スカッシュで繋がる、拡がる「ビストロ808&シングルベル♬」

Pate&RapeVegi装なったビストロ808に3組目の来客があった。スカッシュを始めた頃からの友人たちと、同じコーチのスカッシュレッスンを受けていた松井千夏ちゃん。4年生で学生チャンピオンになり、2001年には(当時最年少で)全日本選手権初優勝。以来、全日本での優勝4回、日本代表として多くの国際大会に出場し、現在も日本スカッシュ界を代表するプロプレーヤーだ。マスコミの登場も数多く、自らをスカッシュを広く認知してもらうための“広告塔”と自覚して、広く活躍している。お気楽夫婦はそんな彼女をずっと応援し続けてきた。今年はリノベーションでの引越に重なり、残念ながら応援に行けなかったけれど、2014年の全日本でもファイナリストとしてコートに立ち、準優勝。

PartyChinatsu合直後、「自分のやれることは出し切りました」彼女のブログにそんな清々しいメッセージがあった。ん、ちょっと気になるニュアンス。1年間の慰労をと食事に誘うと、ちょうど友人たちを自宅に招く予定だった日が空いていると言う。だったらと合流してもらう。「今回の決勝はノックアップ(試合前のウォームアップでボールを温める)から調子が良くて、ずっと続けていたいって思ったんですよね」そんな試合の裏話を聞きながらシェフの手料理を味わってもらう。前日、日本TVの『中居正広6番勝負』という番組に(なぜかバドミントンで)出演していた千夏ちゃん。彼女が早めに帰った後、録画した映像を視ながら「ん〜、可愛いねぇ♬」と呟くオヤヂが入った奥さまたちが呟く。

ZensaiSteak年もシングルベルやりましょうね♡」酒豪女子から早々に嬉しいメッセージ。“嬉しい”と書いたものの、お気楽風夫婦としては微妙な心境。「ドタキャンしたらごめんね」などという参加メンバーからの返信もあった。そう、昨年からスタートした、文字通りシングル女性たちとクリスマスイブを過ごす、こぢんまりとしたパーティ。一緒に過ごすパートナーを見つけて欲しいという親のような気持と、今年もまた気の置けないいつものメンバーと愉しめるぜっ!という気持が交錯する。スカッシュを通じて知り合い、一緒にスカッシュをやっている時間よりも、美味しいモノを食べたり、時間を忘れて飲んだり、そして笑ったりという時間が圧倒的に長い友人たち。

SingleBelleCake年のテーマカラーは“ピンク”。「え〜っ!持ってないなぁ」と言いながら、マニキュアをピンクにしてきた酒豪女子。「ラン用のウェアはピンク多いんだけどなぁ」とアスリート系女子は可愛いピアス。そして最も女子力が高いとの評価の役員秘書はサーモンピンクのワンピースで現れた。ちなみに妻はウェッジのペンダント。1軒目のイタリアンでガツンと肉を食べ、2次会の会場では有名店のケーキを味わう。そして恒例のプレゼント交換。1,000円以内とお子ちゃまのような設定で、それでもオトナでオシャレな工夫があるプレゼントに歓声が上がる。スカッシュという共通項がなければ出会わなかった仲間たち。なんだか不思議で嬉しいイブの夜。

へへ、友だちからイブの夜に独りじゃないだろうな!ってメールが来たから、楽しいよ♬混ぜてあげないもんね!って返信しちゃった」プレゼント交換が終わった頃、酒豪女子が嬉しそうに語る。スカッシュというマイナーなスポーツだからこそ、こぢんまりとしたネットワークの中で生まれる人との繋がりがある。メジャーではないことで、逆に拡がり深まることもある。日本チャンピオンと一緒に同じコートに入り、ナショナルチームのコーチにレッスンを受け、同じクラブに通う仲間とディープに語り合う。それも、マイナースポーツならでは。そして共通項はスカッシュが大好きなこと。そして、競技する人がひとりでも増え、日本のスカッシュ界が元気になればと思っていること。「やっぱり70歳までスカッシュやるよっ」という妻の宣言は、そんな背景もあるのだと思う。だからこそ、2020TOKYO。スカッシュがオリンピック競技のひとつにまりますように。

