大阪はリッツに限る?「リッツカールトン大阪」
2015年 11 月22日(日)
1990年代、東京のホテル御三家と呼ばれた、帝国、オークラ、ニューオータニに代わり、新御三家(パークハイアット東京、ウェスティンホテル東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京:当時)が話題になった。いずれも外資系ブランドであったことから、“外資系御三家”という呼ばれ方もされた。その頃、大阪では1997年にやはり外資系ブランドの雄リッツカールトン大阪が開業。東のパークハイアット、西のリッツカールトン、と人気ホテルの筆頭だった。ホテルおたくのお気楽夫婦のことだから、さっそく開業早々に宿泊。威圧的に感じるお気取り系ドアマン、機能的ではないデコラティブな内装に、う〜むと唸った。パークハイアットの方が好きだな、というのが正直な感想だった。
それから10年余り経ったある週末、再び宿泊する機会があった。2度めの今回は、リッツ本来のサービスを堪能する為に、ちょっと気張ってクラブフロア。BS11の公開収録に参加した後、慌てて新幹線に飛び乗り、新大阪からタクシーでホテルに向かう。例のドアマンが迎えてくれる。ん?微妙に語尾とイントネーションが関西弁。ふぅ〜ん、悪くない。こぢんまりとしたロビーとフロントを通り、相変わらずわかりにくい経路を辿って客室に向かうエレベータに乗る。開放感がなく、個人の邸宅のような雰囲気も変わらない。部屋に入ると、出張で先乗りしていた妻が同僚女性と仕事の打合せ中。邪魔にならないように室内の写真撮影。打合せが終わるのを待ち、一緒にラウンジに向かい、夜景を眺めながら飲めない2人とシャンパンと発砲水で乾杯。
ラウンジのスタッフは物腰柔らかく、慇懃ではない対応で良い感じ。「何だか都会だわぁ〜♬セレブな感じ」と博多の高層マンションに住む同僚女性もご満悦。博多もかなりの都会だと思うのだけど、彼女に言わせると高速道路がビルの間の高架を走る風景が“都会”を感じさせるらしい。彼女は前職で私の同僚でもあり、博多出張の際に夜の街遊びに同行してもらえる、お気楽夫婦共通の気の置けない友人。互いにホームではない街で、のんびり語らっていると、一緒に旅をしているような不思議な高揚感があり、新鮮な気分。ラウンジは、オードブルの種類も多く食べ応えがあり、暗めの照明も、ゆったりとした席も、適度な混雑具合も、ざわざわとした客の話し声も、とても居心地が良い。
最終の新幹線で博多に帰るという友人を見送り、館内のパトロール。こぢんまりとしたロビーフロアに小さなショップがあり、中にはジュエリーショップのようなチョコレート販売コーナー、ブランドショップのディスプレーのようなペストリーコーナーがある。中でも、リッツのロゴである“ライオンと王冠”が焼き付けられた山型パンが、笑ってしまう程に印象的。そもそもリッツカールトンのロゴは、創業の地ボストンのオーナーが考案したものだという。そのボストンのリッツ(今は他の場所に移転)にも、東京のリッツカールトンにも、シンガポールやバリにも、ホテルおたく夫婦は宿泊経験あり。そのいずれもお気に入りになったのに、大阪だけが何故かしっくりこなかったのだ。
「オトナになったからじゃないかな」と妻が言うことも納得。最初の宿泊当時、すでに世界各地のホテルを泊まり歩いていた(という程ではないが)けれど、今より若かった2人は、自分たちの好みに合わなければ、きっと拒絶し否定していたのだ。今なら1斤1,000円の食パンのロゴを笑って楽しめる。今なら好みのタイプではなくとも受入れて肯定できる。今回の滞在で、リッツカールトン大阪は再評価してポイントアップ。良いホテルだ。「それでもやっぱり、パークハイアットの方が好きだけどね」そんな妻の意見にも同意。大阪で泊まるなら、リッツ…かな。