恋に落ちて「ビストロ・トロワキャール」
2013年 1 月05日(土)
恋したのだと思う。出会ったのは春。きっかけは言わば友人の紹介。馴染みの中華ビストロの根本ご夫妻、フレンチにも一家言あるパティシエのマコちゃんと一緒に訪問。同じ飲食業界人のおススメの店。初対面とは言え、お互いに緊張することなく、和気藹々とした場での出会い。ガツンと肉料理が食べたくなった時に良い店だと聞いていた。そして、最初の一皿を味わった時にガツンと来た。アミューズのリエットと焼きたてのパン、続いてフレッシュオレンジの香り高いキャロットラペ。ひと口惚れだった。
恋に落ちたら情熱的なお気楽夫婦。ご近所の友人夫妻を誘い、スカッシュ仲間たちと、前職の友人たちと、頻繁に訪問することになった。その度毎に恋情は深まった。その恋の病は周囲にも伝染し、拙い記事を読んでいただいた友人たちが店に伺ったと報告してくれた。自分たちの恋した店が誉めらたら嬉しいのは道理。開店2周年のお祝いに花を届け、逆に自分たちの結婚記念日を祝ってもらうことにもなった。
恋の新たな味わい方も覚えた。恋のお持ち帰り。あるいは店外デート。そう、料理のテイクアウトだ。チームMacでのホームパーティで味をしめ、秘密のグループでの忘年会でもお持ち帰りを実行。言わば、好きな相手を気の置けない友人たちに紹介する場。店で味わう料理とまた違った一面が味わえたと大好評だった。そして、2012年末。初めて出会ってから1年弱。一度もお気楽夫婦2人だけで店に伺っていないことに気付いた。
恋はグループ交際だけでは進展しない。カウンタ席に座り、シェフの仕事を眺め、会話しながら味わってこそ深まるというのがお気楽夫婦の恋の作法。クリスマスも終わり、店が落着いた頃を見計らって予約。初めての2人だけでの訪問であることを告げると、「この日をお待ちしてました」と木下シェフ。どうやら恋は成就したらしい。それまでの逢瀬の集大成として、料理はシェフにお任せ。ワインも奥さまのまゆみちゃんセレクト。
「エゾシカを召し上がりますか」良いですねぇと、メインが決まった。そしてその前後に美味しいモノを少しづつ。料理はどれも素晴らしかった。肉料理はもちろん、雲丹を使ったジュレ仕立ての一品やアワビのステーキは感涙もの。1年を締めくくるに相応しい組合せ。満足。そして年末には妻の実家に帰り、その道中の新幹線で食べるお弁当が楽しみなのだと漏らすと、「ではウチが作りましょうか」とシェフ。恋はサプライズ。義父母と食べるための料理と合わせて、幸せの年末お持ち帰り。
「幸福な味だなぁ」恒例の浜松に向う新幹線2人宴会史上最高のフレンチ弁当を味わいながら、妻が呟く。2013年、新しい年もステキな恋ができますように。「恋多き2人だけどね」と妻。ん、恋は若さや元気の源。今年もたくさん恋しよう♬