酒と芝居の日々「加藤健一、三谷幸喜、わかぎゑふ」

KatokenPec月某日。新宿の紀伊国屋サザンシアターにて加藤健一事務所vol.91「ブロードウェイから45秒」を観る。久しぶりのニール・サイモン作品。相変わらず軽妙なコメディはカトケンにぴったり。翻訳劇の違和感もなぜか気にならないのは、長年彼の舞台を観続けて来た贔屓目だけではなく、原作の世界をカトケンワールドに無理なく置き換え、昇華しているからだろうと毎回思う。舞台を中心に活動している彼の公演は、あと数年でvol.100を迎えることになる。今から楽しみだ。芝居の前に高島屋のデパ地下のイートイン「PECK」で腹ごしらえ。コスパ良し♬

ParcoASighn月某日。パルコ劇場にて三谷幸喜作・演出「紫式部ダイアリー」を観る。長澤まさみと斉藤由貴との2人芝居。長澤まさみの紫式部と斉藤由貴演じる清少納言というライバル同士が、平安時代を現在に置き換えた設定で、ことばのバトルを繰り広げる。文壇や出版業界における自分と相手のポジションを嘆き、若さを羨み、本音を漏らし、プライドをさらけ出す。期待を裏切らない三谷作品のクオリティの高さに舌を巻くが、それ以上に長澤まさみの紫式部が(期待していなかったからなおさら)良い。実に上手い。舞台に映える美貌とスタイルの良さに魅せられる。観劇後に下北沢の「Aサインバー」で乾杯。

OmotenashiOmotenashi2月某日。シモキタのザ・スズナリにて、玉造小劇店配給芝居vol.15 ラックシステム「おもてなし」を観る。わかぎふ作・演出の「お」シーリズ芝居。大正時代の大阪、船場を舞台にしたベタな大阪弁芝居。主演のみやなおこのキャラクター設定と演技に、思わず「ええ女やぁ」と大阪弁で呟く。実に巧くて良い脚本。笑いあり、涙ありの傑作。これまで「お正月」「お祝い」「お見合い」など、ほぼ全作品を観てきた。今回の公演も平日の入りが厳しいとの終演後のトークに、なんでこんな良い芝居が、こんな小さな小屋も満席にできんのやろかとインチキ大阪弁で嘆く。

EndohEndoh2居がはねた後は、神泉の「遠藤利三郎商店」へ。通い出して半年余り、月に1回は訪れる最近ダントツのお気に入りの店。ちょうど開店1周年とのことで、泡を1人1杯サービスしていただく。妻の分と泡せて2杯いただける私はニンマリと同行の友人夫妻と乾杯。こぢんまりとして落着いた店の雰囲気、料理、スタッフのサービス、どれもお気楽夫婦にとってはど真ん中の直球ストライク。中でもいつも可愛い笑顔のミカちゃんが好印象だった。ところが彼女はイタリアにワイン修行の旅に出てしまうとのこと。残念。ということで、いつかまたどこかの店で会いましょうと記念撮影。

日のお芝居、今までで一番良かったぁ。お店も気に入っちゃった」と、友人(妻)の嬉しいコメント。一緒に観た芝居が良かったと言ってもらえたり、おススメの店を気に入っていただくのが何よりも嬉しい幹事体質。感情体温が低い妻の「良いんじゃない」という反応だけではなく、たまに友人たちの高めのテンションに接することでバランスを取ることも必要。…こうしてようやく落着いて芝居を観て、余韻の中で美味しい酒を飲む日々が帰ってきた。「年末まで芝居はあと2本あるからね!」と妻が息巻く。テンションは低くても意気は盛ん。

隠すか、見せるか「隠蔽工作、収納問題」

LibraryCupbord居と言っても良いほど、リノベーションで生まれ変わったわが家。ところが、計画の段階から収納の問題で夫婦間の対立があった。見せない収納にしたい、という妻。それに対して、私は見せたい、というか眺めたい(蔵書やCD、食器など、お気に入りのモノが並んでいるのは嬉しいものだ)コレクター体質。妻は整理されていれば、普段は見せる必要はないという合理的なタイプ。そこで長年連れ添った2人は折り合った。見せるモノと隠すものを分けることになったのだ。例えば、ハードカバーは隠し、文庫本は見せる。背表紙が版元によって比較的統一されている文庫本はキレイに並べられるが、ハードカバーは装丁も大きさもバラバラだから隠す、というのがその理由。

DoorsOPEN器も同様。グラスやカップなどはガラスの食器棚に、普段使いの器などは木の扉の中に収まることになった。そこに建築家の友人が登場。建築家という性格上(笑)、日常的なものは隠すという施主(妻のみ)の方針は望むところ。その上ただ隠すだけではなく、建具と食器棚とを一体化するという、生活感を隠蔽する工作を施した。写真左手から、玄関に通じる扉、食器棚、バスルームへの扉、冷蔵庫などの収納棚の扉…なのだけれど、開けてみなければ分らない。天井近くまでの一枚板の引戸も、左右どちらにでも開く食器棚も同じデザイン。全部締めてしまえば、一面木質の壁となる。

Wine&RefShoues&CD蔵庫を隠すという作戦は、お披露目会に参加してくれた女性メンバーに好評。確かに閉じれば木の壁、スッキリとして見える。けれども、スペース等の問題から、基本的に全ての扉を引戸にしたわが家。冷蔵庫の中の物を取るために左の扉を開け、レンジやトースターを使うために右側の扉を開ける、という頻繁な開閉を強いられる。キッチンは妻ではなく、主に私の領有スペースであり、使用頻度が高いのは私。慣れるしかないと自分をなだめる。冷蔵庫の上の連続して穿った穴はワインラック。左側半分は通気口という遊びもある。これもボトルの大半は隠し、ワインの頭だけ見せる収納。

