京は、和飲で。「用賀 本城」

HonjoUmiBudou料理の名店「用賀 本城」で飲むべきは日本酒だと思っていた。店主の本城さんと奥さまが選ぶ酒器にも魅力があり、お酒の銘柄を変える度に新たに供されるガラスや塗りの器を目で味わっていた。料理にしても、味はもちろんのこと、盛付けの美しさ、器の美しさを楽しんでいた。そして店の設え、佇まい。おもてなしの心。それらが和の文化の集合体だと思っていた。そんな居心地の良い空間に似合うのは、日本酒。ついそう思い込んでしまっていたのかもしれない。ところが、2009年の開店以来、年に数度訪れてきたこの店で新たな発見があった。

YubaSparklingイン好きの友人と一緒に本城を訪れた際に、ふと思い付いた。乾杯は泡かな。ワインリストをお願いすると、予想を上回る品揃え。ん?もしかしたら、この店のワインリストを見たのは初めてかもしれない。特に日本のワイン、それも京都丹波ワインが充実のラインナップ。最初の1本は播磨産スパークリングシャルドネ。あらら、美味しい。すっきりと上品な飲口。繊細で品のある本城さんの料理にぴったりと寄り添う。辛口の日本酒も良いけれど、爽やかなスパークリングワインも良いじゃないか。他の店で日本ワインの実力を再認識したけれど、本城さんの店でも。

HotatePinotBlancっかり気に入り、2本目も丹波ワイン。丹波鳥居野ピノ・ブラン シュールリー。醸造元のサイトを見ると「特に日本料理を意識して」作り、「穏やかな酸味と洗練された味わい」が、京料理を中心とした和食に合うという。おっしゃる通り。このワイナリーの創設は1979年。創業者が私財をなげうって、京都の食文化に合うワインを造りを目指し、丹波の日本酒の酒蔵を借りて作り始めたとのこと。丹波は食材の宝庫。京の食文化を支えてきた土地が、ワインという新たな食文化を生むことになったのは象徴的だ。京(今日)は、和飲(ワイン)でますます美味しくなる。

YakiTakenokoCoCoFarm理もワインも美味しいね。もう1本いっちゃう?」ワイン好きの友人が満面の笑みでささやく。うん、良い笑顔だ。楽しそうだ。お誘いした甲斐がある。それではと選んだ3本めは、ココファームの農民ドライ。栃木県足利市にある障がい者支援施設「こころみ学園」が運営するココファームは、1980年に誕生したワイナリー。農民ドライは軽めですっきりした味わいの、やはり和食に合う1本。「これも軽やかで美味しいですね♬」もう1人の同行者、本城ファンでスカッシュ仲間の建築家くんも満足気。

本のワインって、すっかり美味しくなったんだね」飲めない妻も感心しきり。何軒かの行きつけの店で勧められた勝沼酒造の「アルガ」、高畠ワインのスパークリング「嘉」、旅先で飲んだ広島三次の「スパークリングシャルドネ」など、いずれも手頃で美味しいワインだった。世界に誇るべき日本の食文化。すっかり定着した日本のワイン醸造もレベルが高くなっている。和食に合うワイン、これは日本で造るべきワインのコンセプト。ますます頑張れ日本の和飲!

■食いしん坊夫婦の御用達へリンク 「用賀 本城」*これまでの訪問記事など。

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SINCE 1.May 2005