乗っかれ!プロモーション♬「神泉 遠藤利三郎商店」
2015年 5 月02日(土)
Facebookは飲食店にとって格好のプロモーションツールだ。情報提供に即時性があり、相互にメッセージを書き込むことで店と客とのコミュニケーションが生まれ、親しみ易さや“行きつけ感”が醸成される。お気楽夫婦の訪問がヘビーローテション化しつつある「神泉 遠藤利三郎商店」は、客を乗せるのが実に上手。人気店だけに予約が取れないことが多いが、決して毎日満席という訳ではない。けれど、いつ空いているのかの目安がないと電話も掛けにくい。そこで重宝するのが、店発でタイムラインに書き込まれる翌週の予約状況。それも、事務的な情報ではなく、季節の話題、新作の料理、イベントの情報などを折り込み、柔らかに、そして頻繁に更新する。○や△の記号を眺めながら、おっ!この日に行こうか!ときっかけを作ってもらえる。
「中目黒のトレーニングの後に、遠藤に寄ろうか」珍しく妻から積極的な提案。了解!予約は私の役割。ケータイから店に電話すると、聞き慣れたスタッフの声。無事に予約が取れて名乗ると「あぁ、IGAさん。いつもありがとうございます。子機だと登録されたお名前が出ないんですよ」名前を電話機に登録してもらっているらしく、いつも予約の電話の際には「IGAさん、こんばんは!」と名乗る前に声を掛けられる。その日は、あれ?と思っていたため、このフォローのひと言はさすが。SNSでのコミュニケーションが効果的に活かされるのは、こんな実際のコミュニケーションがあってこそ。これ大切。パーソナルトレーニングで汗を流し、まだ明るい時間に店に向かう。店内を覗くと馴染みのスタッフは誰も姿がなく、新人スタッフだけ。
店に入っても予約の名前を聞かれてしまう。ちょっと淋しい。まぁ、仕方がないのだけれど。カウンタに座り、店内を見渡す。陽が射し混む時間の訪問は初めて。他に客がいないのを良いことに店内の撮影。ん、やっぱりフォトジェニックな店だ。ワインの店ながら、運動後の1杯目は生ビール。ぐびりと飲み干して、1杯目のワインをチョイス。「野菜の農園風サラダ」などの定番メニューを選びつつ、その日の妻のお目当て「ピサラディエール」という新作料理をオーダー。アンチョビとタマネギのプロバンス風ピザ。「へへ。これ食べたかったんだよね♬」Facebookに掲載された画像に、ぐっと来ていたらしい。店の思惑通り。チーズの代わりに炒めたタマネギがたっぷり。タマネギの甘さとアンチョビ、香草がぴったり。旨い。
ホワイトアスパラのロースト、モリーユ茸のソース。これもFacebookで見かけた一皿。独特の食感のモリーユ茸と、甘いソースが絶妙に合う。旨し。野菜の農園風サラダは、農地に生えた野菜を再現。その“土”に見えるのは、オリーブを細かくみじん切りにして、オーブンで焼いたものらしい。「この土、美味しいよね」と妻のお気に入り。この店のメニューは、こんな遊び心が楽しい。けれども緊張気味のスタッフとは会話が上手く噛みわあない。2杯目のワインを飲んでいる頃に顔なじみの店長が登場。ふぅ。ほっとして声を掛けると、すかさず「あぁ、IGAさん紹介します。彼女は新人の…、そして押上の店から来た…」とスタッフを紹介してくれる。よろしくお願いしますと挨拶をし合い、ようやく彼らが纏っていた硬めの空気が解ける。
「メインも何か食べようか」トレーニングで汗を流したことを免罪符にして、妻がさらにオーダーをする気配。ということは、もう1杯飲んで良いと言うことだね。ではと、新人の女性スタッフに米沢豚のソーセージコンフィと一緒に、おススメの赤ワインをお願いする。最近入荷したんですが、これでいかがでしょうか?という問いにOKと返す。お任せこそが最善。すると、3割増ぐらいのワインが注がれたグラスがやってきた。多めに注いでもらってありがとう!と告げると、テレた笑み。どうやら意図した訳ではないらしい。けれども、これで大丈夫。次回からはキチンと会話ができる。こうして、Facebookで訪問のきっかけを作り、美味しい料理と心地良いサービスを提供し、コミュニケーションを図り、再来店を促す好循環が作られる。
「また来なきゃね♬」お酒を飲めない妻が、そう呟く“ワインバー”。こうして「遠藤利三郎商店」のプロモーションに、まんまと(敢えて)乗ってしまう2人だった。