Archive for 11 月 3rd, 2008

キーゥイはフレンドリーな体育会系?「NZ人気質」

Photo_7 ールド・マスターズ・スカッシュの試合会場で突然話しかけられる。「グッダイ!君は日本人かい?だったら○○さんを知っているかい」さぁ…知らないですけど。「あぁ、そうか。残念だ。彼と対戦するんだけど、試合前に話をしたかったのに」…なるほど。敵を知るというよりは、わざわざ9,000㎞を飛んできたスカッシュ仲間と友好を深めたいという雰囲気。「ところで、君の相手は?」対戦表を示すと、「おぉ、彼はキーゥイだね。良い試合を!」と会話が続く。ニュージーランドの人々は自らをキーゥイと呼ぶ。キーゥイとは羽が退化して飛べなくなった鳥、ニュージーランド固有種「キーウィ・バード」のこと。その呼称にはネガティブな響きはなく、むしろ親しみを込めて呼ばれている。マオリと呼ばれるニュージランドの先住民にキーゥイに関する寓話がある。森の王からの要請で、地上の虫たちによって病んだ森林を守る鳥としてキーゥイが地上に降りたという。自利よりも他利、相手を思いやる気持の象徴。

Photo_4ールド・マスターズの会場にはそんなホスピタリティの心が溢れていた。OVER35や40のトップクラスの試合はともかく、OVER55、OVER60ともなると、試合よりも親睦優先。試合が終わると勝った選手が「Would you like some drink?」と負けた選手に飲み物をごちそうする。そしてもちろん自分の分も買ってきて「Cheers!」とビール瓶で乾杯。だから、あちこちの会場でビールやワインを片手に審判する選手たちの姿が見られる。妻が試合を終え、対戦相手のキーゥイのおばちゃんと記念品を交換。(女性の場合は飲み物ではなくプレゼントが多いようだ)記念写真を撮り合い、握手。「ニュージーランドは楽しんでる?試合は楽しんでる?」と聞かれる。「えぇ楽しんでますよ♪良い街ですね」と答えると、「それは良かったわ」と実に嬉しそうに再度握手を求めてくる。

Photo_5ぢゃれたワインバーでスタッフに写真を撮っても良いかと尋ねると、「私が撮りましょうか?」。暗い店内でフラッシュがたかれる。周りの客も温かく見てくれている。「縦位置でもう一枚撮る?」実にカジュアルでフレンドリー。あるワインショップでも「ニュージーランドを楽しんでいるかい?」ええ、毎日美味しいワインをたっぷり飲んでますと答えると、「それは良い」と何種類も試飲をさせてくれ、NZのワインの美味しさを丁寧に説明してくれた。(つい2本も購入してしまった)そして、そんな会話は「良い旅を!」と締めくくられる。

Photo_5ーバーを眺めるレストランではスタッフが気さくに話しかけてくる。「どこから来たの?日本?だったら東京かい?東京には人がたっぷり住んでるんだね。この海鮮プレートは大きいって?僕はそうは思わないけど。でも、とても美味しいよ」早口のキーゥイ・イングリッシュでたたみかける。(実際このムール貝、手長海老、ホタテ、イカなどをたっぷり乗せたリングイネは、一皿でお気楽夫婦2人が食べるのに充分な量だったけれど)いずれもその口調は柔らかい。そして何よりも人種に対する偏見が少ない(ように感じる)。マオリ語やマオリ語に由来する固有名詞が街に溢れ、観光客の視線で見る限り、ヨーロッパ系の人種とマオリ、アジア系の人々が自然に融合してもいる。

Photo_8 して気付けばNZの街にはスポーツウェア姿、バックパッカー姿の人々が実に多い。通学の子供たちだけではなく、通勤姿の大人(女性も)が本格的なサイクルウェア、ヘルメット、アイウェアで街を颯爽と走っている。だから、会場間を移動する日本選手団のスポーツウェア姿は違和感なく街に溶け込む。そうなのだ。この国はスポーツが身近にある。国民的な人気のラグビーのニュージーランド代表チーム「オール・ブラックス」に代表される「観るスポーツ」だけではなく、ラグビー、テニス、スカッシュ、ヨットなど地域に密着したクラブ育成のプログラムがある。そして何よりスポーツを愛する、自然を愛するキーゥイ気質はそのライフスタイルに現れている。フォーマルよりカジュアル。ファッショナブルよりスポーティ。人懐っこく、フレンドリーなキーゥイは体育会系。ワールド・マスターズ・スカッシュのホスト国として、実にぴったりのお国柄だった。

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