魅惑の三角地帯へ♬「アバスク」
2013年 9 月22日(日)
渋谷2丁目に、ずいぶん前から気になっている店があった。六本木通りと青山通りに挟まれた渋谷2丁目の東側の三角地帯。ここ数年、人気の飲食店が増えた話題のエリア。そのエリアにある会社に1年だけ籍を置いていた。六本木通りと八幡通りの交差点にある半地下の店、「アバスク」。店名通りのバスク料理の店。2007年の開店直後、その店の佇まいと店頭に貼り出されたメニューに、気持が引っかかっていた。その後、仕事の本拠地を自由が丘に移したため渋谷2丁目とは縁遠くなり、未訪問のままに時間が経った。
そんなある日、青山円形劇場で芝居を観終わった後、アバスクに行ってみようと閃いた。青山通りを渡り、八幡通りを六本木通りに向かってのんびり歩く。馴染みの店が変わっていたり、元気に頑張っていたり。沖縄チャイナの店「TAMA」、シチリア料理の「ドンチッチョ」など、また行かねば!の店が並ぶ。左手に「渋谷区渋谷四丁目五番五号」という「渋谷エコセンター」の巨大看板が見えたらゴール。通りを挟んで向かい側の松下ビルの1階。見た目はレストランというよりはお気軽なカフェの風情。
ドアを開けると小ぢんまりとした店内はほぼ満席。カウンタなら空いているとの案内に了解。メニューを眺めていると、ソムリエバッジを付けたサービススタッフが丁寧に説明してくれる。押し付けがましくない柔らかなトーンで、プリフィクスのメニューがお得だとのこと。なるほど。アラカルトの組合せよりも確かにお得。それも1.5人前ぐらいだから2人でシェアし、足りなかったら追加という作戦を勧められる。なるほど×2。小食の2人にはぴったり。すると窓際の席が空いたからと案内される。好感度アップ。
バスクは独立運動で長らく紛争が続いた、フランスとスペインの国境付近の地域。フランスにもスペインにも属さぬ独立した国家を求めるバスク。けれどもバスク料理は両国の良いとこ取り。有機野菜のアンショイヤード(アンチョビソース)、バスク風トリップのトマト煮、子羊のグリエなどをチョイス。やや不満は残るものの、概ね満足の味。アバスクサラダに添えられた砂肝のコンフィは絶品。ワインの品揃えも、小さな店の割には充実。バスク地方のワインも揃えられている。料理やワインのお値段も手頃。
「この店はなかなか良いんじゃない?ランチも再開するみたいだから来てみようかなぁ」iPhoneで検索しながら妻が(ちょっと上から目線で)呟く。何しろ彼女の働くオフィスは目の前。調べてみるとミシュランの星を2010年から3年連続で獲得。その時のシェフは独立し、若いシェフに代わって1年ほどになるとのこと。オーナーは接客を担当してくれた方らしい。おしっ、バスク料理の何たるかを知るためにも再訪してみよう。それにしても、美味しい店が増えたと噂の渋谷2丁目。まだまだこんな店がありそうだ。魅惑の三角地帯の探検だ!