悩めるリノベーション「ご近所バル&ピッツェリア」

EntranceHirobe築家の友人から内覧会を開催するという案内をいただき、ご近所ということもあってスカッシュ仲間と伺った。引き渡し直前の、狭小地に建てられた二世帯住宅。受付を済ませ、1階の親世帯から見学。小さな中庭の植栽を背景に、オリジナルの横開き戸が親世帯の入口。採光を確保するために、そして視線を遮るために、細かく線状にくり抜かれたデザイン。さらにはコストを抑えるために、ペアガラスでベニヤを挟み込んだものだという。どきゅ〜んっ!と来た。くぅ〜っ、やられた。こうした細やかなアイディアと意匠が建築家による設計の良さ。2階の子世帯に続く階段で、2度目のどきゅん。

KishEri&Haruましい。内覧会から飲み会へと場所を移し、乾杯をしつつため息を漏らす。新築で購入したマンションで、築19年目のわが家。多少の設計変更をして入居したものの、設備は古い型のものが多い。平均寿命が10年と言われているのに、19歳の湯沸器は未だに現役!バスルームも狭く、収納も効率が悪い。地震に備えて家具は造り付けにしたいし、バリアフリーという老後に備えるテーマもある。ということで、数社に依頼してリノベーションの計画をスタートしていた。建築家の友人にお願いするのは、予算的に難しいかなと思っていたところに、内覧会。これも縁。やはりお願いしてみようか。

Pulucino2Pulucino5日後、さっそく建築家の友人と現場取材も兼ねて打ち合わせ。これまで他社に依頼した資料、見積などを除く提案された内容を開示し、リノベーションの方針を伝える。「大きな会社と違った、ウチならではのアイディアを出さなきゃですよね」そうそう、さすが。どんぴしゃ。それが望むこと。そんな何でも言い合える友人とのやり取りをしながら、新たな住まいを設計できたら楽しいだろうなぁ、と夢想。今までは一軒家、それも別荘などを多く手掛けた建築家の彼にとって、マンションは未経験。ましてやリノベーションは初めて。お互いに制約のある中で、彼と一緒に進められるか微妙ではある。

Pulucino4Pulucino3合せも終わり、ご近所イタリアン「プルチーノ」へ。内覧会の後にスカッシュ仲間の役員秘書と行くつもりが、残念ながら満席。代わりに出掛けたご近所バルの味もなかなかではあったのだけれど、この店の石窯で焼いたピッツァがどうしても食べたかったのだ。「このスカンピ美味しいですね」と建築家の友人も満足気。ピッツァの前に、石窯で焼いた子持スカンピでぐびぐびワイン。至福の時間。そして基本のマルゲリータ。モチモチの生地と適度の焦げが旨い。調子に乗り、マッシュルームとソーセージのピッツァを追加。旅と建築の話をしながらあっという間に完食。メインは打合せよりも会食か。

しいとこだね」と妻。選ぶべきは、ある程度画一的な仕様になるけれど、一定の水準で造り上げるであろう大手施工業者か。それとも、遊び心を持ちながらオリジナリティある意匠やアイディアを織り込めるであろう建築家か。また一緒に美味しいワインを飲みながら“打合せ”しようか。

肉部へ入部?「ヒレ肉の宝山」

Nikubu5Nikubu2IGAさんたちは、GWはどんな予定なんですか」肉好きのスカッシュ仲間にコートサイドで尋ねられた。後半に浜松に行く予定だと答えると、「じゃあGWの前半は東京にいるんですね」と確認された。そしてアフタースカッシュで一緒に餃子を頬張りながら、「29(ニク)の日の前夜祭に、肉部の部活動で焼肉屋へ行きましょう!」とのお誘い。そんな伏線だったのか。店の場所は錦糸町。店内でオークションを開催し、競り落とした肉をお得にいただけるという。以前地元のもつ焼きの名店「い志井」にいた方が店長を務める店らしい。「良いよ。行こう、行こう!」と妻が珍しく前のめりで快諾。

Nikubu3Nikubu4糸町駅から歩いて2分ほど。巨大な角を振り上げた牛の看板オブジェが目印。異空間に通じるような階段を下りると、意外なほどこざっぱりとした店内。ロースターがちょこんと用意されたテーブルに付く。「ヒレ肉の宝山」という店名通り、この店のメインは赤身のヒレ肉。肉の脂が苦手な妻が乗り気だった理由はこれ。オークションが始る前に小手調べとばかりにおススメの赤身肉の盛合せをいただく。大きな塊で豪快に焼いた肉を切り分けて、がぶり。そりゃあ旨いに決まってるでしょ。もうもうと上がる煙も上下にスライドするアームフードで吸い込む。焼き網もマメに交換してくれる。良い感じ。

Nikubu1Nikubu620時過ぎ、オークションが始ると店の雰囲気が一変する。インカムを付け、コック帽をかぶったスタッフが登場。部位の説明をしながらA5の和牛肉を切り分ける。部位毎に入札。我が肉部は隣の席の関西弁集団と競り勝ち、時に負け、お得な値段でいくつかの肉皿をゲット。他の席の小さな子供連れの家族も参加。子供の入札の声に周囲は和み、厳しく競り勝とうとはしない。良い雰囲気だ。ところで、肉部はワイン部でもある。競り勝った赤身のうまうま肉を焼きながら、おススメだというイスラエルワイン「YARDEN」のカベルネソービニヨンをぐびり。ほぉ、これまたお手頃で美味しい1本。

