3月1日は何の日?「ビストロ トロワキャール」

Trois5Trois6好きのカップル2組(にくみ)を、2月9日のニクの日に、肉料理が自慢のビストロにお誘いしていた。ところが、企画した主催者である私のインフルエンザ罹患のために予約をキャンセル。無念。そして、すまん。でも楽しみにしていたニクの日企画を流すのは残念過ぎる。では2月29日のニクの日に!…と、カレンダーを見ると2月は28日までしかない。さらに無念。でも、待てよ、3月1日は2月29日であり、ニクの日なのだと半ば強引に思い付いた。もちろんニク好きカップルも依存なし。スケジュールの都合でランチ企画として、改めて松陰神社前駅のすぐ側にある「ビストロ・トロワキャール」に集合。まずは白ビールとスパークリングワイン、飲めない妻は発泡水で乾杯。

Trois7Trois8しみにしてたんですよぉ♬」初訪問のご夫婦は、海外赴任の経験があるご主人と、子供の頃を南半球の国で過ごした帰国子女という組合せ。筋金入りのニク好きで、ワイン好き。「この組合せは凄いですね、パンも美味しい♡」アミューズの白レバーペースト&カシスソース。そして焼きたてのパン。くぅ〜っ、うまい。ここでワインを1本。続いて特別オーダーのオードブル全部乗せ。「うわっ!美味しそう」タスマニアサーモンのミキュイ、パテ ド カンパーニュ、ブータン ノワールなどが鮮やかに盛付けられた珠玉の一皿が登場。それぞれが主張のある味わい深い料理を少しづつ、実にゼータクな盛合せをじっくりと味わう。ここでさらに白ワインを2本。

Trois2trois4インは何にしましょうか」というマダムのまゆみちゃんの問いに、ニク好き男子は迷わずガツンとステーキ&フリットを選択。ニク好き女子は牛ほほ肉の赤ワイン煮込み、お気楽妻はひとり魚料理を選択。ここで当然ながら赤ワインを1本。チョイスはまゆみちゃんにお任せ。「やっぱり肉だなぁ」「この肉もほろほろ柔らかくって美味しいよ」「店に入ってシェフに初めてお会いして、この店は間違いないって思ったんですよ」「木下シェフには美味しそうなオーラあるよね」メイン料理を楽しみつつ、いつの間にか2本目の赤ワイン、通算5本目を飲み干す。更にテンションが上がるニク好きなメンバーたち。笑顔が続く。嬉しい料理だ。楽しい酒だ。

trois3trois1インもう1本お願いします」デザートを味わいながら6本目。隣で妻がまだいくか?という顔をした気配があったが、強行。「この店、きちんとワインも揃ってますよね」ワイン好きが高じて、海外赴任中にワインショップで働いていたという肉好き奥様のことばにメンバーが頷く。肉料理はもちろんワインにも満足の笑み。「はぁ〜い、では皆さんどれかを選んでください」思いがけず、メンバーのひとりから、フリッジィズー(Fridgezoo)という冷蔵庫に棲む動物ガジェットのプレゼント。冷蔵庫を開ける度に話しかけて来るのだという。「わぁ〜い、私はアザラシ♬」「シロクマかなぁ」「ウチも良いんですか。じゃあペンギン」とまゆみちゃん。そして和やかに記念撮影。

味しかったぁ♬」「楽しかったねぇ」「それにしても飲んだねぇ」えぇ、そりゃあ皆さん飲みましたとも!という妻の呆れてビター気味な笑顔をスルー。ランチにしては記録的な量を飲み、ランチはお手頃で、ワインのC/Pも良いこの店としては記録的な料金になったらしい。3月1日はニクの日を超えた、肉とワインの日。肉好きのカップルたちは、つくづくワイン好きでもあった。

