オトナの社会科見学「YAMAHA & 春華堂」

hamamatsu01ロナ禍前は、年に何度か妻の故郷である浜松に向かうのが恒例だった。年末年始、GW、そして秋の3回が基本。その度に往復の新幹線で催す2人だけの車内宴会が楽しみだった。それが叶わなかった2年余りを経て、久々に新幹線に乗った。品川駅で「腰塚」の肉肉しいおつまみセットとビール、ワインを買い込み、恒例のプチ宴会。これは義父母と過ごす数日間、マスオさんになるための通過儀礼のようなものでもある。

hamamatsu02回のマスオさんにはミッションがあった。いつも通りに家事三昧、家族の食事を供する以外に、義父母を外に連れ出すという新たなテーマ。義父が免許を返納し、身体のあちこちが弱った義母と一緒に遠出ができない。買物や病院など生活に必要最小限な外出だけで、何かを楽しむための外出がなくなってしまった。そこで、オトナの社会科見学。まずは「YAMAHA」の企業ミュージアム「イノベーションロード」にGO!

hamamatsu05元浜松の誇る世界的企業ヤマハが本社改築の際に構内に作った展示施設。単なる企業の歴史や製品の紹介に留まらず、見て、聞いて、触れて、体感できるワクワクのスペースだ。展示しているほぼ全ての楽器に触れたり、スーパーサラウンドシアターでミュージシャンの3D演奏が聴けるのだ。会場から借りた車椅子に乗った義母は、義父に押してもらいながらピアノに触れたり、それなりに楽しんでいる模様。良かった♬

hamamatsu06れにしても、この施設は素晴らしい。事前に予約は必要ではあるけれど、入場料は無料。自社製品と同様にスタイリッシュな展示と、展示品に触っても良いという大らかさが同居する空間。あぁ、そう言えば家具やスキー板、テニスラケットなどもあったなぁと、エモい(無理してます)気分が溢れる。その最たるものがヤマハ主催の「ポプコン」「世界歌謡祭」。さらに遠い目になる。上條恒彦、中島みゆき、小坂明子…あぁ。

hamamatsu07父母を連れた社会科見学は滞在時間は限られる。車椅子での移動とは言え、長時間の見学は疲れてしまう。けれど盛り沢山の体験展示は短時間では回りきれない。サイレントドラムをもう一度(これが実に楽しいのだ)試してみたい。これは再訪するしかない。そうだ。今回は諸事情がありご一緒できなかったヤマハOBであり、スカッシュ仲間のM岡さんをお誘いして、製品にまつわる裏話?も含め解説していただこう♬

hamamatsu09会科見学第2弾は、浜松土産と言えば「うなぎパイ」。その製造メーカーである「春華堂」が「浜松いわた信用金庫」とコラボして、「スイーツバンク」という施設を作った。家庭の食卓風景を13倍のスケールで忠実に再現した建物に、直売店、カフェ、信金の支店が入っている。現地に行って驚いた。予想より相当にデカい。これはすごい。信金の折込チラシがダイニングテーブルの上に乗っていたり、茶目っ気がたっぷり。

hamamatsu11して浜松と言えば、やはりウナギ。浜松はその絶妙な地理的特性で、関東風、関西風、そして名古屋風のひつまぶしを出す店がある。ちなみに浜松では「うな茶」と呼ぶ。そのうな茶を出す人気の老舗「八百徳」へ。外食は久しぶりという義父母と何種類かのウナギ料理を分け合って食す。実に旨い。浜松でウナギを食べるというのもお約束ながら、家族で外食できることの嬉しさも一緒に味わう分、何倍も味わい深い。

hamamatsu10疲れさま♬」帰路の新幹線宴会はマスオさんの慰労会。それにしても、あと何度この小宴会ができるのか、いつもしみじみ思う。一緒にタクシーに乗る度に「免許返納でお願いします」と何だか晴れやかに告げ、割引をしてもらう義父。自分たちで決めた時期に、さっぱりと車を親戚に譲り免許を返納した。己を知り、分相応に生き、不要な欲を持たず、羨ましがらない。穏やかな老後を送る2人。かくありたいと思う姿だ。

「元気はつらつ!じゃない分、かえって健康寿命が長いのかもね」と妻。人生100年を2人揃って実現しそうな義父母。ひとり娘のお気楽妻のためにも、これからも健康で長生きして欲しいものだ。

ノンストレスのサービスとは♬「ハイアットフリーク」

Hyatt01の中には多方面にフリーク(熱心な愛好家)が存在するが、なかなか他人には理解できないものも多い。お気楽夫婦は、ホテル・フリークであり、中でもハイアットホテルズを愛して止まない。愛するが余り、ハイアット修行の旅に出ている程。それは「WORLD OF HYATT」という会員制度の最高ランク「グローバリスト」であり続けるための修行。その資格は1年間に60泊という高い壁を超えて得られるもの。ほら、理解不能。