Nikubu7Nikubu8レステーキまだ食べてないんですね。ぜひ召し上がってください。私が焼きましょう!」と他の肉部員にはお馴染みの店長の小幡さん。肉部の部活動の途中から、他の店から戻って来てサポートしてくれた。彼が登場してから肉の味が一段と美味しくなった。肉の焼き方はもちろん、ワインとの組合せ、肉の部位の説明など、全てが料理の味を引立てる。料理は人、サービスもまた人。美味しい店には小気味の良いサービスを提供してくれるステキなスタッフがいる。美しい色に焼き上がったヒレ肉は絶品。おススメワインとの相性もぴったり。小食の2人も脂が少ない肉だけに箸がすすむ。満足満腹。

日は肉部に入部、おめでとうございまぁす」食べ終わった頃にそんな宣言。え”?今日のこの席でもう入部なんだ。「そう、これで毎月29日前後には肉たべないとですよ」うひゃぁ。肉部の部活動はハード。先日誘われ、日程が合わずに行けなかった市ヶ谷の「大木屋」の肉のエアーズロックの写真を見せられた時、ウチには無理だと唸った2人。今思えば、あれも肉部の入部審査だったのかもしれない。うぅ〜む、入部を喜んで良いモノかどうか、それは今後の活動次第だ。

料理は、楽し、嬉し、旨し♬「ウドとタケノコ」

Beforeingの日のまちづくり会社の取締役会は社長のご自宅で開催。会議が終わった頃、奥さまが帰宅。「あら、ちょうど良かった。持ってってぇ」と言われて、覗いた新聞紙の包みの中に入っていたのは、タケノコと山ウド。「今朝、実家に行って掘って来たのよ。タケノコは今日中に灰汁抜きしてね、米のとぎ汁でも良いし。山ウドは酢みそ和えで、葉っぱは天ぷらでも良いし」と、あっさり仰る。フツーのお宅であれば、その通りに調理することも可能なのだろう。けれどわが家には米がない、天ぷら粉も、天ぷら用の油も鍋もない。しばし絶句。さぁて、どうしようか。途方に暮れてばかりはいられない。

Boilharshness宅して包みを開けると、丸々とした見事なタケノコ、そして瑞々しい山ウド。とは言え、どちらも生の食材としては初体験。どこから手を付けたら良いやら。まずはクックパッドで調理法をチェック。タケノコの灰汁取り。ふぅむ、いろいろなやり方はあるけれど、茹でて浮いた灰汁を取るだけでも良いらしい。ほっとしたのも束の間、次は皮むき。クックパッドには、優しく剥くようにとしか載っていない。文字通り手探りで作業開始。剥いても剥いても、皮。どこから食べられるんだ。根の赤いボツボツが不気味。悪戦苦闘しながらも、どうやら終了。さっと茹で、灰汁を丁寧に掬って下拵え完了。

MizuniMisoMayoであがったタケノコをぱくり。ん、うんまいっ!サクッとした歯応えが軽やか。若々しい香りも素晴らしい。次は山ウド。葉と茎を切り分け、丁寧に洗って水に浸し、灰汁抜き。茎はわが家には酢もないから酢みそ和えはできん。きんぴらに決定。葉は茹でて味噌マヨ味か。わが家の限られた調味料での味付けは、味噌とゴマとハチミツかと思い付く。小さめのボウルで丁寧に混ぜ合わせる。大きめのボウルに入れたウドの葉と調味料を混ぜ、和える。一品目の調理完了。フライパンに少々のゴマ油、ウドの茎を投入し軽く炒め、味付け。二品目、ウドのキンピラ完成。なんだか楽しいぞ、料理♬

TosaniUdoわぁ〜っ。美味しそうだね」夜遅くに帰宅した妻との夕餉。タケノコはシンプルに土佐煮に。ウドのキンピラ、ウドの葉の味噌マヨ和え、そして総菜屋で買って来た(わが家では揚げ物禁止のため)アジフライ、という小料理屋風メニュー。「ほぉ〜、ウドって苦みがあって美味しいね。オトナの味だね」妻の眼が輝く。「タケノコ上手に煮てあって、すごく美味しい!タケノコを生から料理できるオヤヂも珍しいよ。素晴らしい!」珍しく妻が手放しで絶賛。嬉しいじゃないか。毎日の外食で舌を鍛えた成果か、デパ地下で買って来た惣菜を美味しそうに盛付ける技を磨き続けた結果か。

解を怖れず言えば、料理は直感だ。そして最小限の情報と知識。加えて少々のセンスと美味しいモノを味わった経験。あ、愛情も少々。これがあれば何とかなる、はず。毎日料理を作っている方にしてみたら、苦笑するような出来だろうけれど、自分で作る料理は楽しい、嬉しい、美味しい。引退したら本格的に“家庭料理”を作ろうか。ついついその気になる。わざわざ食材や調理器具を揃えて作る料理ではなく、家にあるモノで何とかできる身近な料理。

「良いねぇ。作って!だけど、美味しいモノを作るためにも、外食は欠かせないよね」お気楽夫婦の生活は、この先もきっと相変わらずの日々。

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SINCE 1.May 2005