肘痛よさらば!?「テニス肘PRP治療」
2012年 7 月29日(日)
2008年春、右肘に激痛が起きた。診断の結果は、いわゆるテニス肘。正確には私の場合はスカッシュ肘。いろいろな治療を試みた。整形外科に通い、整体、鍼灸治療などを続けた。1年近く左手でスカッシュを続け、初心者レベルのラリーは可能になった。そして痛みが和らぎ、右手でプレーできるようになったものの、痛みは消えなかった。かつてのプレーはできなくなった。“かつて”、決してそれ程のプレーヤーだった訳ではない。けれど、以前は可能だったことができなくなった。強打は控えなければならない。身体が温まるまでは痛みが酷い。手首を固定できず、ボールコントロールが甘くなる。長時間のプレーは痛みを呼び覚ます。ストレスを抱え、時には諦め、自らに呆れながらプレーを続けて来た。
2012年初夏、右肘の痛みは日常生活に支障を来すレベルに変わった。ビールジョッキを持つのも辛い。あるスポーツ専門の整形外科で診察を受け、痛み止めのステロイド注射を打つか、PRPという耳慣れない治療を行うことを勧められた。PRPとはPlatelet Rich Plasmaの略。日本語では多血小板血漿と呼ばれ、自らの血液から組織の修復を行う血小板を抽出し、損傷している部分に注射するという治療法だという。但し、保険治療が認められておらず、自費治療。その上、患部が快復しようとするため炎症を起こし、人によってはかなり痛いらしい。主治医はこともなげに「かなり痛いらしいです」と宣う。らしい、とは無責任だとも思うが、自分では体験してないのだから正直なコメントか。それにしても痛さにめっぽう弱い私。正直怖い。けれど長年苦しんで来た痛みが消える可能性があるのならと、PRP治療を選択した。
右肘をCT、MRIで撮影したデータを元に最終判断。やはり患部の腱が損傷しており、そこに注射することで治癒する可能性が高いという。決断。術後数日は患部の腫れや痛みが想定され、2週間は肘を固定する必要があるとのことで、3連休の直前にPRP治療を行うことを決めた。CT、MRIを含めると10万円近い出費。痛い。その上患部も痛いとなると辛い夏になりそうだ。と、ビビり続けた上に、覚悟を決めて臨んだ当日。治療は順調に行われ、三角巾で固定されて帰宅。ところが患部麻酔が切れても、なぜか痛くなぁ〜い。嬉しい反面、効果がないのではと不安にもなる。とは言え、患部の腫れは予想以上。炎症も確実に起きている。3日間はシャワーのみで風呂は入れず、アルコールもだめ。これは別の意味で辛い。いや、こちらの方が辛いかもとさえ思ったのは、幸いにも痛みがないから。友人の情報ではテニスのクルム伊達公子さんも同じPRP治療を同時期に行い、痛みが数日間続いたという。
「痛みはいかがですか」2週間後、術後の診察を受け、主治医に患部を触られる。あれ?痛くない。けれど、2週間ずっと肘を固定する訳にはいかず、ふとした弾みに右肘の痛みが走った。良くなっているのか、いないのか。患部を超音波検査で比較してもらった。先生の解説によると、写真右上の患部が、左側の術前は黒い(破損している)部分が多いのに対し、右側の術後写真は白い筋のようになった腱が快復しつつあるとの見立て。「また2週間後に経過を見ましょう。それまでは手首や肘はなるべく使わないようにしてください」う〜む。それは難しい。現にこの記事も右手を使って作成している。過度にパソコンは使わない、重いものは右手で持たない、などと緩めの自己規制を定め、日常生活に戻った。
「さぁ、マダムと一緒にスカッシュするんだから、それまでに治すんだよ!」旅行の時には普段は持たないスーツケースを持ち、重いドアは先回りして開けてくれる。「右手使っちゃだめ!」ずっと私に代わってやってきた家事は、私の元に帰って来た。「私の家事強化週間は終了!」妻は、優しく、厳しい。