CDShoues関を入ってすぐ、やはり天井近くまでの大きな扉の内側には靴やCDの収納。その裏側に洗濯機を収めるスペースと洗面台があるため、靴とCDの収納スペースとは奥行が違う。それぞれ靴のサイズに合わせ、CDのサイズに(偶然ぴったりだった)合った、たっぷり入る収納。それまでは3ヶ所に分けて収納し、季節毎に入れ替えていた靴が、スッキリと一ヶ所に納まった。それを良いことに「まだ買えるね♬」と妻が微笑む。収納できる範囲で買い、入らなかったら古いモノを捨てる、というのがわが家の収納基本方針。それは今までもこれからも変わらないのだが、まだ入ってしまうなら仕方がない(涙)。

Bags逸だよね、ここは」と、妻が満足しているのが、トーナメントバッグ入れ。少し奥行深めの本棚の下に、扉付きの収納を設置し、横にバーを追加してもらった。そこにS管を下げ、スカッシュ用のバッグやラケットケースをぶら下げる。中に何も入っていない状態ではフニャフニャとして、かつ長さがあるという扱い辛いラケットバッグ。これをスポーツショップのようにつり下げ、かつ扉を付けて隠す。掃除機も同じスペースに鎮座。快心の収納アイディア。「S本くん(スカッシュ仲間)に見せないとね」隠していても、なぜか見せたいお気楽夫婦の収納だった。

食い倒れ2ヶ月間の軌跡♬「私的中目黒BEST10」

1.Azzurro2.Ifu気楽にも程がある!と一部で顰蹙を買っていた(らしい)お気楽夫婦の中目黒での仮住まい生活。それまでにも増して外食する機会が増えた、というか増やしたグルマン(gourumand:食いしん坊)な2人の2ヶ月、63日間の軌跡を追ってみた(笑)。ところで、中目黒滞在中63日間×3食として、189回の食事の機会があった。その内、外食の回数はなんと52回。朝食昼食を含めて外食率25%以上。中でも3回訪問した店が5店舗。飲食店選び放題の街で、何度も食べに行くということは、余程気に入った店だったという証し。

3.Iolo4.Minatoオーレアズーロ」は先日ブログで紹介したイタリアン。和食の「いふう」、シンガポール料理の「ファイブスターカフェ」、「港町バル」で4店舗。街中のお店を制覇した訳ではないし、食の好みはそれぞれだけど、2人の私的中目黒BEST10のTOP4。海南チキンライス好きの妻は「ファイブスターカフェ」一押し。バクテー、ラクサ、フッケンミーなどの料理も、店の佇まいもシンガポールそのもの。駅のすぐ近くの「港町バル」も人気店。仙台に本社があり、牡蛎などの東北の海産物が美味しく食べられる店。

5.Fivestars6.Aucoin2人で訪れた最初の店であり、最後に訪れた店になったのが「イルピッツァイオーロ」。カジュアルな店構えながら味は本格的で、気取らないサービスが良い感じ。テラス席が心地良い季節に訪れたこともあり好印象。ここまでがBEST5。そして2度訪れたのが、満腹ビストロ「オーコアンドゥフー」。料理のレベルが高いのに、量が多すぎるのが評価の分れるところ。絶えず満席の店内に、余り余裕も愛想もない2人のサービスマンというのがちょっと残念。味だけだったらもっとポイントが高い店。

7.Paris8.Bakuzan問は一度だけだったけれど、まだ訪れたいと思った店が「屋根裏のパリ食堂」と、蕎麦屋の「驀仙坊(ばくざんぼう)」。パリ食堂は名前の通り、飲食店ビルの最上階にあるビストロ。リーズナブルなフレンチ惣菜を気楽に味わえる店。港町バルの姉妹店。「驀仙坊」はじっくりと酒が飲める蕎麦屋。それも料理は蕎麦屋のお約束の板わさとかだけではなく、本格的でこぢゃれた一品が供される。引退後にご近所にあったら、日中から通ってしまいそうな危険な店。コスパは決して良くはないけれど、引退爺さんにはぴったり。

9.toriyoshi10.Yudsuki鳥の「鳥よし中目黒店」と和食の「夕月」は好みが分れる店。予約を受け付けず、並んで待つしかない「鳥よし」。そこは地元(だった)強み、嵐の夜に出掛けて待つことなく絶品焼鳥をいただいた。メニューがなく、ストップをかけるまで出てくる串揚げ屋方式。一見さんには敷居が高い接客だけど、美味しい。「夕月」は丁寧で美味しい料理がいただけるし、サービスのレベルも高いけれど、惜しむらくはやや値付けが高い。狭い店なのに客との距離感もちょっと離れ気味。2店とも地元に住んでふらっと通いたい店。

にも美味しい店はたくさんあった。ピッツアはこれまでの数年分をまとめて食べた。これ程の頻度でビストロと称する店を訪れた経験はない。美味しいパン屋も多く、パン好きの妻は狂喜乱舞の日々だった。焼き魚やご飯が美味しい地元の弁当屋にも通った。代官山も徒歩圏内。エリアを広げればBEST10に食い込む店もあった。ジムに頻繁に通い、遅い時間からの高カロリーな食事。結果、妻は見事に中目黒太り。「楽しんで食べたから仕方ないね」とさすがの妻も諦め顔。さて、2ヶ月間の食い倒れ生活を改め、体型も家計もダイエットに励もうか。

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SINCE 1.May 2005