あれから4年…「スカッシュ団体戦」
2015年 6 月27日(土)
2011年6月、同じ会場でその悲劇は起こった。スカッシュの団体戦、リレー方式で試合を行っている最中、ゲームポイントを取った妻がコートの中で、一歩も動けずその場で振り向いた。何が起きたのか自分でも分らない、という表情。慌ててコーチがコートに入り試合を中止。妻に駆け寄り、心配しながらも冷静に言った。「あぁ、あるべきところにないですね。切れていると思います」あるべきところにあるはずだったのは、アキレス腱。古代ギリシア最強の英雄でさえ、ここは弱かった。ましてやお気楽妻は。救急車で近くの病院に搬送され応急処置を行った後は、遠路タクシーで帰宅し、翌日最寄りの病院に入院、翌々日に手術。慌ただしいリハビリ&介護生活が始った。
出社初日、自宅前からタクシーに乗って会社に向かう。会社のエントランスに同僚たちに迎えに来てもらい、松葉杖の妻を引き渡す。翌日は空いている電車に乗り、乗り換えずに行ける駅まで行ってタクシー。何日か経つと会社の最寄り駅まで電車に乗り、会社まではタクシー。そうして毎日会社まで見送り、迎えに行った。自宅での移動用にキャスター付きの椅子を購入。楽しそうに椅子に乗る妻は、いつも前向きだった。「早く運動したいなぁ。もちろんスカッシュ復帰するよ!」との宣言通り、2ヶ月後に松葉杖を外し、3ヶ月弱でトレッドミルに乗って走り始めた。そして、翌年6月、同じ会場での団体戦に参加。「あ、去年怪我された方ですよね」と何人かに声を掛けられた。
以降、毎年同じ大会に参加。今年はエースのメンバーこそ変わったが、4年前に一緒に救急車に乗って付き添ってくれた役員秘書と一緒に参戦。監督(私のことです)が風邪で参加できなかった代わりに、新エースが頑張り、予選リーグ3位で上位トーナメントに残り、1回戦で強豪チームを破った。天晴れ。準々決勝で優勝したチームに敗れはしたものの、女性だけのチームとしては大善戦。殊勲の新エースを慰労しようと自由が丘に向かう。昨年OPENした「ブルーブックスカフェ自由が丘」というブルーノートの系列店へ。「きゃ〜、ステキ♬」とテンションの高い役員秘書。「雰囲気の良い店だね」とクールな妻も好感触。「あ、良い感じ」と疲れた3人はソファ席に身体を沈める。
「乾杯!」健闘した3人を讃え、風邪っぴきの監督はオールフリーをぐびり。「ビール飲まないなんて、IGAIGAホントに具合悪いんだね」役員秘書のおっしゃる通り、飲めない日が数日続いていた。それでも応援だけでも会場に顔を出せて良かった。1回戦の勝利は監督の采配だしね。「エースの頑張りだよ。ジュニアの伸び盛りの娘相手に、格好良かったね」「ギリギリ1点差で勝ちでしたから、お2人のポイントも大きかったですよ」と、お互いを立てる発言。何だか(監督がいなくても)良いチームだ。オードブルの盛合せをつまみながらスカッシュ談義。料理もなかかな美味しい店だ。オールフリーをお代わり。そう言えば会場で1枚も写真を撮らなかったと慌ててチームの記念撮影。
…あれから4年。当時のブログを読み返してみると、いろいろと周囲の環境が変わり、私のブログのテイストも僅かづつ変わって来たのが分る。最近は日常を綴ることに終始し、自ら思索し発信するのを敢えて避けるようになった。慌ただしく日々を過ごす中で、変わっていないと思っていたものを失ったり、いつの間にか新たに得ていたりということがある。『ぴあ』の最終号が発刊されたのもこの年の7月。すっかりお馴染みになった店「さかなの寄り処てとら」が開店したのもこの年。2011年という多くの人が深く心に刻むできごとが多かった年、あれから4年経った。そして、まだあれから4年しか経っていないのだ。忘れていないか、ブレていないか、浮ついてはいないか、調子に乗ってはいないか。この国の政の有り様と共に自身に思いを馳せる。いろんな思いが胸を過る2015年の夏だ。