栗天の栗天「くりはらのてんぷら」

Kuritem1近所の住宅街に、気になっている店があった。店の名前は「栗天」。くりはら(おそらく栗原さん)のてんぷらだから、栗天。潔い店名のセンスが好き。小ざっぱりとした店の入口には、お休みの案内とショップカードが客を待つ。店主の似顔絵イラスト入り。店のサイトにも、店主の似顔絵がチラチラと登場する。このテイスト、お気楽夫婦好み。期待しつつ店内へ。清潔でさっぱりとした内装。好感度高し。料理が楽しみだ。

Kuritem2ウンタ席には客が4組、9人。休日とは言え、17:30の入りとしてはなかなかの賑わいだ。*夜は17:30と19:30の予約のみ。他の客との間に1席づつ空けてあるのも好印象。まずはビールをぐびり。ビールもヱビスの小瓶というのが良い。夜天(夜のメニュー)は6,000円のお任せコース。お通しは、添えられた菊の花びらが美しい、柿とキノコの白和え。ん、さっぱりと旨い。天ぷらの前の一皿としては好適。良い感じのスタートだ。

Kuritem3ぷらに合わせていただくワインは、勝沼醸造の「アルガブランカ クラレーザ」。和食に良く合うすっきりとした飲み口。ハーフボトルがあるのが嬉しい。ところで、店主のクリハラさんは、イラスト通りの方。どこか愛嬌がある下がり眉。「そっくりだね」とお気楽妻がこっそりささやく。店主と過剰な会話はなく、客同士の会話が適度に溢れる、良い空気感だ。揚げ油の香りもなぜか店内にこもらず、心地良し。

Kuritem4初のネタは、海老の頭と銀杏。カリカリとした海老の頭は大好物。身よりも好きかもしれないぐらい。ごく薄い衣に包まれた銀杏のルビー色と海老のオレンジが、白い敷紙に良く映える。「やっぱりこんな衣の方が好きだなぁ。揚げ油も」この店は綿実油をメインとした油で揚げる、カラッとした関西風の天ぷら。ごま油を使ってこんがりと揚げる関東風より妻の好み。天ぷらの衣が厚いとそれだけで満腹になるらしい。やれやれ。

Kuritem5ス、ホタテ貝柱などに続き、目の前にドカンと置かれたのは椎茸。丸のままで揚げられ、敷き紙の上でスパッと鮮やかに切られるというパフォーマンス付き。ハフハフと頬張り、何とも言えぬ椎茸の良い香りと、ジューシーな旨味(椎茸はグアニル酸を大量に含む旨味の塊だ)を味わう。「シイタケって、マツタケよりずっと美味しいよね」と健気なセリフの妻。松茸を食べられない負け惜しみか?でも、全く同感だ。

Kuritem6っぱだけ先に食べねいでください。この後にワカサギが来ます」と大葉の天ぷらが乗せられる。冗談なのか、お約束のネタなのか、店主のキャラがまだ判らないため、反応に困っていると、泳いでいる姿そのままのワカサギが登場した。見事な泳ぎっぷりだ。「うわ、これは美味しいね。ワカサギの天ぷら食べて初めて美味しいって思った」ほろ苦さと甘みと旨みが、サクッとした歯応えに混じり合う。これは絶品だ。

Kuritem7天の栗天です」今度は明らかにネタだと分かるコメント付きで、栗の天ぷらが供される。秋限定のネタ。そして椎茸と同様に、目の前で真っ二つ。いかにも旨そうなホクホクとした実の断面が現れ、芳しい香りを放つ。初の栗天だけれど、これは旨いだろう。アチアチと頬張ると、渋皮に包まれた栗の実は、苦味と甘みが相まって何とも言えないオトナの味。この季節にこの店を訪ねて良かったと思わせる味。

Kuritem8後は天茶か天丼ですが、どちらが…」と尋ねられ、声を揃えて「かき揚げだけにしてください」と答える満腹の2人。お隣の美味しそうな天茶を見ながら、少食の我が身を恨む。「これは季節ごとに来なきゃだね」とお気楽妻が最大の賛辞。春の山菜、夏の茗荷や小鮎、そして秋は栗!。秋の四季の味を楽しむ和食の中でも、殊に天ぷらは季節ごとの味を楽しめる。では、次回は冬の天ぷらをいただきに伺おう!

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