Hyatt0260泊と言えば、6日に1日、毎週1泊以上はハイアットホテルズに泊まるというハイペースで初めて達成できる水準。目指そうと言うことがすでにおバカである。しかし、現在のお気楽夫婦の会員資格はグローバリスト。コロナ禍の昨年、特別企画で宿泊数がダブルカウントされ、達成基準が下げられた30泊(すなわち実質15泊)で達成できたのだ。但し、会員資格は1年更新だから、1年限りのなんちゃってグローバリスト。ふぅ。

Hyatt03のグローバリストであり続けるという目標は、妻の卒業(定年退職)旅行の際にその資格をフル活用したいと言う目的に基づいている。現在の資格の有効期限は2023年2月。それを最低1年、少なくとも妻の卒業時まで延長しようと言うもの。そのための修行に入り、これまでは順調にいくつかのマイルストーンまで進んで来た。それと言うのも、経済的負担は別として、修行が全く辛くないから(笑)に他ならない。そりゃそうだ。

Hyatt04行そのものが好きなホテルに滞在して楽しむことだから、ただ辛くないだけではない。心地良いのだ。例えば、パークハイアット東京でのチェックイン時、少し早めに到着した2人はホテル内でランチを取って待つつもりでフロントに荷物を預けた。ところがフロントマンはチェックインの手続きをしてくれただけではなく、どこでランチを取るか伝えなかったはずなのに、席まで客室のキーを届けに来てくれたのだ。びっくり。

Hyatt05室に入ると、さらにびっくりが2人を待っていた。宿泊を伝えていなかったのに、懇意にしていただいているスタッフの方からワインとフルーツが届けられていた。事前にお伝えするといつもお気遣いいただくので、こっそり泊まる(笑)計画だったのに。そしてご機嫌のままでいつもの天空のジム「クラブオンザパーク」に向かい、受付で部屋番号を伝えると、2人のサイズのシューズが速やかにスタンバイされる。これは嬉しい。

Hyatt06して夕食時、いつもの「NYバー」でがっつりと頼んでしまった料理を食べきれず、ダメもとで部屋に料理を持ち帰っても良いかとスタッフに尋ねると、「もちろんです。お部屋にお持ちします」と笑顔で即答。ん?思わず目を見交わすお気楽夫婦。2人の聞き間違いかと思ったら、やはり持って来ていただける模様。部屋に戻るとすぐに、銀のトレーに恭しく乗せられたフレンチフライが後を追ってやって来た。これは凄い!

Hyatt07かを遠慮がちに(←これ大事)お願いすると、速やかに(←これも大事)期待以上の対応が返って来る。2人にとって、これは究極のノンストレスのサービス。ホテルに2人が望むのは、過剰にへりくだり気取ったサービスではなく、フレンドリーで気が利いたサービス。旧来の日本のホテルは、お高く止まり、ゲストを無用に緊張させ、融通が利かず、ゲストが気疲れするサービスが多かった。それではリラックスできない。やれやれ。

Hyatt08念ながら、全てのハイアットホテルズが2人の望むサービスを提供できている訳ではない。チェックイン時に手間取ったお詫びに頂いた無料ドリンク券を、バーのスタッフの勘違いサービスで台無しにされたり、卓球(アイディアは凄いのに)用に提供された宴会スペースが事前の予約をしたにも拘らず(黒服のスタッフが2人も会場まで着いてきたのに)エアコンが入っておらず、蒸し風呂状態だったり。←これはかなり困った。

お気楽夫婦は、決して高慢で傲慢な宿泊客ではない、と思っている。心地良く嬉しいサービスに対してはキチンと感謝を伝え、宿泊後のアンケートにも賛辞を記す。*私の名前で妻が回答するので内容は正確には分からないが。

満足できるサービスや味に対しては、きちんと対価を支払うだけでなく、リピートするという最高の評価を贈る。だからこそ、パークハイアット東京には20回以上、40泊以上泊まり、パーティを2回も開催している。それが最高の評価で、最大の賛辞だ。お客さま(宿泊客)は決して神様ではなく、ホスト(ホテル)から心地良いノンストレスのサービスを享受できる、幸福で対等なゲストだ。だから、明日もお気楽夫婦は辛くも苦しくもない(そうあって欲しい)修行を続けるのだ。お〜っ!by妻。