“びぢんさん”たちと行く中目黒、イタリア紀行「青の洞窟〜クオーレアズーロ」

BlueMadaの洞窟と言えば、イタリア南部にあるカプリ島の観光名所。海岸の断崖にできた洞窟に、水中の穴を通じて光が差し込み、洞窟全体が紺碧の光で満たされる神秘的な場所。行ったことはないけれど、映像では何度も観たことがある有名な観光地。そんな名前を堂々と冠したイルミネーションイベントが中目黒で開催されている。…ということを、仮住まいだった街、中目黒で飲もう!と日程を決めた後に知った。余りの人気に週末の開催が中止となったとニュースで聞いた。そして、当日。中目黒の駅周辺は凄い人。待ち合わせの妻と会えるかなぁと心配になりかけた時、「いぃ〜がちゃん!」と呼ぶ声。そんな気安く声を掛けるのは、いったい誰じゃい!と振返る、までもない。

Mada&Miyaを“IGAちゃん”と呼ぶのはただひとり、ワシントンD.C.帰りのマダムだけ。この人混みの中で良く見つけたね。「やっぱり赤くて太いロープで結ばれてるんだね」と笑う。妻とも無事に合流し、早めに着いたし、せっかくだからと洞窟見物に出かける。目黒川に近づくと小走りに駆け寄るワカモノたちがいる。確かに期待以上に美しい青。浮き足立つ気持は分る。サクラの時期を思わせる大勢の見物客。橋の上では警備係が大声で注意を呼びかけている。カップルたちが青白い顔をして自撮りをしている。けれど、桜の時期と違って、寒い。早く店に向かって暖まらなければ。駅に戻ってオンタイムで到着したMIYAさんと合流。互いにパソコンの画面を通じて良く知っているけれど、初めましてのご挨拶。マダムを介して知り合いになった、サブ3.5のランナーで、司法書士で、沖縄とスイーツが大好きで、スカッシュもやる“びぢんさん”。

CarpaccioShirakoに到着し、改めてのご挨拶。顔も、ウェア姿も、先週どこに行って何を食べたか、どれぐらい走ったかも(お互いに)知っているのに、初めましての不思議。声だけは初対面ならぬ初聴。新鮮でちょっとウキウキした心持ち。さっそく乾杯。イタリア料理とワインの店「クオーレアズーロ」は、2ヶ月住んだ中目黒でいちばんのお気に入りだった店。定番のオリーブの肉詰めフリットだの、おススメの3種のカルパッチョだのを味わいながら、リアルな会話を愉しむ。長くワシントンD.C.に住んだマダムとも、ここ数年はネット上でのやり取りが中心だった。これまでの時間と空間を超えたネット上でのコミュニケーションが一気に凝縮される気分。やっぱり生(ライブ)が良いね。

Miya2IGAちゃん、今日はびぢんさんたちに囲まれて幸せだねぇ」と、マダムが微笑む。気持の良い言いっぷり。事前にメールでやり取りをしていたタイミングから「3人の絶世の美女と一緒で、世の男性から嫉妬されるぜ」とか、「とっても素敵なちょいエロオヤヂ」と紹介されたりとか、他の誰にも見られないのを良いことに(ここで書いちゃったけどね)好き放題言い合っていた。そして、実際に会ったらテレるかと思いきや、生でも同じテンション、それ以上の楽しさで、話が弾む。ついついワインが進んでしまう。共に訪ねたボストンの話題になり、人との出会いの話になり、かつての恋のエピソードに話が及ぶ。ずっと前から知り合いだったように、遠いUSAで離れて暮してなどいなかったように、びぢんさんたちとの楽しく(知的に)刺激的な時間はあっという間に過ぎて行く。

しかったねぇ。今日はどうもありがとう♡またご一緒しようね♬」美味しい料理とワインを楽しみながら、知的な刺激に溢れた素敵なオトナの女性たちと、会話を愉しむ時間ほどゼータクなモノはない。イタリアの名勝「青の洞窟」を訪ね、イタリアンの名店「クオーレアズーロ(店名は「青い心=イタリアの心」という意味とのこと)」で美味しい時間を過ごしたイタリア(中目だけどね)紀行。次回はどの街を一緒に訪ねようか。

