オトナの子供部屋「Bar LAPITA(ラピタ)」

YaguMasterは文化だ。故郷の酒文化を継承したい。それが市役所勤めを辞め、地元でバーを開業した理由のひとつだった。弟がバーを開店して3年。その開業の志の原点でもあり、酒文化のバトンを受け取りたかった先達の店を訪ねた。「南蛮居酒屋89(やぐ)」、それが店の名前。ご夫婦で店を始め、ご主人に先立たれた後もひとりで店を守るステキなマスターのいる店。開業から50年近くになろうとしている超老舗。数年前、弟に案内され初めて訪れた。いつ訪れても柔らかく温かく穏やかな空気が満ちている、居心地の良い店。

LemonMojitoが降って寒いですから、ホットバタードラム(Hot Buttered Rum)なんかいかがですか」何を飲もうかと相談したところ勧められた1杯。ふぅ〜っ。雪の街を歩き冷えきった身体に染み入る。妻はノンアルコールのカクテルを片手に、すっかり店に馴染んでいる。「失礼してタバコいただきます」薄暗い店内に紫煙がたなびく。「タバコのケースで作ったコマなんです。良かったらもらってってください」丁寧に作られた色とりどりの独楽。ひとつお土産にいただき店を出て、ほっこりした気分で弟の店に向う。

CounterLapitaピタという店の名前は、南太平洋の海洋民族の名前であり、現在休刊中の雑誌の名前からいただいたという。雑誌「ラピタ」のコンセプトは“大人の少年誌”。弟の店も、そんな佇まい。80年代を中心としたCDがある。ビートルズのアルバムジャケットが飾られている。『北の国から』シリーズなどの本、マンガ、雑誌のバックナンバーが並んでいる。大きなモニターに流れるのはサッカー日本代表の試合の模様だったり、懐かしの映画作品だったり。大きなスピーカーからは自宅では流せない音量で懐かしい曲が流れ、興に乗った客が演奏できるようにギター、ピアノ、ドラムセットまで揃っている。

CollectionKitanoKunikaraれ聴きたい♬」妻のリクエストは『MEGA HITS ‘80 BEST SELECTION』。エイジア、レインボー、ライオネル・リッチー、ワム、ロバート・パーマーなどがランダムに流れる。カウンタ席で吉田秋生の『海街diary』を読み耽る。妻は雑誌のバックナンバーに見入っている。まったり気分。すると、結婚式の2次会流れで飲んでいた客のひとりに声を掛けられる。小中学校の1つ下だった後輩だと言う。彼の顔と名前は一致しない。が、後輩くんは懐かしそうに話を続ける。すると、不思議なことに子供時代のエピソードが次々に溢れ出す。忘れていたいろなことを思い出す。ほぉ。

んだか時間を気にせずいられる店だね」と妻。ん、良い店になった。素人っぽさはなくなり、すっかりマスター然として客に接している弟。そんな彼が子供に戻って自分の部屋を持つとしたら、きっとこんな部屋なんだろうなぁ。好きな音楽をかけ、好きな映像を楽しみ、好きな酒を客と一緒に楽しむ。大人のおもちゃ箱のような、子供部屋のような、仲間が気軽に遊びに来られる、彼の城。先達とのコンセプトは違っても、彼にとっての酒文化がしっかりとこの場所で育っている。良い感じだ。マスター、長くじっくりと頑張れ!

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SINCE 1.May 2005