暮らすように過ごす日々「グランドハイアット東京」

GHTokyo1ラブラウンジでチェックインを済ませ、部屋に入るとそこで待っていたのは赤く輝くイチゴだった。カードには手書きのウェルカムメッセージ。こちらこそ1週間、お世話になりますと独りごちた。コロナ禍前から都内近郊のホテルステイは年に何度か行なっていた。とは言えせいぜいが3、4日。1週間の滞在は初めてだ。まずは荷物を解き、仕舞うべき場所に仕舞い、巣作りをする。短期間ではあるが、“我が家”仕様になった。

GHTokyo2屋はゼータクにもホテルメンバーズのアワードでアップグレードしてもらった「グランドエグゼクティブスイート」だ。広さは100㎡。自宅マンションより広く、眺めは良く、デスクは豪華だ。ここで1週間、お気楽妻と2人、仕事をして、日によっては会社に通い、暮らすように過ごすのだ。海外はおろか、飛行機での移動さえままならない日々。その代わりに都内のホテルに滞在し、いわゆるワーケーションと決め込んだ。

GHTokyo3本木ヒルズにある「グランドハイアット東京」が今回の滞在先。6度目か7度目の滞在だ。このホテルのウリは数年前に改装したクラブラウンジ。広く開放的なスペースにスタッフの人数も十分で、(以前と違って)客への目配りもきちんとしている。お気取り系の男性スタッフから女性スタッフ中心に変えたのが功を奏した模様。少食の2人はカクテルタイムの料理と、シャンパンも含めたフリーフローで満足の夕餉になる。

GHTokyo4食はラウンジに代わり(客が少ないから)「フレンチキッチン」というレストランで。メイン料理はオーダーでき、他の料理はビュフェスタイル。種類が割と豊富で、和食、洋食はもちろん、日替りの小丼など、美味しく楽しいラインナップだ。ある朝はインルームダイニングで和定食をオーダー。少量多品種でバランスが取れた絶品の正しい日本の朝ごはん。自宅の朝食はパンだから、これがホテル滞在の楽しみのひとつなのだ。

GHTokyo6事の前か、1日の仕事を終えて一息ついたらホテル内のジムに向かう。歩いて2分。こんな日常も嬉しい。ましてやポロシャツ1枚で行けるのがありがたい。グローバリストというメンバーカテゴリの特典で、利用料もウェアやシューズのレンタルも無料。コロナ禍で利用人数の制限があり、予約が必要なのは逆に良い感じ。混まないスペースでトレーニングができる。ホテル自慢のプールとジャグジーもゆったりと楽しめる。

GHTokyo5朝ガッツリと食べる代わりに、ランチは軽めにパン食。ホテル内のペストリーショップをはじめ、「ジョエル・ロブション」「ブリコラージュ・ブレッド」など、周辺には趣の異なる美味しいパン屋が多くあり、毎回日替わりでパン屋とパンを選ぶ楽しみもある。加えて、朝食後やランチにラウンジで無料のドリンクサービスをフル活用。滞在中、おそらく10杯以上のホットチョコレートをいただいた。これが実に美味しいのだ♬

GHTokyo7ウンジの料理だけではさすがに飽きるので、ホテル内のレストランに出向く日もある。ある夜は、和食のお気に入りの店「旬房」へ。「筍の木の芽焼き」や山菜を加えていただいた「天ぷら盛合せ」などで春を味わう。店自慢の釜焚きご飯を使った「近江牛赤身ステーキ小丼」で満腹なのに、デザートにダメ押しの小さな「鯛焼き」と「桜のアイスクリーム」まで、細やかな気配りでメニューをアレンジしていただき満足の夕餉。

GHTokyo8たある夜は、中国料理の「チャイナルーム」へ。この店でも少食な2人に、前菜は3種の小盛り、2種の野菜を2種類の味付けの野菜炒め、五目春巻は1本づつ、国産牛サーロインのしゃぶしゃぶの湯引きも1枚づつなど中国料理では考えられない少量多品種の料理が供された。極め付けは「タラバと上海蟹のチャーハン」と「鶏煮込みそば」のどちらかで悩んでいたら、どちらも少量づつという荒技(!)に感涙の旨さ。参りました。

GHTokyo9も、やっぱり飛行機に乗って旅したいねぇ」と、窓から外を眺めてお気楽妻が呟く。夕焼け空に羽田に向かう飛行機のシルエットが映えるだけに、その風景が物寂しい。「来年ぐらいには行けるかな」と妻が続ける。彼女も来年で社会人卒業。何とかその時期には世界を巡る卒業旅行がしたい。暮らすように過ごすホテル生活も楽しいけれど、非日常を味わう旅に焦がれる日々だ。行くぜ!卒業旅行!コロナ退散!

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