ライフタイムグローバリストへの道「WORLD OF HYATT」

IMG_7393IMG_7497かにチェックインには早めの時間ではあった。けれど、だからこそ、まさかそんな僥倖が待っているとは思いもしなかった。「ご予約いただいた部屋がまだご用意できておりません」スタッフが申し訳なさそうに続けた「TOKYOスイートというお部屋ならご用意できるのですが」え゛っ!! 何ですって?「ぜひお願いします」慌てて答えるワタシ。あのTOKYOスイートですよね?声に出さずにスタッフに念を押す。スタッフは何事もなかったように「ではお部屋にご案内いたします」とワタシを促しエレベータに向かう。

IMG_7494IMG_7496内された客室は5008。間違いなく、このホテルでプレジデンシャルスイートに次ぐ広さのスイートルームだ。かつて一度だけ見学させてもらったことがある、スタイリッシュで豪華な客室。「お部屋の設備は良くご存じでしょうから、これで失礼します。ごゆっくりお過ごしください」とスタッフが部屋を辞した瞬間、「うははっ」と思わず笑ってしまう。こりゃさすがに凄い。遅れてチェックインの予定の妻に連絡すると、「え!え!え!」とすぐに返信があった。感情体温が低いお気楽妻でも慌てるレベルのサプライズ。

IMG_5927IMG_7406TOKYOスイートは、1994年に開業した「パークハイアット東京」のシグネチャースイートルームとして、2007年に新たに誕生した客室。広さは220㎡だから、本来宿泊する予定だったパークスイートの2倍強!お気楽夫婦の住むマンションの4倍近く!! そう考えると改めて凄いぞ(汗)。客室に入るとエントランスでは現代日本画家の越前谷嘉高氏の大きな絵が迎えてくれる。正面のリビングルームの右手にはグランドピアノ、左手には結城美栄子さん作のマスクのオブジェ、そして何よりも壁面を飾る約1,000冊の書籍が並ぶ本棚が印象的。エントランスの左にはキッチン。何人分かのパーティができそうな各種グラス、皿、カテラリーが揃う。右に回るとこのスペースだけで充分ですと言いたくなるソファーもある広々としたベッドルーム。中央には大きな2面ビューのバスルーム。サウナルーム付き。バスタブは楽々4人くらいは一緒に入れそう。

IMG_7461IMG_75112人だけで過ごすのは勿体ないから、誰か誘おう!」と急遽友人たちを招き、連夜インルームダイニングパーティを開催♬ *1組は元々約束済み、フットワークの軽い若いカップルはお招きしたその日の内にやって来てくれた。「凄〜いっ!」ゲストたちは一様に目を丸くして室内の撮影会が始まる。不思議と皆んな同じ行動になるのが面白い。そしてホテルが用意してくれたシャンパンで乾杯♪このホテルはルームサービスでお願いする料理も、朝食の和定食も、妻が毎回オーダーするフルーツの盛合せも、盛付けが美しく、レベルが高く、サービスも柔らかで素晴らしい。それにこの広いダイニングテーブルがあれば、外で食べる必要がない。というか、この部屋を使い切らなければ勿体無い。時間を気にすることなく、プライベートな時間をゼータクに過ごせる。正規料金なら1泊○○万円の客室、出かけず過ごすのが正しいというものだ。

IMG_5980IMG_2636ークハイアット東京の魅力は、「クラブオンザパーク」というスパ施設にもある。吹き抜けの4方向に大きな窓があるプールを中央に配し、東西にジムスペースがあり、爽快な都心の風景を眺めながら汗を流すことができる。このジムを利用したいがためにこのホテルに泊まる、というのもお気楽夫婦のモチベーション。落ち着いた雰囲気のジャグジー、3ヶ所あるサウナルーム、ゆったりとしたリラグゼーションスペース(やはり3か所ある)や、明るい窓に面したロッカールームなど、お気楽夫婦の理想のスポーツクラブ。スカッシュコートさえあれば、即入会するのだが。年会費はもちろんお高い(汗)。

