大人買い「THE POLICE」
2008年 2 月16日(土)
「スティングが、いちばん好きなヴォーカリストかなぁ…」そんな妻のセリフは意外だった。かつて持っていたLPを全て売り、CDに買い換えたアルバムを中心に、わが家には数百枚のコレクションがあるものの、「THE POLICE」のアルバムは1枚きり。「あの頃は貸しレコード屋さんでアルバムを借りてダビングするか、エアチェックしてたなぁ。カセットほんとにたくさん持ってたよ♪」え、貸しレコード屋さん、知ってる世代だっけ?そうか、妻も同じだったんだ。80年代、2人は共に“カセットテープ”で音楽を聴いた学生時代を過ごしていた。その頃持っていたテープは今はないし、もしあったとしてもカセットテープを聞く「装置」もない。そんな2人のCDコレクションから抜け落ちてしまったアーティストたちの中に、「THE POLICE」はいた。じゃあ、ポリスの来日公演、行こうよ!(ちょっと高いけど)「うん、良いよ♪」えっ!行くの?良いのか?13,000円×2枚!
その日は朝から「WALKING ON THE MOON」が頭の中で、ずっとリフレインしていた。繰り返し、繰り返し、STINGが歌う、甘く、高く、太く、セクシィな声が聴こえていた。「Walking on , Walking on the moon . Some may say・・・」甘くほろ苦く、ちょっと胸が軋むような、20歳の頃の情景を思い出させるヴォーカル。妻は「EVERY BREATH YOU TAKE」が好きだったという。ふぅむ。どんな思い出があるのかは知らないけれど。
Every breath you take
And every move you make
Every bond you break,
Every step you take
I’ll be watchin’ you
・・・中略
Since you’ve gone I been lost without a trace
I dream at night, I can only see your face
I look around but it’s you I can’t replace
I feel so cold and I long for your embrace
I keep cryin’, baby, baby, please
…当時、そんな風に好きだった女の子がいた。(どうも今日はしみじみしてしまう)あ、ちなみに、妻のことはこんな気持では表せない程好きになったのは言うまでもない。
THE POLICE、27年振りの来日公演。お気楽夫婦はそれぞれの思いを胸に東京ドームに向かう。席はこんな時に限ってアリーナ。スタンドでのんびりビールを飲みながら聴きたかったのになぁ。それでも紙コップのビールを抱えて座席に向かう。周囲は同世代と思しきカップルやグループでいっぱい。辿り着いた場所は<プレミアシート>に向かう通路のすぐそば。見知った顔が何人か目の前を通る。前職の会社の懐かしい顔も何人か。ふっと客電が消える。うぉ~という声が東京ドームを包む。1曲目「MESSAGE IN A BOTTLE」の前奏が始まると、皆自分の年齢を忘れて思わず立ち上がる。「DON’T STAND SO CLOSE TO YOU」、「EVERY LITTLE THING SHE DOES IS MAGIC」懐かしい曲の演奏が続く。うぁ、涙が出そう。「DE DO DO DO DE DA DA DA」のサビを一緒に口ずさむ。「ROXANNE」で演奏終了。あ、ほんとに水分が滲んできた。やばっ。
「まさか公演中、ずっと立ってないよね?」演奏の合間、妻が心配そうに呟いた。ところが、中途半端に元気な世代。アンコール最後の「EVERY BREATH YOU TAKE」と再アンコール「NEXT TO YOU」まで、一度も座ることなく、ちょっとお疲れ気味ではありながら聴き続けた。もちろん妻も。「スティング、若々しいよねぇ。いくつになるんだろう?」スティング、56歳。ベースを弾く姿はまだまだセクシィでエネルギッシュ。チラシの若き日の写真のようにはジャンプできなかったけれど。「良いライブだったね。やっぱり良いね、スティング」ちょっと遠い目になる妻。それぞれに過ごした20代までのいろんな思い出を抱えて、たまにこうして掘り返して、今度は2人の思い出に変えて、お気楽夫婦の“お気楽な時間”は過ぎていく。ポリスのオリジナルアルバム、全部買っちゃう?「良いねぇ♪さっそくAmazonで…」1978年にアルバムデビュー、1984年に活動停止したポリスの活動期間は意外と短く、オリジナルアルバムは全部で5枚。よしっ!まとめて買って一緒に聴こうか。