ねもきちラストダンス♬「広東料理 Foo」

KubotaNemoべることが好きだ。だからこそ、心地良く美味しいモノを味わいたい。お気楽夫婦がこの店は!と思って通うのは“居心地の良い店”だ。日本は海外諸国に比べて概して飲食業のレベル(味とサービス)が高いのに、仕事としては決して高く見られない。一部の高級飲食店は別にして、(広義の)水商売と一括りにされ、軽く見られることが多い。実に心外だ。食に関わる職業は、人を舌で幸福にさせ、サービスで満足させる、素晴らしい仕事だ。演劇や映画などのエンターテインメントやホテルなどにも通じる、消えてしまうモノに対価を支払ってもらうという、評価のハードルが高い職業。モノという形ではなく、美味しさや楽しさという記憶として残る仕事。もっと評価されるべき仕事だ。

Foo3Foo6でこそ有名シェフがマスコミでもてはやされたり、女の子に人気の職業の上位にパティシエが登場するようになったけれど、飲食業界の仕事で生涯を全うするということは、いろいろな意味で今でも厳しい。10代の頃、短期留学先のパリのカフェで働くギャルソン(サービスマン)たちの年齢が高いこと=歳を取っても働き続けられることに驚いた。その頃、ホテルや飲食店でアルバイトをしていた身として、若いアルバイトに頼る日本の環境とは違うのかと不思議だった。同じ頃、旅行先で知った神戸の「八百丑」(*震災後に残念ながら閉店)というステーキ屋さんで働くオジイちゃんたちの、物腰柔らかで、心地良いサービスを目の当たりにして、やっぱり良いなぁと実感した。

Foo1Foo2という立場からの、サービスを受ける側からの視点からではあるけれど、「飲食業界(特にサービスマン)の地位向上委員会」的なスタンスで外食をしてきた。だからこそ、評価という偉そうな物言いではなく、好きだという個人的な言い回しで、拙いブログ記事で飲食店を紹介してきた。ネガティブな表現で飲食店を否定することを避け、嫌だったら行かなければ良いだけ、というポリシーをずっと持ち続けている。好きな店を教えたくないのではなく、ぜひ行って欲しい、一緒に行こうよ!というノリ。飲食店(だけではないけれど)は、圧倒的なスピードで淘汰される。長く続けることはとてもたいへんだ。だからこそ贔屓の引き倒しにならないように応援したい。そんな気持。

Foo5Foo4陰神社前「広東料理Foo」のサービスマン、ねもきちこと根本氏が引退してしまった。個人的な事情で、飲食業界の勤務体系では仕事が続けられなくなってしまったという。とても悲しく残念なできごとだ。ずっと客とサービスマンとしての関係を続けていたかった。パリのギャルソンのように、八百丑のオジイちゃんのように、あるいは新しく進化したサービスマンとして、この店で会えると思っていた。同じ料理を食べても、接客によって味は変わる。好みを知ってもらえば、料理や酒の選択も、安心して身を委ねることができる。巧く嵌ったときは、料理と酒のマリアージュだけではなく、客とサービスマンのマリアージュが生まれる。彼はそんなサービスマンだった。

3月2日、サービスマンねもきちの最終日。ねもきちファンの友人たちを誘い店に向かった。いつものように、にこやかに迎えられ、美味しく料理をいただき、楽しく飲んだ。ねもきちはラストダンスを軽やかに踊っていた。楽しそうで、ちょっとだけ淋しそうで、名残惜しそうに。やっぱりサービスマンは彼の天職だ。

2008年夏、ミッドタウンの「SILIN」で出会ったねもきち。初訪問の際、的確で柔軟で、しっかりとした知識に裏付けされ、この仕事がそして料理が大好きだという気持が伝わる心地良い接客に、すっかり惚れてしまった。以来6年の(あれ?まだ6年か!)短いお付き合い。SILINは年に4回ほど、季節毎に訪れる店だったけれど、Fooは(六本木に比べて)お手頃な分、月に1度ぐらいのペースで通わせてもらった。ねもきちのおかげで、お気楽夫婦の食の世界が広がった。ねもきちが辞める前にとFooにご一緒した福井のK夫妻のように、新たなネットワークも繋がった。感謝。