IMG_3593IMG_3955ころで、ハイアットホテルズには「WORLD OF HYATT」という会員制度がある。コロナ禍で一時的に会員資格条件が緩和されたのをチャンスに、お気楽夫婦は最上位の「グローバリスト」になった。空室があればスイートルームへ無料アップグレード、クラブラウンジがあれば無料で利用可能、朝食は無料、16時までのレイトチェックアウト、(パークハイアット東京の場合はクラブオンザパークが無料なのが嬉しい)など、1年間その特典を享受した2人は決意した。妻の引退を機に卒業旅行に出かける際に、グローバリストでありたい!と。そしてこの1年、「修行」と称してハイアットホテルズに宿泊しまくった。辛く厳しく苦しい(嘘です)1年間の修行だった。

IMG_4396IMG_6630内近郊のハイアットホテルズから通勤した。リゾートでワーケーションの日々を過ごした。春には京都へ、夏には北海道へ、秋には沖縄へ出かけた。横浜のハイアットリージェンシーに長期滞在した際には、中華街に出かけウマウマ中華料理を堪能した。箱根のハイアットでは温泉三昧。沖縄ではなぜか実業団での選手経験のあるスタッフとバドミントンの特訓を経験した。ニセコでは旧友と再会し、BBQパーティやら醸造所見学などにご一緒いただいた。銀座のハイアット宿泊の際には街をぶらぶら散歩したり、銀座の名店を訪ねたり。大袈裟に言えば、ハイアットホテルズを基点に日本の魅力を再発見した旅の数々を経験した。観光だけではなく、住んでいるような生活を堪能した。

スクリーンショット 2022-12-19 7.45.28んな修行を終え、会員資格条件をクリアした記念の宿泊がパークハイアットだった。偶然とは言え、そのゴールしたお祝いに(?)とんでもない広さのスイートルーム宿泊というご褒美をいただいた訳だ。そして「グローバリスト会員資格更新」という待望のメールが届いた。これで妻の引退後、翌年の春までは有資格となった。「良かったね。これで次に目指すのはライフタイムグローバリストだね」と、お気楽妻が事もなげに宣った。ライフタイム、すなわち生涯グローバリストとは、毎年更新される条件を一定基準を満たせば、その後は更新条件なく資格を持てる。そのためには、こんな生活を最短5年は続ける必要がある。あぁ、その道は細く長く厳しい(これは本当)。

ハワイへGO♬「ザ・カハラ ホテル&リゾート」

TheKahala01TheKahala02外渡航がままならない今、お気楽夫婦のパスポートは3年もの間眠ったまま。ここ30年余りで初めてのことだ。海外に行きたい。どうしても行きたい。そこでどうしても我慢できずに行って来た。行き先はハワイ。意外なことにお気楽妻は初ハワイ。そして、ホテルフリークの2人がハワイで泊まるべきは、名門「ザ・カハラ」だ!! という事で、2020年9月に開業したばかりの「ザ・カハラ ホテル&リゾート横浜」を訪ねた。*引っ張ってしまい申し訳ありません(^^;;  海外旅行に行きたいが故の妄想が入ってました。それも画像はカハラの公式サイトからの無断借用。私的使用で、直接的利益を得ていないのでお許しください。

TheKahala03TheKahala09テルのエントランスでアロハ姿と花の髪飾りの女性スタッフに「ALOHA!」と迎えられる。レイまで掛けられそうな勢いだけれど、その日は金曜日。「アロハフライデー」として、他にもクッションをハワイアンキルトのものに変えるなど、ハワイの週末を演出している。エントランス近くには、(ハワイの)カハラを訪れたセレブたちの写真が飾られた「カハラルーム」があり、館内にはハワイアンミュージックが流れ、プルメリアの香りが漂うラウンジには煌びやかなシャンデリアが輝く。まさしく、ここはハワイだ。

