憧れのロングステイ♬「中目黒♡生活(その2)」

GyozaTiger港の灣仔、NYCのミッドタウンEast、パリの6区、オークランドのハーバー周辺…隠居後に住んでみたい街がある。生涯住み続けるのは(経済的にも)無理だけれど、旅人として滞在するのではなく、住人として暮したい街。いわゆるロングステイという選択肢に近い。ロングステイ財団によると(そんな財団があったんだ!)、ロングステイの定義とは移住や永住ではなく、帰国を前提とする2週間以上の長期滞在のことらしい。だとすると、自宅マンションのリノベーションのために中目黒の仮住まいで2ヶ月生活することは、その予行演習のようなものかもしれない。国内(それもお隣の区)だし、荷物は全て仮住まいに移動しているから、本来的な意味では違うけれど。

OmePunch2ヶ月というのはなかなか微妙な期間だ。住民票はもちろん動かさないし、住所を登録しているカード会社だったりに変更届は出さない。けれど郵便物の転送依頼をする必要がある。ガス、水道などのインフラ系は新たに手続をする必要がある。月に1回の美容院は変えないけれど、週に2回行くスポーツジムは近所に通いたい。もちろん日々の買物や外食は仮住まい周辺。ということで、自宅では実現できない利便性や満足感を、短期間だからこそ追求しよう!ということで選んだ街が中目黒。そして駅近の物件。これが思った以上に快適なのだ。マンションの地下1階には東急系の高級スーパー「Precce」があり、1階にはセブンイレブンがあり、輸入食品のKALDIがある。こりゃ便利。

PrecceKALDIングステイ財団による「ロングステイ」の定義はまだある。ロングステイとは、異日常空間での日常体験を目指す、ことでもあるらしい。それまでは馴染みのなかったハレの街で、日々を過ごす。うん、まさしくこれがお気楽夫婦の望んだ仮住まいの街での生活。わざわざ食べに行きたい店が、歩ける範囲にある。それも厳しい競争に揉まれたレベルの高い美味しい店が、実にたっぷりと。そして普段使いの安くて美味しい店もたくさん。これは嬉しい。酔っぱらっても歩いて帰れる。友人を誘い、2次会は仮のわが家で、というのも愉しい。短期間の住民であるにも関わらず、良い街だねと来街者のように呟き合うのではなく、良い街でしょと住民として“我が街”を自慢したくなる。

BarTown店街もなかなか良いよ」と、妻の嬉しそうな報告。丁寧な仕事の修理屋さんを発見し、使い続けるかどうか悩んでいた靴やバッグを新品同様にしてもらったのだと言う。「中古品の買取の店もあったよ」とこれも嬉しそうに。ちなみに年に数回しか着ないキャメルのジャケットを持参したところ、買取価格1000円!これが仮住まい生活で心がける“断捨離”。必要なモノと不要なモノの線引きを明確にし、グレーゾーンを作らない。「これ要る?」と問われれば、捨てよう!と答えることが多くなった。以前でもモノが少なかった2人の生活が、仮住まい生活でさらにブラッシュアップされ、新居に“持ち帰る”必要のないモノがどんどん姿を消している。それもこの街に住んだおかげ。

と3軒、行っておきたい店が残ってるんだ」予約のできない人気の焼鳥屋、直前では予約でいっぱいのイタリアン、そして和食の人気店。楽しむ時には徹底的に。異日常空間での日常体験と言っても、それがフツーになってしまう“日常”に陥ってはいけない。積極的に街を味わい、楽しみ、和み、活用し、毎日を刺激的に過ごす。中目黒生活の前半でお気に入りになった店を、後半のひと月で友人たちを誘ってリピートせねば。…まだまだ体重と財布が気になる日々が続く。

お腹いっぱいの幸福♡「オー・コアン・ドゥ・フー」

Au coin de feuAu coin2目黒に引っ越して、真っ先に向かった店があった。駅からほど近い場所にある「Au coin du feu(オー・コアン・ドゥ・フー)」という人気のビストロ。予約なしに店の前まで行くと「遅めの夏休みをいただきます」との貼紙。残念。二度目は、ブラブラと歩き、空いていれば食べようかと店を覗いてみると「本日はご予約のお客様で満席です」との案内。無念。さすがに学習した三度目は、予約しようと電話をしてみると、「申し訳ございません。本日はご予約で満席でして」との返事。もしかしたら縁がないのか(早めに予約しないさいということだけど)と思い、他の店に電話し始めたその時、見知らぬ電話番号から着信。ん?仕事のお客様か。名乗って出ると、それが吉報だった。

RillettesSalmonIGA様ですか。先ほどは失礼しました。今でしたらお席をご用意できますが、いかがですか」という店からの電話。なぜ私の名を知っている?と一瞬訝ったけれど、あぁそうか、自分で名乗ったなと気付き納得し、すかさず名を呼ぶ小技に感心する。もちろん伺いますと答え、いそいそと店に向かう。店頭には予約で満席の貼紙が。席に着いて店を見渡すと、確かに既に満席。さほど広くはない店に、多くのカップルの笑顔と女性グループ客の笑い声が(文字通り)溢れていた。早い話が賑やか。オキドリ系の店ではなく、小振りのテーブル、キビキビと動き回るマダムとギャルソン。内装もこざっぱりとして、パリの裏通りにあるビストロの佇まい。感じの良い店だ。

