パクチーハウスとカラオケと♬「See you! Madame!」
2012年 6 月09日(土)
マダムが帰って来た。昨年の冬、ご主人の赴任に伴いワシントンD.C.に拠点を移した彼女。そしてこの春、人生の節目となる出来事が一度に訪れ、急遽一時帰国。2ヶ月余りの、やるべきこと山積の日本滞在。そんな多忙な彼女を迎えたのはマダムの帰国を心待ちにしていた友人たち。幅広く、いくつもの友人の輪を持っている彼女。忙しい毎日にも関わらず、スケジュールを調整し、彼女は可能な限りそんな友人たちとの場を持った。幸いお気楽夫婦も何度か一緒の時間を過ごすことができた。
離日も近いある夜、訪れたのは「パクチーハウス」という、世界でおそらく唯一のパクチー料理専門店。何度かご一緒しようと言いながら、なかなか実現できずにいた曰く付きの店。マダムの多忙なスケジュールの中、ふっと空いた奇跡的な1日を使って訪問。マダムの慰労会で似顔絵のケーキを作ってくれた名パティシエ、マコちゃんも一緒だ。「はじめまして♬美味しいケーキをありがとう♡」「はじめまして!でも、初めてって気がしないです」人見知りのマコちゃん、やや緊張気味ながらもお酒さえ入ればあっという間に空気に馴染み、場に和む。
「パクチー大好きで、プランターで育ててもいるんです」「じゃあ、追パクしようか!」「追パクお願いしまぁ〜す♬」大きな声でお願いすると無料で追加できるパクチー。パクチー好きが集まるこの店は、独特の雰囲気さえ肌に合えば心から楽しめる。初来店のマダムとマコちゃんはすっかりご機嫌。店のコンセプトにぴたりと合っている模様。マダムの柔らかな物腰と、年齢を超えたノリの良さにマコちゃんもリラックス。マダムと妻がパクチーハウス名物の冠りモノで記念撮影。「2人とも似合いますねぇ〜っ」と大喜び。マコちゃんとマダムもすっかりお友だち。新たな輪がまたひとつ。*マコちゃんと私の冠りモノ写真は門外不出。
離日前日、スカッシュ仲間を急遽招集したのはカラオケBOX。何度目かの滞在日程変更で、開催中止のはずだったイベントが復活できた。個室でじっくりと飲んで歌い、しみじみと語り、大声で笑える、マダムとの別れを悲しまずに楽しむにはぴったりの場所だ。「GAGAやってぇ〜!」カラオケで流暢な英語でレディ・ガガを歌うマダム。「マダムの歌で初めてレディ・ガガって知ったのよねぇ」そんな仲間の発言に皆で大笑い。十八番は、マドンナの「Don’t Cry for Me Argentina」。しみじみと心に染みる歌声。ラストナンバーの「ビューティフルサンデー」田中さんのご本人ヴァージョンでメンバー全員のテンション最高潮!メンバーの笑顔が弾けて、ふっとマダムの顔が一瞬曇った。
…そして、マダムが旅立った。不思議と昨年末のような喪失感はない。皆で集まろう!という時に声をかけられない、会いたい時に会えない寂しさや悲しみは、なぜかまだ湧かない。マダムと過ごした濃厚な時間が何ヶ月分かの蓄えになったのかもしれない。今回の帰国で、またすぐに会えると思ってしまったのかもしれない。メールやFacebookなどで繋がっているからかもしれない。DCに戻ったマダムが、あっという間に“地元”に馴染んでいる気配。それもまた嬉しいような、淋しいような。朗らかで、気取ることなく、内向きに閉じることなく、順応性が高い彼女ならではの、友人の輪。
「よしっ!やっぱり夏にワシントン行くよ!」ときっぱりと宣言する妻。そうだね、マダムに会いに行こうか。またひとつ広がる輪の予感を抱いて。