妻が娘に戻る街「浜松での日々」

ShinkansenPotateChips事納めの日の夜、東海道新幹線で西に向かうお気楽夫婦。おつまみやビール、ワインを買い込みご機嫌の私。その隣で妻がにこやかに微笑む。2人だけの新幹線宴会を単純に楽しんでいるだけの私とは違い、妻の表情は穏やか。どうやら数時間前までの仕事モードを脱し、プライベートモードに入ったらしい。そして、彼女の生まれ故郷、浜松が近付くにつれ更に表情が柔らかくなる。一人娘である妻。2人きりで暮らす両親を思い、可能な限り帰省しようとスケジュールを調整する。中でも年末年始に両親と過ごすことは、妻にとっては大切な時間。義父母も妻の帰りを楽しみにしているのが分かる。年の瀬が近づくと互いに電話でやり取りし、日程を確認する。一緒にいられる時間を味わうように過ごす年末の日々。

Oyako1Gokigen父母の住むマンションのドアを開ける。「ただいまぁ〜♡」妻が彼らの娘に戻る。「お帰りぃ〜」ちょっと照れたように義父母が迎えてくれる。新幹線は混んでいた、やはり浜松は風がないと暖かい、おぉっ珍しい地ビールが冷えている…などと、短い親子の会話を埋めるように、ことばを継ぐ私。親子3人が作る空気の中に入るために、気持を整える。彼らが普段なら食べないおつまみを買っておいてくれる。毎年、早々に年末の温泉宿を予約してくれる。私が大好きな「割烹 弁いち」のおせち料理の予約も忘れない。「今年のホテルは楽しみだねぇ」と妻。去年は予約できなかった人気の宿、新築されたばかりの「ホテルウェルシーズン浜名湖」の別館、ガーデンコート。浜松の奥座敷、浜名湖畔に広がる舘山寺温泉のリゾートホテルだ。

AwabiOmar年、夏が過ぎた頃に義母から連絡が入る。「今年はウェルシーズン取れたよ」毎年、年末にどこに泊まろうかと楽しみにしながら宿を選んでいる義父母。ふだんは質素に暮らす彼らの、年に1度の贅沢。「すっきりしてるし、広いし、良い部屋だね」前年に宿泊したかったのに予約できなかったことを知っている妻が、気遣いも込めた感想を口にする。「さぁ、お風呂に行こうか」珍しく積極的な義母。母娘揃って大浴場に向かう途中、義父を伴い親子3人揃って記念撮影。4人の旅での私の役割はカメラマンであり、宴会での司会者であり、添乗員。彼らが楽しめるように、リラックスできるように、でしゃばらず、傍らに寄り添う。「このアワビ、柔らかくて美味しいねぇ〜」「オマール海老も美味しいよ」メイン料理の皿を取り替え、それぞれを味わう。

Osechi2Osechi年泊まるのも、このホテルが良いらしいよ」妻から義母の早々の感想を報告され、ホッとする添乗員。妻も心から嬉しそう。昨年の東日本大震災、さらには自分の足の怪我などの経験から価値観が変化したという妻。仕事に対するスタンス、友人たちとのネットワーク、そして遠く離れて住む両親の存在。何をどのように優先するべきか、何を優先することができるのか。幸いなことに、これまで大病なく過ごしてきた義父母。けれど、限りある時間の中で、義父母に何かがあったら自分たちにできることは何か。早々に住宅ローンを完済するなど、できるだけ経済的に身軽な状態になって、もしもの時に備えたい。選択肢を広げておきたい。そんなことを話し合い、実行してきた妻と私。そんな思いがさらに強くなったという一人娘たる妻。

せち料理はやっぱり弁いちさんだよねぇ」温泉旅行の帰路、割烹 弁いちに立ち寄りおせち料理を受け取る。幸福に重い二段重。これで年末の恒例行事は全て無事に終えた。そしていつものように穏やかな正月を迎えることができた。お雑煮を作り終えた私も、その役割を終え、朝から飲みの体制になる。良い年を迎えられた。そして…見事に飲み過ぎた。

うもお疲れさまでした。ありがとうね♫」帰路、新幹線の車中で乾杯するお気楽夫婦。往路と同様に、おつまみ、ビール、ワインを買い込んで、ご機嫌の私。そして、妻からのひと言が、妻の故郷浜松で私が過ごした時間への何よりの報酬。明日への大切な貯金。そして…またもや飲み過ぎた私!

…こんな2人を、今年もよろしくお願いいたします♫

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