空港にて「ドン サバティーニ vs 平田牧場」

羽田でビールる週末、お気楽夫婦は羽田空港の第2ターミナルビルにいた。とある店のカウンタ席から混雑した出発ロビーを見下ろしながら、仕事を終えて駆けつけた慌ただしさを払い落とす。スーツ姿の出張の男たちを眺めながら、ふふふ、こっちは休暇だぜぃ!と一方的な優越感に浸る。旅の楽しみのひとつは、日常から離れる開放感だ。日々のストレスをひととき忘れ、気になっていたいくつかの事柄も所詮そんなものは些事だと嘯く。そんな旅の出発点、走り始めた新幹線の車内や空港で飲む一杯のビールが堪らなく好きだ。良く冷えたグラスと繊細な泡。ぐきゅっぐきゅっと喉を鳴らし、ぷはぁ〜っと一息付いた瞬間から旅が始まる。

サバチーニパテころで、羽田空港ターミナルビルの飲食店のC/Pは良くない。この料理でこの価格か?と疑問に思う店が少なくない。とは言え、ターミナルビル内のほとんどの店を既にお試し済みのお気楽夫婦。悩みつつ選んだのは「ドン サバティーニ」。ソニービル1Fの老舗「パブ・カーディナル」や丸ビル36Fのイタリアン・レストラン「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」などを経営するカーディナルのカジュアル店。この店も安くはないが、銀座の「サバティーニ・ディ・フィレンツェ」の味わいを気軽に味わえる、というのがウリ。その日のチョイスはデリセット、レバーブルスト、ミックスサラダ。

羽田空港3種類のデリを選べるデリセットはパンとドリンクが付いて1.400円となかなかお得。しかし、一皿が全て可愛い。「ノルウェー産サーモンのマリネとアボカド、ポテトのトリコロール仕立て」などは、長い名前の割には小さなグラスにちんまりと乗ってるだけ。「鴨肉とグレープフルーツ、オレンジのサラダ」などは、大食いの方だったらひと口分。しかし、これが悔しいことに、いずれも美味しいのだ。フレッシュなのだ。そして、レバーブルストも絶品。かりっと焼いたフランスパンにスパイシーなペーストを乗せる。ひと口食べると、きりっと冷えた白ワインを追加したくなる。これはきっと店の罠だ。でも、しっかりグラスワインをオーダー。なぁんか、楽しいね♪良い旅になりそうな予感。「良いねぇ、楽しそうで。でも、前もこの店で同じメニューを頼んだよ」と妻。・・・私がアルツハイマーであるかどうかは、病院より先に妻が判断することになるのだろう。

庄内空港牛煮込みこんにゃくんな妻と一緒に向かった先は山形、庄内。母の3回忌と父の喜寿を祝うのが目的。とは言え、映画『おくりびと』のロケ地を訪ねたり、ホテルでサウナ三昧の時間を過ごしたりとのんびりとした旅でもあった。帰路、庄内空港で昼食。レストランの選択肢はなく、「四季旬菜 豚肉料理 平田牧場」か「HIRABOKU CAFE」のいずれか。早い話が平田牧場系列の店だけ。ところが、この店のレベルは高い。ブランド豚となった「平田牧場三元豚」という美味しい豚が食べられる。豚好きとしては何の不満もないどころか、毎回この店で食べることを楽しみにしている。その日もいくつかの豚肉料理と庄内名物「玉こんにゃく」を食し、満足の2人。ローカル空港の味わいもまた良し。

しかったねぇ。今回も、いろいろ美味しかったしね♪」と妻。そんな妻のことばに満足してビールを飲み干す。旅の終わりのビールもまた美味しい。「明日からまた仕事かぁ」日常にストレスはないと断言する彼女。決して不満ではなく、楽しいことだけをしていたいだけ、の一言なのだけれど。

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