美味しく、飲み食べる“空間”や“時間”が大好きなだけ。仕事帰りに、2人一緒に気分良く食べたいだけ。決して飽食を求めているわけではない。例えば、妻は“宇宙食”と呼ぶジャンクなスナックを残業食として大量に買込む。8個入ったパッケージで100円。会社で1個食べ、家に帰って柿ぴーのコブクロを2つ食べる。そして、私が出張で家を空けるときはポップコーンが主食になる。大好きなこれらの食品を(私に白い目で見られることなく)食べるのが、妻の愉しみ。同様に、私も妻が遅くなる夜は、安売時に買込んだシャケ缶とレトルトの豚汁、さとうのご飯で夕食を済ませる。これも実は積極的に好きな取り合わせ。シャケの水煮にマヨネーズと七味をかけて、箸で小さくつまんだ身を口に含む。あつあつ(さとうの)ご飯をがしがし食べる。具沢山の豚汁をずずっ。…ふんふん、美味しい♪

先日、ある昼食会に招かれ6,500円也の天ぷら膳をいただいた。メニューを眺め、一番お安いメニューをオーダーしたのだけれど、そのお値段。食事をしながら、もちろん仕事の話。まだ余り親しくないお相手だけに気を遣いことばを選ぶ。せっかくの料理が全く美味しくもなく、リラックスして味わえもしない。だったら、同僚と仕事を離れた話題でだらだらと話をしながら、“吉牛”の並盛380円也をかき込む方が、どんなに美味しいことか。…ちょっと贅沢して、生野菜サラダ90円とトン汁150円も付けちゃおうか!

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