ありがとう!ねもきち♡またいつかどこかの美味しい店で、(客同士ではなくね)会えると良いね♬

悲しみをぶっ飛ばせ!「パクチーハウス」

PaxiHouseTokyoPaxi Original田急線経堂駅から農大通りを南へ。授業を終え駅に向かう学生たちの流れに逆らい、3〜4分ほど歩いたところに、何やら秘密めいた店がある。まず、入口が分かり難い。看板もオシャレながら、控えめで目立たない。何度か訪問していても見過ごしてしまいそうになる小さなビルの2階。その上エレベーターしか店に行く手段がない。そして、そのエレベーターに乗った途端、パクチー嫌いの人は卒倒する。すでに何とも言えないパクチーの香りが漂う。パクチー嫌いにとっては、パクチー臭が充満していると表現するだろうが。あ、もしかしたら踏み絵?リトマス試験紙?ダメだと思ったら、ここで引き返してね!という店のメッセージか?そんな店。

Paxi!Kakiageしろメニューには逃げ場がない。パクチーの入っていないメニューがない。どの料理もパクチーが漏れなく入っている。パクチーの入っていないのはアルコール類だけ。ちなみに、酒の飲めない妻がオーダーするソフトドリンクも、パクティ(笑)。そう、この店のメニューはネーミングも秀逸。パクチーのかき揚げは「パク天」と呼び、パクチーのキムチは辛パクとなる。「パクパクピッグパクポーク ビッグパクパクパクポーク」という舌を噛みそうな長い名前の、たっぷりのパクチーと豚肉の脂の甘さが絶妙な組合せの料理(私のお気に入りで毎回食べる)は、省略しないでオーダーする必要がある。これが愉しいのだ。この店のノリを醒めた目で見ずに、一緒に乗っかるに限る。

PorkPaxipiクチー好きは女性が多い。男女5人で訪問したその日、同行のスカッシュ仲間と私以外、店内を見渡す限り客は女性しかいない。2人のオヤヂは異分子。けれども2人とも店の雰囲気をパクチーと一緒に楽しんでしまう。「良いね、ここ♬」オヤヂ同士で深く頷き合う。「ぐちゃぐちゃが美味しい皮蛋豆腐」をネーミング通りにぐちゃぐちゃにしながらつつく。これも実にんまい。が、パクチー好きの集まりの皿からは、パクチーが先になくなってしまう。「パクチー追加しようか」ここで店のお約束。追加のパクチーは「追パクお願いします!」と叫ぶ必要がある。そして声が伝われば、なんと無料。ですよねとスタッフに話すと、「あ、お持ちします」とのこと。オトナの対応。

Eri&SawaPaxiだか元気になるね♬頑張って出てきて良かった」昨年末に父親を病気で亡くしたスカッシュ仲間。こんなに父親っ娘だと思わなかったと本人も言うように、その落ち込み方は半端なモノではなかった。その日の宴会テーマは「パクチー食べて寒さや悲しみをぶっ飛ばせ!」と、パクチー好きの彼女を元気づけようと言う企画。なのに肝心の彼女が風邪をひいてしまい、危うく単なるパクチー好きの会になってしまうところだったのだ。「ワインも飲んじゃおうっと♬」おいおい、病み上がりで大丈夫かい?と尋ねる仲間たちの声も柔らかい。美味しいモノを食べ、気の置けない仲間と楽しく飲めば、たいていの悲しみは吹っ飛んでしまう…はず。

い、パクチー♬」この店で写真を撮る時には、スタッフはそう声を掛ける。もちろんお約束のパクチーの冠りもの付き。オトナとしては、ここまで楽しまねばというノリ。パクチー好きの楽しい仲間たちと、実に美味しい時間を過ごした。この店のコンセプトは「No paxi,No life」だけれど、加えて「No friends,No enjoy life」だと実感した夜だった。

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SINCE 1.May 2005