憧れホテルの引力「ザ・ペニンシュラ香港」
2009年 8 月30日(日)
東洋の貴婦人と謳われたその名門ホテルに痛い目に合っているお気楽夫婦。1995年のクリスマス、初めての香港訪問の際の出来事だった。別冊太陽の特集「香港を食べに行く」に掲載された菊池和男さんの料理写真に魅せられ、特集タイトルそのものが2人の旅のテーマとなった。福臨門海鮮酒家、鏞記酒家、采蝶軒、陸羽茶室、満福樓、大會堂酒樓、…名だたる名店を食べ倒し、見事に食べ過ぎでお腹を壊した。クリスマスイルミネーションに誘われるように圧倒的な量の観光客が香港の街に溢れていた。そんな時、尖沙咀の彌敦道(ネイザンロード)近辺で腹痛に襲われる私。ピンチ!
こんな時にはホテルのトイレをお借りするのが一番。最寄りのホテルはペニンシュラ。よしっ、ちょっと失礼して…。ところが、ホテルの入口には宿泊客かどうかチェックするドアマンが立ち塞がる。ショッピングで入りたいんだ、という言い訳も通用しない。その時間帯は買物客の入場も制限しているらしく、その態度はちょっと傲慢。他のホテルで用を足し、最悪の状況は回避できたものの、憤慨した私。ペニンシュラなんて(当時はまだ宿泊などできもしなかったけれど)今後一切利用なんかしてやるもんか!と、すっかり逆恨み。以後、足を踏み入れることもなかった。
それから15年。香港訪問も数を重ね、そろそろ許してやっても良い(なんて勝手な!)時期か。15年の歳月を埋めるために、予約したのはスーペリア・ハーバービュー・スイート。もちろん正規料金などでは宿泊できず、2泊で1泊無料、早い話が半額のパッケージ。混んでいるフロントで少し待たされたと思ったら、それに気付いたスタッフがお気楽夫婦を部屋に案内し、部屋でチェックイン。その部屋に入った瞬間に息を呑んだ2人。目の前に広がるヴィクトリアハーバー。リビングルームには年代物の望遠鏡。ベッドルームには絶景を眺めるための椅子が2脚、窓を向いて並んでいる。
毎晩8時から行われるシンフォニー・オブ・ライツも、部屋から眺めることができる最高のロケーション。「凄いねぇ♪でもさすがに分不相応かな」贅沢ホテルには目のない妻もさすがに脱帽。プールからの眺めも、ジムのコンディションも申し分ない。コンシェルジェの対応も素晴らしい。けれど、まだ何か違和感が残る。アフタヌーンティのためにロビーに並ぶ人々、高級ブランドを扱うショッピングアーケード。敷居の高さとホスピタリティの高さとが混在している人気のホテル。まだその雰囲気に溶け込めない。心からリラックスして過ごせない。人を惹きつける引力の強い魅力的なホテルではあるけれど、お気に入りと呼ぶには時間がかかりそうだ。
「屋上のヘリポートから空港まで送迎ってのもあるらしいよ♪ロールスロイスの送迎よりも楽しそうだねぇ♫」…お気楽妻は、既にすっかりお気に入り。
■お気に入りホテルカタログ ザ・ペニンシュラ香港