TheKahala04TheKahala05式のチェックインタイムには早かったものの、さっそく手続きをしてもらった上に、そのことには全く触れず、ラウンジで食事をして待つと言うと客室の用意ができたらルームキーを持って来てくれると言う。その上、ラウンジの席を押さえてくれた(アフタヌーンティ以外は予約できない)。エントランスからフロントの対応まで、ストレスを全く感じさせない流れるような接客が素晴らしい。ラウンジのサービスも、予定より早く準備ができたと案内された客室(画像よりも意外と落ち着いている内装で)も申し分無し。

TheKahala06TheKahala07解きの後は、すぐにジム&スパへ。建物に隣接する水庭を眺めながらジムで汗を流し、室内なのにインフィニティのようなプールで泳ぐ。大きめのロッカー、数が豊富な(10ブース!)鍵付きのシャワーブース、2種類のバス、サウナなど、どの施設もきちんと目が行き届き、清潔感があり、快適で実に心地良い。例えば、自動ドアの手前で人を感知し、ドアに近づくと既に開き始めていると言う細やかな設計も憎い。ホテル付帯のジム好きで、国内外数多くのホテルを訪ね歩いた2人の採点も高得点。マイカイ!! 素晴らしい!!

TheKahala08TheKahala10得点の理由はそれだけではなく、さらに特筆すべきは、屋外のジェットバス。この時期はやや寒いけれど、晴れて無風だったその日のアウトドアバスは実に爽快。絶妙な配置で周囲の建物からの視線は気にならず、低層なのに眺めが良い。快晴の青空の下、無邪気にはしゃいだ2人だった。そしてダメ押し。アロハフライデーの楽しみは、ラウンジで開催されるフラダンスショー♬ 横浜みなとみらいの夜景をバックにプロのしなやかで繊細なフラが楽しめる。もうここ、ハワイでしょ?いや、ハワイです。断言。

TheKahala11TheKahala12・カハラは設備やサービスだけでなく、食事のレベルも高い。インルームダイニングの朝食だけで食べることができる「ハワイアン ブレックファースト」が妻のお目当て。アサイーボウル、シンパンケーキ、マラサダなど、メニューを読んだだけではさっぱり分からない。「このパンケーキがね、オリジナルな訳よ」と得意そうな妻。巻いたクレープのようなパンケーキを嬉しそうに頬張る。私はと言えば、これも絶品「濱膳」と名付けられた和定食。何と、炊き立てのご飯が鉄釜ごと供され、銀鱈西京焼、湘南シラス、イクラ醤油漬けなど、これでもか!と思うほど、ご飯がススムおかずが付いてくる。ご飯無限地獄、天国?いずれにしても、その料理のクオリティは高く、食器の選択や食材との組合せのプレゼンテーションはシャレオツの極み。感服、満腹。

「カハラは素晴らしかったね。ハワイのカハラにも行かなきゃだね」とハワイ未踏の妻。御意。それにしても、ハイアット修行のために、他系列のホテルの宿泊はご無沙汰だったけれど、国内にも次々に魅力的なホテルが新規開業しているなぁと実感したカハラ滞在だった。よしっ!ハイアット修行が一段落したら(するのか?)、訪ねるべきホテルがまだまだあるぞ!と決意を新たにする2人。

…こうして、お気楽な2人のホテル三昧の日々は続くのだった。

À l’année prochaine !!「用賀 本城」

Honjo01城さんとの出会いは2006年5月。「たん熊北店」のカウンター越しだった。初めてカウンター割烹というスタイルを取り入れた京料理の老舗。その二子玉川にある支店のカウンター席の右端に座り、ゴリゴリと心地良いハモの骨切りの音を聞きながら絶品料理を味わった。そして目の前でハモを捌く店長さんこそ本城さんで、初対面から色々と声を掛けていただき、その細やかな気配りに2人ともすっかり本城ファンになった。

