人脈は財産「黄色いバスの奇跡」

YellowBus祭りの終わった札幌に出掛けた。公益社団法人日本テニス事業協会(以下、協会)が主催する「テニス産業セミナー」に参加するためだ。ちなみに、協会は全国のテニスクラブ、テニススクールなど、テニスに関わる事業者が加盟し、テニス事業の発展、スポーツ振興に貢献するために設立された団体だ。テニス事業に関する研究、人材育成などを組織的に行っており、「テニス産業セミナー」も毎年1回、協会の下部組織である各地のテニス事業協会がホストとなり、全国の会員を招き開催される。2012年は近畿、2013年は東京、2014年は千葉での開催だった。26回目となる2015年のセミナーは北海道テニス事業協会がホスト。10年ぶりの札幌開催とのこと。

催当日の朝早くからセミナーが開催されるため、前乗りする会員のために(私は残念ながら参加できなかったが)前夜祭まで設定されている。公式企画のジンギスカン料理を楽しんだ後は、非公式にススキノツアーまで用意されたホスピタリティに溢れた内容。セミナー自体は、1年以上前から会場や講師の予定を押え、準備される。今回の講師陣は4人。実家がテニスクラブを経営しており、自身も高校時代に国体で優勝(ダブルス)した実績を持つ元衆議院議員の杉村太蔵さん。全日本連覇などの実績を上げ、長くデビスカップの代表として活躍し、38歳の現在も現役プロの鈴木貴男さん。十勝バス社長の野村文吾さん。札幌市議会議員で、ソムリエの資格(日本一になられたとのこと)を持つ、ワインアカデミー代表の佐々木みつこさん、という豪華な顔ぶれ。北海道テニス事業協会の会長である蒲生さんの(出身校である北海道大学のテニス部を中心とした)人脈で招聘されたという。

TVなどでもテニスの実力を披露することもある杉村氏も、テニスが好きということでは誰にも負けない!と言い切った鈴木プロも、参加者にワインテースティングをしてもらいながらワインの魅力を語った佐々木氏の講演も、どれも楽しく飽きさせない内容だった。けれど、昼食後の誰もが眠くなる時間に登場した野村さんの講演は見事だった。舟を漕ぎ始めた(実際に何人かいた)聴衆を、ものの数分で惹き付け、目を醒させ、最後まで眠らせなかった。高校時代からテニスに打ち込み、受験に失敗してしまったという逸話でぐっと参加者を引寄せ、親しみを持たせることから始る。そして、父親が経営する十勝バスという倒産寸前だったローカルバス会社を引き継ぎ、再生させるサクセスストーリーが本題だ。けれども、最初から上手く行った訳ではなく、悪戦苦闘しながら10年掛けて会社を再生させたという物語。

NIKKAーワードは「人を愛すること」。野村さんの場合は、社員を、従業員を愛することだった。旧弊に囚われ、変化を怖れ、減って行く乗客を他責とし、自分の思いが伝わらない社員たちのことを零し続けた野村さん。そんな野村さんが青年会議所の仲間に諭され、ダメなのは社員ではなく、自分だと気付かされる。その翌日、社員たちの前で宣言し、自らの行動と発想、発言を変えて行く。そして小さな営業のアイディアを社員と共に実行し、小さな成果が現れ、そのモデルを広げ、成功体験を得た社員たちが変わっていく。会社が変わっていく。そんなエピソードを語る野村さんの脚はしっかり地に着いている。目線は経営者ながら、高みから語ってはいない。成功に対する驕りがない。勝負の世界に長くいたスポーツマンの爽やかさがあり、語ることばに自ら実践するリーダーとしての魅力が溢れる。実に素晴らしい講演だった。

*このエピソードをまとめた「黄色いバスの奇跡」という本が出版され、ミュージカルとして本多劇場などで上演された。たけしの番組「奇跡体験!アンビリバボー」をはじめ、野村さんの出演やマスコミ掲載も多数。バスを通した地域振興、街づくりのモデルとして数々の賞を受賞し、全国から視察が絶えないという。