PatedeComTomato2レンチでも1杯目はビール♬週末の1杯目は、ぐびりっふぅ〜っと旨い。さてと何を食べようか。プリフィクスのコースもお得な料金だが、メイン2品はちょっと多いかなとアラカルトをシェアすることにする。これが実は正解。アミューズとして出てきたのはリエット。シュー生地のようなサクッとしたパンとバゲット付き。美味しいけれど、パンだけでペースオーバーしそうな気配。そしてその日の白眉だった「厚切りサーモンの瞬間薫製 温泉卵添え」。厚切りにも程がある堂々たる厚さのサーモンが、キャロットラペを従え、温泉タマゴを頂き、堂々の登場。絶妙な鮭の柔らかさと香り、スパイスと半熟卵の組合せ。嬉しく、愉しく、快哉を叫ぶ味。電話同様、やるなぁ!この店。

TomatoCassouletくパテドカンパーニュには、豪胆なキューリのピクルス2本差し、さらにはマッシュカボチャのサラダ付き。トマトのファルシーにはたっぷりのワラサが和えられ、キノコソテーが添えられる。美味しいだけに全ての皿を平らげ、白ワインのお試し3杯セットという魅力的なメニューをオーダーすると、お試しどころではなく(嬉しいことに)並々とグラスに注がれ、…この辺りで既に息切れ。メインのカスレの巨大な皿を眺めたところで、撃沈。カリカリとした鴨のコンフィ、太めのソーセージが2本、大量の白インゲン豆の上に鎮座する。もうひと口も食べられません。…という訳にはいかず、2人で1/3くらい食べ終えたところで降参。美味しいだけに残念。でも、ドギーバッグは?

りました。ご用意します」とフツーに応えてくれる。何やら慣れた手配。帰ってネットでチェックしてみると、どうやら食べきれないのは小食のお気楽夫婦だけではない模様。店の紹介にも「フレンチなのにポーションが大き過ぎると不満を漏らすお客様が、数日後には友人たちを連れて再来店する…」とある。まさしく、そんな店。翌日のランチ、温め直したカスレを食べながら「誰を誘おうか」とニンマリと検討し合う2人だった。

中目黒で昼食を♡「眺めの良い部屋」

ViewNightview目黒で仮住まいのお気楽夫婦。仮住まいとは言え2ヶ月もの間暮す部屋だから、何件もの物件を内覧して選定。駅から近く、2人の会社にも近く、歩いて通えるスポーツクラブがあり、ご近所に魅力的な飲食店があること。ということで、今の中目黒の駅前マンションがその条件にぴったりだった。その上、階数は10階で南西の角部屋。眺めが良いばかりか、風の通りも良い。ただし、窓を開ければ頻繁に走る東横線、日比谷線待避線の電車の音が大音響のBGMとなり、近所の焼肉屋や居酒屋から魅惑的な匂いが流れて来ることもある。購入物件としては不適切。けれど、短期間住むには理想に近い。

Homeparty2Dinner日の朝、代官山でのんびり食事をした後は、歩いて中目黒へ。途中で数軒のパン屋やデリに立ち寄り、ランチ用の食材を調達。役員秘書は嬉々としてパンやスイーツを買込み、酒豪女子は朝からずっと自宅で冷やしてあったというスパークリングワインを抱えている。数日前にも友人夫妻がシャンパンを持ってやって来た。その時に食べ切れなかったイチジクを朝早くから生ハムで包みスタンバイ済み。夏季限定のシャンドンも冷えている。買って来たサラダを盛付け、数種類のパンを切ればホームパーティの準備完了♬「乾杯!」朝シャンを我慢した分、昼シャンが浸みる。旨し楽し休日ランチ。

SanmaSandwich住まいは中目黒駅から近い上に、自由が丘にあるオフィスまでわずか数分。午前中に外出した平日、外出先から自宅に立ち寄ってランチというのも可能。目黒区役所をはじめオフィスも多い場所柄、ランチ激戦区でもある中目黒。安くて美味しいランチが食べられる店が多い。ある日のランチは脂が乗ったサンマの塩焼き定食。やはり目黒で食べるサンマは旨い(笑)。また、美味しいパン屋が多い中目黒。パン好きの妻が大喜びの日々。そんなある日は、妻の弁当用サラダを多めに作り、サンドウィッチと一緒に自宅でランチ。ちなみにグラスの中はロゼワイン…ではありません。念のため。

LunchVege目黒での生活で、毎晩の飲み歩きに磨きをかけるお気楽夫婦。けれど、残念ながら小食の2人。ポーションが大きな店だと皿数を少なくするしかなく、初めての店の場合はドギーバックで持帰りをお願いすることになる。あるビストロから持ち帰った「カスレ」も翌日のランチに。友人たちとの休日ランチで残った生ハムやリエットは翌日の夕食に。それでも食べ過ぎの日々が続き、ジムで走ってカロリーを消費しても追いつかない場合には、デトックス“的”な夕食を摂ることになる。サラダを何種類か作り、バゲットとビール、ワインだけ…って、結局アルコールは摂取してしまうのだけれど(笑)

の生活、止められなくなったらどうしよう」という妻は不安気な発言内容と裏腹に、実に楽しそう。眺めの良い部屋で目醒め、電車で一駅の通勤、一旦帰宅した後に余裕のご近所ジム通い、汗を流してさっぱりした後は、中目黒の街の誘惑に身を委ねる。買物は同じ建物の地下にあるスーパーで。クリーニング屋、コンビニなども歩いて1分以内。そして夜景を眺めながら(モノの例えです)眠りにつく。…これは妻ならずとも止められない。そんな中目黒生活も、残すところ40日♬

002315153

SINCE 1.May 2005