さぬきうどん、骨付き鶏、自転車「高松名物」

Streetyoridorimidoriぬきうどん以外の香川名物に「骨付き鶏」という料理がある。さぬきうどん店を効率的に訪れるために買ったガイドブックにそんな記事があった。骨付き鶏、何とも無骨な名前ではある。掲載されている写真を見ても、さほど食欲はそそらない。けれど、“ビールが進むスパイシーな味付け”という紹介文が、ビール好きの私の琴線に触れた。そして、夜の高松市街を歩いて驚いた。総延長日本最長を誇る高松の商店街のアーケードの下には巨大な横断幕が下がり、鶏料理店はもちろん、居酒屋の看板にも「骨付き鶏」の看板が連なる。昼の商店街はうどん店の看板が目立つのに対し、夜の商店街は骨付き鶏の看板が圧倒する。これも街の特色を前面に出した戦略としてアリ。

KadogenHonetsukidori付き鶏の看板を見比べながら「寄鳥味鳥(よりどりみどり)」という場末のスナックのようなネーミングの鶏料理店に入る。階段を上り、やはりスナック然としたドアを開けた瞬間、これは失敗だと悟る。小上がりやテーブル席はスーツ姿の男たちで大賑わい。カウンタに僅かに席は空いているけれど、余所者である旅のオヤヂが独りで飲み食いする雰囲気はない。地元の人に愛され続ける店なのだろう。また来ます!と永遠の別れのことばを告げ、他の店を探す。すると、別の路地で発見したのは「かど弦」というちょっと落ちついた雰囲気の店。これだ。店探査本能が働き、迷わず入店。お座敷は賑わってはいるものの、店のスペースは余裕があり、4人掛けのテーブルに案内される。店内に流れているのはビートルズ。隣の席では四国転勤族の同僚同士か、高松と東京の比較談義が静かに交わされている。

RentalCycleHodonohyouji付き鶏は、親とヒナがありますけど」お店のお姉さんが優しく教えてくれる。親鶏の身はしっかりした歯応えでじわじわと旨味が溢れ、ヒナ鶏は身がほっこり柔らかく食べやすいのだそうだ。迷いつつヒナをお願いする。待つことしばし、登場した骨付き鶏はヒナという割には骨も身も充分な大きさ。骨を持ってかぶりつく。カリカリの皮、ジューシーな肉汁、柔らかな肉、スパイシーな味付け、その全てが一気に口の中に広がる。旨っ!確かにビールが進む。お代わりください!これは名物と呼ぶに相応しい。思わず食べ過ぎ、飲み過ぎ、うどんの入り込む余地がない。街に出て腹ごなし。すると、24時間100円という市営レンタサイクルを発見。身分証明書があれば旅行客でも気軽に借りられる。どこで借りた自転車でも、市内7ヶ所にあるサイクルポートに返却できる。また、高松の街を(酔っ払いながら)軽快に走っていると、自転車専用レーンが多いことに気付く。歩道も歩行者ゾーンと自転車ゾーンに分けられている。これもまたエコ通勤通学を促す明確な戦略。なかなかやるなぁ、高松市。

CycleRoadCycleCity日、朝食のうどん2杯を平らげた後、訪問先に向う。そして打合せの後、観光客向けに人気の「わら家」で、その日の3杯目、高松滞在中4杯目のうどんに挑む。移築した藁葺き屋根の民家で、観光客向けのこけおどし演出の「たらいうどん」などを出す店。独り大きな店の片隅で食す私は、オーソドックスにぶっかけうどんに半熟たまごをトッピング。とろりと流れ出した半熟の黄身をうどんに絡め啜る。ん、やはり旨い。観光客でいつも満席の、流れ作業接客の店と感じてしまったけど、味は合格。ところで、香川県の人口約100万人に対し、うどん店の数は600店以上。日本最高の密集度。逆に、ラーメン店が極端に少ない。他の地方では目に付くラーメンチェーン店の看板もほとんど見かけない。うどんと言えば讃岐、讃岐と言えばうどんという戦略的な広報によって、そして幼い頃からラーメンではなくうどん!と徹底的に味覚を教育された(嘘です)結果、このような独自のうどん王国が繁栄しているのだろう。

うして2日間かけ、セルフ、製麺所、一般店(深夜営業、観光客向け)うどん店の全カテゴリを制覇。いずれも、うどんマニアではない観光客(あれっ?ビジネス客である自覚がない)にとっては、それぞれの特色を出した充分満足の味。夜の名物「骨付き鶏」まで味わい尽くした満足の旅だった。

「…美味しそうな出張だね」と妻。うん、今度は一緒に行こうか(笑)

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