ショコラ、ショコラ、ショコラ「ショコラティエ・ミキ」千歳烏山
2008年 11 月22日(土)
お気楽夫婦が南半球の羊の国でスカッシュとワイン三昧の日々を過ごしていた頃、北半球の花の都でチョコレートと格闘していた女性がいた。2人が住む街に小さな店を持つショコラティエンヌのミキちゃん。日本では新宿伊勢丹で開催されることで有名になった「サロン・デュ・ショコラ」のパリ会場に参加したのだ。規模も雰囲気も(百貨店の催事とは)全く違う大イベント。ある週末、直接パリでの様子を聞くために彼女の店を訪ねた。ドアを開けると「あぁ〜、IGAさん、こんにちは♪行ってきましたぁ」と相変わらずの可愛らしい声で出迎えられる。パリはどうだった?「とぉっても、たいへんだったんですけど、貴重な経験でした。きっとこのことは一生記憶に残ると思います」ん?何かトラブルでもあったの。
「空輸したボンボンショコラがダメになっちゃったんです。見た目では分からないんですけど、味はいつものと全く違っていて、これを食べていただく訳にはいかないと思って、全部廃棄しました。勇気が要りました。きっと私がチョコたちに無理させちゃったんです」それは凄い。で、代わりに現地で作ったの?「いえ、後から来てくれたダンナ様にオランジュを持ってきてもらって何とか間に合いました」明るく話すミキちゃんは、なんだか職人として、経営者として、ひと回り大きくなっていた。嬉しく、ちょっと眩しい気分。それはそうと、今日は何を買おうか。「よろしければ、秋の限定マロンを召しあがってみてください」「じゃあ、今日はねぇ、マロンを4つ、ノエルを2つ・・・」妻が嬉しそうにボンボン・ショコラを選んでいく。この繊細なショコラたちは妻のお気に入り。大切に、大切に味わって食べる幸せな味だ。
ところで最近、私が買って帰る定番みやげがある。クライアントの事務所がある自由が丘の割れチョコ専門店「チュベ・ド・ショコラ」のチョコレートだ。元々は割れてしまったチョコを販売したところ、人気が出て最近ではわざわざ割って販売しているという、本末転倒的な、とは言ってもやっぱり美味しいチョコの店。ミルク、ビター、ホワイト、マーブルなどのチョコにアーモンド、クランチなどの組合せがあるため種類も豊富で、毎回訪問の度に悩んでしまう。「割れチョコミックス」という詰め合わせもあるが、数量限定のため買えた試しがない。けれど、割れているから食べやすく、甘さも抑えめで、ボリュームも充分。仕事の帰り、待ち合わせた妻にチュベ・ド・ショコラの袋を渡すと目が輝く。「やったぁ♪すぐ食べて良い?」感情表現の薄い妻としたら最高のテンション。大胆にガブッとかぶりつく幸せな味だ。
そして、妻の好みが分からなくなってしまう!と友人に言われるのがこれ。「シーズ・キャンディズ」だ。カリフォルニア発祥の、いかにもアメリカのチョコの味。ガサガサと詰め合わせてもらい、ワシワシと食べる、椎名誠的なお気軽チョコレートとして妻の大のお気に入り。なのに今はベルギーやフランスの上品、大人系のチョコに押されたのか銀座と原宿に店舗があるのみ。最近はご無沙汰。友人の映像作品上映会を観に原宿まで出かけたある週末、「シーズ行くよ!」と宣言する妻。お店に入るや「値上がりしたね(怒)」と呟く。とは言え、定番の「ナッツ&チュウズ」をきっちりとご購入。「ふふふ♪」とほくそ笑む妻。彼女のチョコレートの好みの軸は、どこにあるのだろう。「美味しさはひとつだけじゃないし、それぞれが美味しいのさっ!お酒もそれぞれ飲み方と味が違うでしょ」むむむ、そう言われればそうではある。しかし、100g単位で体重を気にするのに、このチョコの消費量は・・・。かくして我家の冷蔵庫はビールとワイン、そしてチョコレートの保管庫と化すのだった。