裏メニューあり〼「麗郷 渋谷店」
2014年 9 月14日(日)
渋谷の道玄坂小路にある台湾料理の名店「麗郷」は、創業昭和30年。もうすぐ還暦を迎える老舗。お気楽夫婦は約30年前から頻繁に通い続けているお気に入りの店。オーダーすべきメニューTOP3は、1に腸詰め、2にシジミ、そしてダイコン餅。「えぇ〜っ!知らなかったぁ。初めて来た」流行に敏感でアンテナもぴんと張っているスカッシュ仲間の役員秘書。職業柄お店もいろいろと知っているのに、なぜかこの有名店は知らなかったという。席に着く前にテンションが上がり、店の前の写真を撮り、腸詰めのスダレを撮影。「取材に来ると皆この角度で撮影してるわよって、オバちゃんに指導されちゃった」ニコニコと席に着く。一見愛想のない(ことで有名な?)仕切りのオバちゃんと、初見でコミュニケーションが取れるとは、さすが秘書。
「週の初めはこんな感じかな。今日なんか暇よ」腸詰めとシジミのニンニク炒めをオーダーしながら、オバちゃんに話しかけるとそんな返事。確かに客と話をする余裕もある。無愛想に見えて、細やかな気遣いがある方だと分ったのは数年ほど前。カウンタ席に2人で座ったお気楽夫婦に、脱いだ上着が汚れるからと新聞折り込みの広告を掛けてくれたり、紙が落ちないようにと調理場に入ってクリップを探してくれたり。その時から「麗郷」は美味しいけれど粗い接客の店から、美味しく居心地の良い店に変わった。「腸詰め美味しいねぇ♬」役員秘書もすっかりお気に入りの模様。パリパリの皮、ジューシーで香り高き絶品の腸詰めは辛みそを付けて、生ビールと共に。脂が甘く、噛めば絶妙な歯応えの良さ。定期的にふっと食べたくなる癖になる味。
「今日こそは麗郷で食べたい!って思ってたから、良かったぁ」と、酒豪女子。彼女とは渋谷区の体育館でバドミントンをやり、帰りに渋谷で一杯という企画がスタート。その日は2度目のバドナイト。前回は練習の後に店に立ち寄ると、臨時休業のため入れなかったという曰く付き。「ウチもあの後、腸詰め食べたい!って店に来たけど、混んでて止めたんだよね」やはりこの店の腸詰めは魅惑的で中毒性がある。「そろそろ紹興酒にします?」酒豪女子の提案に頷く。彼女が尋ねたのは、ボトルで頼みますか?という意味。異論なし。常温でグイッといだだけば、シジミに浸みたニンニクの香りが中和され、また次の料理に箸が動く。すると隣の席で異変が。体調が悪そうな壮年男性が一瞬意識を失い、冷や汗をかき、結局救急車のお世話になり、退場。
「悪かったわねぇ」オバちゃんがほっと一息付いた頃にやって来る。「びっくりしましたぁ」視線の先に担架で運ばれた男性がいた酒豪女子と役員秘書。顛末を全て見ていただけに心配もなおさら。飲もう飲もう!と紹興酒を飲み直し。「このシジミのスープをね、ご飯と混ぜると美味しいのよ。ちょっと待ってらっしゃい」とオバちゃんが秘伝のシジミご飯を目の前で作ってくれる。「うわぁ〜、これ美味しぃ〜い♫」シジミとニンニクのエキスが染み込んだホカホカご飯。間違いなく旨い。30年通って初めて食べた裏メニュー。これを初見で食べられた役員秘書の幸運。「この店、かなり良いねぇ♡」満足な様子もごもっとも。「またバドミントンやろうね!」すっかり渋谷バド企画がお気に入り、ご機嫌な役員秘書だった。