夏こそ。「銀座 天一」渋谷東急店

Ten-ichiBeer経新聞の夕刊に、小さな広告がほぼ毎日のように掲載される。早春なら「たらの芽、白魚、蕗のとう」だったり、初夏には「若鮎、茗荷」だったり。そして梅雨明けした今の季節なら「夏こそ天一」となる。そう、昭和5年に銀座で創業した天ぷらや「銀座 天一」の広告だ。店舗は銀座の本店をはじめ、帝国ホテル、日本橋の高島屋など、全国に30店余り。銀座本店はちょっとお高いが、他の店ならお手頃価格のお気軽な名店。

KisuMyouga気楽夫婦が季節毎に通うのは、渋谷東急店。銀座本店や新宿伊勢丹店、玉川高島屋店などにも行ったけれど、この店がお気に入り。長閑な佇まいが気に入っている。他の店に比べてもさほどの高級感はない。揚げ場があるカウンタは10席程。土日は満席になるけれど、平日の夜ならほとんど予約も要らない。せいぜい2〜3組が揚げ場の前に座る程の混み具合。お気楽に、のんびりと季節の味を堪能することができる。

AyuAspalaずは茗荷とキス。茗荷は夏の香りがする。これは塩で。キスはやっぱりサクサクとした天ぷらだなぁ、などと語りながら。天ぷらの良さ、嬉しさは、食材で季節を味わうことができること。それも鮨屋と違い、野菜もたっぷりと食べられること。特にこの店はワンコ蕎麦のように、小鉢になくなったと見るやおろしダイコンを次々に追加してくれる。これが更に嬉しい。薄口の天つゆを掛け、おつまみ代わりにいただく。旨し、ヘルシー。

AnagoShishiTo節を感じるのは天一の広告も同様。「天一の春」というキャッチコピーを眺めながら、もう山菜の季節か、すっかり春だなぁと、出かけて行く。そして今回は「若鮎、茗荷」のキャッチに釣られて、夏だ!鮎を食べに行かなくちゃ、となった次第。鮎好きの2人。塩焼きももちろん大好きだけれど、若鮎を頭から噛り付き、腹のほろ苦さを丸ごと頂く天ぷらにも目がない。香魚の名の通り、上品な香りも一緒にパクリといただき、夏を堪能。

EbiMaruJuは穴子かなぁ」と妻。小食の2人は半分に分けていただく。中骨も良いおつまみ。白ワインがすすむ。目に鮮やかな空豆、シシトウ、イカ、アスパラ、茄子…。小食と言いながら、ほぼ全部のネタを揚げていただけるのは、薄めの上品な衣だからこそ。とは言え、真打ちの車海老が登場する頃にはすっかりお腹いっぱい。カリカリに揚がった頭がまた旨い。「海老は尻尾とか頭が美味しいよね」妻の言い分も良く判る。

して最後はデザート代わりに丸十。薩摩藩の紋が丸に十であることから、天ぷら屋ではサツマイモをそう呼ぶ。「美味しかったねぇ」と妻が満足そうに微笑む。父の見舞などで慌ただしかったこの春、残念ながら山菜を食べに伺うことができなかった。春の天一が味わえなかった分、夏の天一を満喫。夏こそ、天一。

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