すき焼派?しゃぶしゃぶ派?「木曽路」
2007年 10 月20日(土)
外国人にとって日本料理の代表は、寿司、天ぷら、すき焼が御三家。しかし、お気楽夫婦としては異議を唱えたい。寿司、天ぷら、まではOK。寿司も天ぷらも季節の味を楽しめるし、カウンタで好みのネタをひとつひとつ選ぶシステムは値段以外は実に合理的。しかし、すき焼は、タレの味が濃く、牛肉本来の旨さが遠くなるし、喉が渇く。それを防ぐために生卵を異常なぐらい消費する。ふだんはそんなに卵は食べないでしょう!ぐらいの量を摂る。これはコレステロール値の高い2人にとってはむしろ敵であり、旅行者にも薦められない。
それに比べて「しゃぶしゃぶ」は、牛肉本来の脂の旨みを残しつつ、スープに適度に溶け出す脂で味もさっぱり、スープも美味しくなるという合理的な鍋。このスープで食べる野菜がまた美味しい。それに胡麻ダレと、ポン酢とで食べ分けることもできるから、味に変化がついて飽きない。肉や野菜から出た灰汁も捨てるからえぐみもない。そして最後はきしめんなどの締めまでばっちり。やっぱり「しゃぶしゃぶ」の勝ち!ところで、なぜか無性にしゃぶしゃぶを食べたくなることがある。スカッシュ帰りのタクシーから、環8沿いにある「木曽路」の看板を眺めては、しゃぶしゃぶ食べたいなぁと呟くと、妻も「やっぱりすき焼よりしゃぶしゃぶだよね」と答える。(早い話“なぜか”ではなく、単にスカッシュ帰りでお腹が好き、看板を眺めて刺激を受けているだけでもある)そんな二人はしゃぶしゃぶ派。
学生時代に飲食店でのバイトが多かった私は、銀座の名門銀座らん月や銀座スエヒロでも働いた。当時の<らん月>は、地下が酒の穴と称する酒呑み処、1階と2階がすき焼としゃぶしゃぶ、3階がかに料理、4階と5階がお座敷となっていた(気がする)。私は揃いの制服でお客様をご案内するドアボーイだった。予約客を席に案内し、フリー客は大まかなお好みを聞いてフロアを案内する。不思議なことに、韓国人旅行客はしゃぶしゃぶを希望する方が多かった。そして、もみじおろしを大量に追加する。そりゃあ辛いだろっ!と突っ込みたくなるほど。ところが、浜松生まれの妻も同様の辛さを好む。カプサイシンに騙され易い私が見ているだけで汗をかくほどのもみじおろしを平気で食す。ふぇ。
ある夜、しゃぶしゃぶを食べるために木曽路に向かった。お祝いの席も多い大きな店。家族連れと一緒のお座敷に通される。「お子様連れがご一緒ですが」とお店のスタッフに丁寧に案内される。ふ~む、細やかな心遣いはさすが。そう言われると、構いませんと言うしかない。まずは戻り鰹のたたきを頬張りつつ、ビールをぐびぐびと飲む。ぷっひゃぁ、旨い♪この1杯のためにスカッシュをやってるんだよなぁ。続いてしゃぶしゃぶ。小食の2人はごはんセットは1人分。でも、肉は追加!食べ比べと称して値段の違う肉を頼む。う~む、やっぱり違うなぁ。牛肉は値段相応。しみじみ旨い。「いかがでしたか」頃合いを見て、先ほど案内してくれたスタッフが顔を出す。美味しかったですと答えるとスポーツの帰りですか?と尋ねられ、話をする内に同じスポーツクラブに通っていることが分かる。あらら、それではいつかご一緒しましょうと話しつつ席を立つ。学生だった当時は、そんなコミュニケーションが取れなかったなぁと呟くと、「そりゃぁ当然でしょ。でも、お客としてマメに店の人とコミュニケーション取ってるから、良いじゃない」確かに私の特技は店の人と仲良くなること。親しみ易さが加わると、美味しさも倍増。