日本人のDNA「富士を眺める旅」

Photoらを日本人であると強く実感する瞬間がある。日本人的情緒にすっぽりと包まれ、それを心地良いと感じることがある。例えば、初日の出。海外でも同様の風習があるかどうかは知らないけれど、少なくとも日本人のようにほぼ無条件で有難がることは少ないように思う。それも、ほとんどの日本人は、明確に信仰と結びつけている訳でもなく、年神様を迎える云々を知識として持っている訳でもなく、(元旦に限らず)昇る朝日を見るだけでなんとなく神々しい気分になる。太陽信仰、日出処の国の由来、などと説明されることよりも、日の出を聖なるものとする気持が、遠い昔から日本人のDNAに刻まれてきたという方が実感がある。

Photo_2うひとつの例に、富士山がある。これもまた日本人を実感するキーワード。富士信仰、山岳信仰などという知識以前に、無条件にその美しい姿を見るとありがたく、嬉しい気持になる。最近はミシュランに掲載されたこともあり、富士山観光が海外からの観光客にも人気らしいが、やはり日本人の美意識に訴えるものがこの山にはある。遠くからでもそれと分かる美しい姿。“富士”と言えば、誰もがその姿形を思い浮かべることができ、幼い子供でも誰もが絵に描けるはず。また、意外な場所からその姿を眺められた時の嬉しさは何とも言えない高揚感がある。

Photo_6、特に空気の澄んだ年末年始は富士の姿を望むには絶好の季節だ。妻の生まれ故郷(静岡)を旅し、何度もその高揚感を味わった。海に浮かぶ富士の姿は日本人ではなくとも多くの人を魅了するし、東京湾越しに千葉から見える富士、江ノ島辺りから相模湾に浮かぶ富士も美しく、伊豆から眺める富士も雄大で秀麗だけれど、初めて見た御前崎から駿河湾に浮かぶ富士の姿に見惚れた。まさに息をのむような美しさ。さらに、日本平から清水港越しに眺めた富士も絶品。江戸の時代から愛された構図であり、浮世絵や銭湯の壁絵などでもお馴染みの富士山のビュー・ポイント。

Photo_8して、同じ方向からの富士の姿なのに趣が違う日本平からの眺望。富士の手前の風景が違うだけで印象は大きく違い、かつそれぞれが実に美しい。美しい女性が何を着ても似合うのと同じ。衣装は選ばない。思わぬ方向から現れる富士の姿に喜び、衣装の組合せに驚き、そんな富士を車窓の伴として走り続けた旅だった。

Photo_9ころで、富士の見える場所それぞれに“My富士”自慢があり、富士の見える場所に“富士見”という地名がある。富士山ビューは不動産価値を高めるとも言われるが、義母は富士を望める家に住みたいと現在のマンションに移り住んだらしい。以前の一軒家では望めなかった富士が、毎日のように眺められる現在の住まいは満足の物件のようだ。

路、新幹線の車窓から富士を眺めることができた。実に良いタイミングで夕焼けに染まりつつある富士の姿を望むことができたことを吉祥としたい。ということで、皆さま今年もよろしくお願いいたします。

 

コメントする








002184380

SINCE 1.May 2005