ミナー終了後、懇親会が開催された。参加者はテニスに関わる企業経営者や幹部だったり、現場を守るフロントスタッフ、コーチたち。共通項はテニスが好きなこと。全国各地から集い、二次会、三次会と飲み続け、テニスを熱く語る。ここで生まれる人的ネットワークが、それぞれの事業や仕事に活かされる。野村さんの「人を愛する」というエピソードも、その日の講師陣を集めた蒲生会長の人脈も、何より人と人とのつながりが大切だと教えてくれる。「だから、ススキノで飲んだくれていた訳ね」と妻。そう、大事な大事な仕事。

シュッとしたホテル「アンダーズ東京」

RobbyCorridor内のホテルに宿泊すると言うと、「えぇ〜っ!なんで?」と驚かれることがある。1泊2日の旅行なら、わざわざ東京で過ごすことはないじゃないかという反応。ごもっとも。けれど、例えば東京−大阪の新幹線料金は、往復で約30,000円。2人なら60,000円。所用時間は往復で6時間。この代金と時間を都内のホテル滞在に充てると、ラグジュアリーなホテルに宿泊でき、たっぷりと余裕のある時間を過ごすことができる。お気楽夫婦は元々どんな街や場所に出掛けても、観光よりも滞在するホテルで過ごすことを優先する。と言うよりも、宿泊したいと思ったホテルを訪ねるために旅に出るというのが正しいかもしれない。だから、都内のホテル滞在はコスパ良しの旅なのだ。

Guestroom1Guestroom2は言え、さすがに何かのきっかけ(自分たちへの言い訳)がなければ、お気楽夫婦と言えども散財は出来ない。そこで10数年前から実行し始めたのが、誕生日のお祝いという免罪符を使った企画だ。“妻が”行きたい!と思うホテルをセレクトし、“私の”誕生日お祝い企画として予約をする。そして、せっかくゼータクな部屋に宿泊するのだから、友人たちをお招きして一緒に過ごしてもらえれば、同じ料金で2人で過ごすよりもお得な気持になるという発想だ。そして2015年の誕生日に妻が選んだのは、「アンダーズ東京」。2014年に開業した虎ノ門ヒルズの47階から最上階の52階に位置する、客室数わずか164室というハイアット系のスモール&ラグジュアリーホテルだ。

ShiodomePalaceテルの入口は、かなり分かり難い。ベルスタッフに案内され、秘密クラブへの入口のような狭い通路を通り、専用エレベータで52階へ向かう。エレベータ内部にはスタイリッシュなデザインの魚のレリーフ。最上階に降り立ってもフロントは見当たらない。ラウンジの椅子に座り、ウェルカムドリンクをいただきながらチェックイン。客室専用エレベータで階下に降り、光のコリドーを通り、部屋に向かう。ゲストルームの部屋番号は、目立たないように足下に、けれども分り易いように大きく表記されている。部屋に入るとワイドなビュー。マッカーサー道路も、お台場も、スカイツリーも、皇居さえも眼前に広がる。曇っているのがちょっと残念だけれど、実に爽快な眺めだ。

Gym1Gym2気楽夫婦のホテル選びの基準のひとつ、充実した設備のジムに向かう。37階にある「AO(アオ)スパ&クラブ」は、文字通りの天空のジム。トレッドミル、クロスウォーカーなどが、全て足下に広がる都心の風景に向かって設置されており、走っていると窓の向こうまで飛び出して行けそうな心地良いレイアウトだ。フィットネスマシンは全て最新で、操作部の画面はタッチパネル。高画質で撮影された映像のランニングコースを選ぶことができ、例えばサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを眺めながら海岸線を走れたりする。実際に走っているように映像が動く!のだ。こりゃすごい。「ここでずっと走っていたいなぁ」ジムおたくの妻の呟きも納得。

Dining1Dining2食はメインダイニング「アンダーズタバーン」のビュフェ。オープンキッチンのカウンタの上に、出来立てのホットミール。どの料理も盛付けがオシャレで食欲をそそる。ご飯は炊いた土鍋のままで置かれ、コールドミールの上には乾燥を防ぐために濡れた紙が乗せられている。デニッシュなどのパンも種類が豊富で、しかも少量しか出されておらず、減るとスタッフがどこからか現れ、すかさずパンを補充する。だからいつも美しい状態が保たれる。洗練され、スマートな、シュッとした演出。そんな朝食をつい食べ過ぎた妻は「食べた分、また走るよ!」と宣言。こうして“私の”誕生日のお祝い企画でエンジョイする妻なのだった。

