とっくに梅雨明け?夏の定番「金針菜とモンゴウイカ」

Photoになると食べたくなる野菜がある。その歯応えは、シャキシャキとサクッとクニッとして、グリーンアスパラやインゲンのそれにも似ているけれど、もっと繊細。海老や棗と一緒に塩味でさっと炒められたその夏の一皿は、彩りも鮮やか。お気楽夫婦の住む街の隠れた名店、萬来軒のおじちゃんが得意とする料理だ。その野菜の名前は「金針菜(キンシンサイ)」。知る人ぞ知る、高級中華食材。ユリ科ノカンゾウの蕾。乾燥させたものは色鮮やかな黄色。名前の由来はそこから来たのかもしれない。そして、この一皿に使われるのは、滅多に流通していない生の金針菜。これが、旨い。こってりした味付けが多い中華料理の中で、貴重な一品。おじちゃんの抜群の塩梅が素材の美味さをぐっと引き出す。

Photo_2して、同じ塩味で忘れてはいけないのは、この一皿。「モンゴウイカ」とフクロタケ、パプリカなどを炒めた一品。肉厚のモンゴウイカに包丁が入れられ、白い花が美しく開いた趣。それにパプリカの赤と、大葉の緑が映え、食欲をそそる。これが、実に美味い。暑い夏、食欲が無くなったときにもお薦め。あっさりとしている味付けの中に素材の旨みが濃縮されている。それに、くきゅくきゅとした歯応えが良い。食感も大事な味のひとつ。「相変わらずおじちゃんの料理は美味しいよねぇ♪」一緒に出掛けたご近所の友人(妻)も絶賛。休日出勤で到着が遅れている友人(夫)の分を取り分ける。「温かいのが美味しいのにねぇ」ちょっと淋しそうに呟きながら。「でも、私は熱々を食べちゃおうっ」・・・錯覚でした。

Photo_3らに、これまた定番の「四川水餃子」。これは季節に関係なく美味しい一皿。大きめのワンタンのような縮れた皮に包まれた平べったい餃子。そこにおじちゃん手作りのラー油と芝麻醤をベースにしたタレがたっぷり掛けられる。くぅ~っ、旨い。八角などの中華香辛料の香りが食欲を刺激し、ビールが進む。この店は街の中華料理屋さんでありながら、いわゆる日本の中華料理屋メニューに並ぶようなものは少ない。と言うよりは、メニューにあっても目立たず、常連さんがそれらの料理を選ぶことは少ない。たまには、酢豚でも頼んでみようか。

Photo_4には酢を使った料理を忘れちゃいけない。かりっと揚げた豚肉としゃきしゃき野菜が甘辛いタレと抜群の相性。旨い。実は私は大の酢豚好き。でもこの店で頼むのは初めて。一息付いたおじちゃんが白衣を着たまま店に出てくる。「酢豚なんて珍しいねぇ。作り方忘れちゃってましたよ。ふぁっふぁっふぁっ」でも、おじちゃん、かなり美味しいよ。それにしても、気象庁はうだうだと梅雨明け宣言をしないけれど、気分はとっくに梅雨明け。毎日暑い日が続く。そんな日には、萬来軒の夏の定番料理を食べて乗り切ろう!「まぁ、私には夏バテって関係ないけどね」深夜までの残業が続き、毎晩終電帰りの妻が呟く。・・・相変わらずタフである。

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