五感で味わう京料理「用賀 本城」

Hire末のご挨拶を兼ねて食事に伺おうと「用賀 本城」に電話をすると、女将さんの元気な声。年内は平日の1日だけカウンタ席が全て空いているけれど、他の日はほぼ満席だと言う。その奇跡的な1日にお気楽夫婦2人分の予約をお願いし、せっかくだから友人たちを誘ってみると答えると、「今でしたら貸切もできますよぉ」と返される。幹事体質の私に火が点いた。さっそく食いしん坊な仲間たちに声を掛けると「調整してすぐに返事します←行く気満々(^^)」「やった!その日は忘年会がない。行きま〜す!」などとあっという間にメンバーが揃った。まだ空いてますかと追加の電話をすると、「大丈夫ですよぉ。実はIGAさんのことだからって、7人分席を押えておきましたから」と女将さん。それってカウンタ席全部じゃないですか(笑)

Uni&Ankimoらっしゃいませ。IGAさん、さすがの動員力です」と女将さんに迎えられる。いえいえ、本城さんの料理の美味しさを知っている友人たち故。何度もご一緒している友人たちは、他のどの店をお誘いするよりもスケジュール調整に力が入るらしい。「僕にとっては今一番好きな店です」と新進気鋭(ちょっと改名)の建築家。「ありがとうございます。それは嬉しいですね」と本城さん。すっかり友人たちも顔なじみ。寒くてもビールで乾杯。その後は本城さんの「今日はひれ酒ありますよ」の声に、全員がひれ酒をチョイス。女将さんが炙ったヒレを浸けた熱燗の蓋の隙間から火を付ける。ぼっと小さな炎があがり(何度か点火に失敗したのもご愛嬌)香しい酒ができあがる。目と音で楽しみ、温かさを歓び、香りと旨味を五感で味わう冬の酒。

Seiko城さんの料理も五感で楽しむ京料理。季節毎に趣向を凝らした器や盛付けを目で愉しむ。季節を感じる食材の歯応え、舌触りに刺激される。パリパリと、カリカリと、食材が口の中で軽やかに奏でる音を悦ぶ。ある時には王道たる食材の組合せに納得し、ある時には大胆な食材の組合せに驚く。繊細な味付け、香りを堪能する。例えば、その日の食材のセイコガニ。地方によっては背子ガニ、香箱がにとも呼ばれるズワイのメスがに。内子と蟹ミソを和え、脚の身と外子を添え、甲羅の内に盛り付ける。オーソドックスな料理でありながら、絶妙なバランスで味付けされた小宇宙。外子のプチプチ感、内子と蟹ミソのねっとり濃厚な味わい、旨味が溢れる身とが口の中で優雅に踊る。思わず目をつむり味わうことに集中し、そして思わず微笑んでしまう。

Karasumiんだか幸福だわぁ。やっぱり和食は良いよねぇ」ワシントンD.C.から帰任したばかりのマダムが婉然と微笑む。どうやら潤んだ瞳は調子に乗って飲んでいるヒレ酒のせいらしい。寒い季節に味わう美味しい京料理とひれ酒。冬のマリアージュ。ついつい飲み過ぎてしまうのは彼女だけではなく、みんな(私も含め)良いペースでヒレ酒を飲んでいる。シメの料理をいただいた後にもひれ酒が残ってしまった。それを見ていた本城さんが「まだ完成前ですけど」と自家製のカラスミをオマケに出してくれた。炙ったカラスミの艶っぽく上品な香り。ねっとり甘く、絶妙な塩加減が舌に絡み付く。紅芯大根のサクサク感で中和し、口の中にカラスミの余韻を残しつつ、そこにヒレ酒。ん〜、たまらん。それにしても美味しいぞ、世界に誇る無形文化遺産、和食。

Member度の赴任先には美味しい和食の店があるかなぁ」と、カラスミをちびちびと味わいながらマダムが呟く。不安げながらも前向きな彼女。「そぉか、ちょくちょく日本に帰ってくれば良いか」おっしゃる通り。この「用賀 本城」ならではの楽しみは季節に一度は味わいたい。ぜひ帰国の際にはこのメンバーで、本城さんの料理を味わおう。「お店全部で貸切もできますので」そう言いながら、女将が柔やかに送ってくれた。はい、いつか、ぜひ。

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SINCE 1.May 2005