いくつになっても♬「Happy Birthday(s)」

トラのもんBalじ誕生月の友人がいる。5日と7日、2日違いの誕生日。妻が毎年(自分が宿泊したいホテルを選び)祝ってくれる私の誕生日企画にお誘いし、一緒に互いの誕生日を祝い合う。そんな付き合いが10年以上続いている。出会ったのは10数年前。初めてスカッシュのレッスンを受け始めた時からのクラスメイト。以来、毎週日曜に一緒のコートで汗を流してきた。数えてみれば、びっくりの約800回(凄い!)。その上、京料理、ビストロ、中華料理、鮨屋、スイーツと、お気楽夫婦が馴染みの店は、ほぼ全店(それも何度も)一緒に行っている。考えたらこれもまた凄い。そんな長く嬉しいお付き合いの友人、某企業の役員秘書と、2015年の誕生日も一緒に祝う事ができた。

KarasumiShirauoが今年選んだホテルは「アンダーズ東京」。一緒にお祝いしていただけるアスリート女子、役員秘書との待ち合わせの場所は、アンダーズ東京のある虎ノ門ヒルズ「ぼく、トラのもん。©藤子プロ&©森ビル」の前。耳ありのドラえもんとの記念撮影の後は、その日のお祝いの店選び。何店か比較した結果、空いていた最後のテーブルをゲットできた「スペインバル ジローナ」で、誕生日おめでとう♬の乾杯。五反田にある人気店の支店らしく、あっという間に満席。「うん、どの料理も美味しいね。この店当たりだったね」と囁き合う女子たち。カラスミの盛合せ、子持ちシラウオのアヒージョなど珍しいメニューも嬉しい。とは言え、店飲みは前座。メインは部屋飲みの2次会だ。

BirthdaysWine切の(宿泊している客室だから当然だが)個室での宴会は、一段とリラックスモード。乾杯用のスパークリングワインは持込み。それも館内のファミマで買って来た、超お手頃な1本。ルームサービスにワイングラスだけ持って来てもらい、改めておめでとうの乾杯。部屋の時間制限もなし。翌日まで利用可能(笑)。ホテルの客室だからこその、のんびり宴会。お酒を飲めない妻と、さほど飲めない役員秘書は、冷蔵庫の中のソフト(フリー)ドリンクで喉を潤す。支払ってもたかが知れているが、タダという響きは心地良い。角部屋のワイドでゴージャスな夜景を眺めながら、ラグジュアリー気分を満喫する。そんな空間を2人だけで味わうより、4人で楽しめば更に得した気分。

Gift2Giftわぁ〜っ!ありがとう♡」役員秘書が思わず声を上げる。お気楽夫婦からの誕生日のお祝いは、ニコちゃんデザインの食器セット。カワイイもの好きの彼女にフィットしたらしい。「きゃあきゃあ!スドウだぁ!」アスリート女子からは有名店のスイーツ。その上、アンダーズのペストリーショップで買って来たバースデーケーキ(カラフルなエクレア)が目の前に並ぶ。スイーツ番長を自他共に認める役員秘書のツボに入った模様だ。飲み始めてはや数時間。酩酊に向かって邁進する私へのプレゼントは、ひと足早いバレンタイン(を兼ねた)チョコとシャンパン。これも私のツボ。記念撮影でポーズを取る私の背後には怪しい人影。これまた部屋飲みならでは。楽しいぞっ!

Facebookで友人たちの誕生日を(半ば強制的に)知ることになる前は、この世で何人が自分の誕生日を覚えていてくれているのだろうと、お祝いのメールをいただく度に感慨深く思ったものだった。誕生日におめでとうと言ってもらえることは、いくつになっても嬉しいものだ。ましてや一緒に誕生日を祝うことができる友人がいることは、実に嬉しく、ありがたいことだ。2日違いの誕生日も、嬉しいご縁だ。これからもずっと、いくつになっても一緒にお祝いできると良いね。「誕生日当日に、(男性との)予定がないのも何だけどね」という本人談もご愛嬌。

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