流した汗 < 摂取カロリー「スポーツクラブと酒の日々」
2012年 6 月23日(土)
お気楽妻の理想の生活は、毎日午前中にジムで走って、ゆったりとランチ、そして午後はのんびり読書や芝居…というものらしい。ストレスなく生活をして、美味しいモノを食べて、体重増加を防ぐためにもスポーツで汗を流す。仕事をしている限り、そんな彼女の理想とする日常は叶わないけれど、せめてもと週に数日は仕事帰りにスポーツクラブに通う日々。それでも一度増えると体重がなかなか元に戻らない。妻がそうぼやく。アキレス腱を切った後、すっかり筋肉が落ちてしまい基礎代謝が低下したことが原因のひとつらしい。けれど彼女が気にする数百g単位の体重の増減は、誤差の範囲、許容範囲という私の主張は認められない。
かくしてジム通いの妻に同伴する日々。とは言え、嫌々行っている訳ではない。スポーツやトレーニングで汗を流すことは好きだし、何よりもたっぷりかいた汗をシャワーで洗い流し、ぐびっと飲むビールは大好物。そのきりっと冷えた1杯のために汗を流していると言っても良い。1日の仕事を終えて、ふぅっと飲む1杯も捨て難い。風呂上がりの、ぷはぁ〜っと飲む1杯も間違いなく旨い。けれど、スポーツの後は、流した汗の分だけ身体が水分を欲している。そんな身体に流し込むビールの美味しさは、他のシチュエーションを圧する。失った水分を利尿作用のあるビールで補うのは科学的にはNGで、身体に良くないことは充分知っている。しかし、身体に悪いモノは美味しいという法則もある。大好きな何かを我慢して長生きするぐらいなら、いっそ短命で良い。それぐらい大切なモノなのだ。…もちろん言い訳である。
さらに追い打ちをかけて身体に悪いのが、夕食の時間だ。仕事を終えスポーツクラブに向い、汗を流した後にシャワーを浴びる頃は、良い子ならお休みの時間。そんな時間からビールをたっぷり飲み食事をする。いかんいかん。そう、分かってはいる。でも、その料理はビールに合うものが必然的に選ばれる。フレンチフライなどの揚げ物や、熱々ジューシーな肉料理など。これがまた困ったことに大好きなのだ。なぜか運動後の身体が欲するのだ。それに体重を気にしているはずの妻も、なぜかポテトのオーダーを止めない。それを知る私は、調子に乗って「メガポテトフライ」などというメニューを頼んだりもする。止めるどころか、妻も積極的に食べている。これでは身体に良い訳がない。
かくしてお気楽な2人の摂取カロリーは、流した汗を大きく上回ることになる。身体に良いはずのジム通いが、却って徒になる。「ぜんぜん減ってなぁ〜い」帰宅して体重計に乗る妻が不満そうな声を上げる。それも道理。仕方ない。理屈では分かっていても、納得できずにいる妻。どうせ毎日飲んで食べるのだから、運動もせずにただ飲んで食べるよりは良いと自己完結もする。「またジム行かなくちゃね。次は、いつ行ける?」そして、仕事のバランスを調整し、スポーツクラブに向う2人。以下同。これを悪循環と呼ぶのか、良い習慣だと胸を張るのかはその人次第。
「さぁって、アイスでも食べようかな」深夜、そう呟きながら「ガツン、とみかん」を齧る妻。どこまでも自分の“好き”を通す彼女は、ある意味、ステキだ。