Honjo02度か店に通い、すっかり馴染みになったある日、本城さんの独立を知らされた。「最近、若いもんの目指す料理人の道みたいなものが見えなくなって来て、だったら私がやってみようかなと」と伺った話が印象的だった。店の場所はお気楽夫婦が毎週スカッシュのレッスンで通う用賀だった。そんなご縁もあり、2009年春の開店以来、季節ごとに、友人たちを誘い、お気楽妻が「幸福のカウンター席」と呼ぶ場所を度々訪れた。

Honjo03規開店早々に訪問し、開店祝いの蘭の鉢を分けていただいたこともあった。私の書いた拙いブログの記事が検索で良くヒットすることを知り、本城さんのお兄さまからお礼の連絡を受けたこともあった。元首相が常連であることでも知られ、たん熊で元首相ご夫妻と並びの席になったこともあった。本城さんはかつてパリの日本大使館の公邸料理人を務めたこともあり、その客層は幅広く、かつリピーターが多かった。

Honjo04城さんの店は季節を味わう店だった。春に筍、山菜。夏のハモ、鮎。秋の栗、キノコ。冬のカニ、そしてお正月の白味噌雑煮。お気楽夫婦は、この店で和食の奥深さを、京料理の真髄を、旬の食材を堪能して来た。妻は今まで満足できなかった料理が一皿もないと断言した。食べると幸福になるとも、笑顔になるとも。一緒に通ったスカッシュ仲間は、元気になる料理だと評した。友人たちを誘って喜んでもらえる自慢の店だった。

Honjo05でも料理を味わう店だった。盛り付けの美しさ、そして器の美しさ、そしてその料理と器のバランス。春の一皿に桜の花が添えられ、秋には鮮やかなもみじ葉が器と料理を引き立てた。大将も女将さんも酒を飲まないのに、酒器のチョイスも見事だった。飲んべの友人が「うわぁ!キレー!セットで持って帰りたい!」と夏の酒器を絶賛したこともあった。器が酒や料理をさらに深く、味わい深いものにしてくれた。

Honjo06尽くしの会」も楽しみだった。ある夏、鮎料理専門の店の話題になり、「鮎尽くし料理なら、ウチでやりましょか?」という本城さんの一言で実現。翌年からは友人たちを誘って開催する恒例の会になった。生きた鮎を琵琶湖から取り寄せて頂き、一夜干し、うるか、背越し、塩焼き、梅煮、そして鮎ご飯と鮎LOVEのメンバーにとって夢のような宴。年によっては、活鮎を掴み損ねる本城さんのパフォーマンスも付いていた。

Honjo08城さんとお気楽妻の誕生日が近いことが分かったのは、本城さんが還暦という話題で盛り上がった時だった。早々にいつもの席を予約し、還暦のお祝いに駆けつけたところ、逆に妻への花束プレゼントというサプライズで返された。女将さんとの会話も毎回楽しみだった。お互いにホテル好きということもあり、夏のリゾート計画の情報を交換し合った。…過去形ばかりの文章になってしまった今回、書きながら涙を堪えている。

Honjo09気楽夫婦にとって、とても大切だった、いろいろな思い出が詰まったこの店「用賀 本城」が9月末日を持って閉店した。ひとり娘の女将さんの故郷、奈良に移転するという。いつかは、と聞いてはいたものの、いざ現実となると喪失感が湧き出る。移転を発表してすぐに、数ヶ月先の営業最終日まで予約で埋まったと伺った。その間に夜とランチ、それぞれ1度友人たちと一緒に伺うことができたのは、それでも幸福だった。

Honjo10賀での最後の訪問日、大将と女将さんと一緒に記念写真を撮った。「一緒に撮りましょう」という明るい女将さんの涙声と、大将までもが涙目になってしまうから、挨拶を交わそうとしたことばが湿ってしまった。ハグをしながら涙が零れた。「本当にお世話になりました。奈良でお待ちしてます」お二人のご挨拶に「もちろん伺います」と、お気楽妻が迷いなく応えた。では、また来年に! À l’année prochaine !!

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SINCE 1.May 2005