香港を食べに行く♬「夜上海、利苑、正斗」

HarborChampagne港訪問の目的のひとつは、グランドハイアットのクラブラウンジで過ごす時間を楽しむこと。30階にあるラウンジは窓が大きく、天井が高いゆったりとした造り。窓際の席からのヴィクトリアハーバーの眺めは秀逸。メニュー豊富なビュフェに加え、卵料理や中華粥などもオーダーできる朝食。美しく盛付けられたオードブルを楽しみながら、シャンパンを味わう夕暮れ時。どの時間も心地良く過ごせる。貯まったポイントでアップグレードし、毎回このラウンジで過ごすことが香港滞在の愉しみ。すっかり顔なじみになったスタッフと挨拶を交わす。口数の少ない妻がこの場所では饒舌になる。彼らからは、おしゃべりな妻と無口な夫、という印象を持たれているはず。

CrabYeShanghai海料理の「夜上海(Ye Shanghai)」も毎回訪問するようになった店。秋から冬にかけて訪問する際には、必ず「上海蟹の甲羅詰め焼き」を味わう。上海ガニの甲羅に、蟹肉、蟹ミソ、蟹の卵、卵白を混ぜて焼いた名物料理。濃厚な蟹ミソや蟹の卵と、淡白な蟹肉や卵白が絶妙なバランス。専用の皿に盛られた甲羅の中に詰まった具材をスプーンですくい、生姜の利いたタレを付けていただく。ひと口で上海蟹の美味しさを一気に味わえる。その他にも、定番の蟹粉小籠包、クリスピーなライスコーンに炒めた肉や野菜を詰めた料理など。見るからに美味しそうな、クオリティの高い大きな写真付きのメニューで選べるのが嬉しい。この店の九龍店が☆☆を獲得している。

LeiGardenBakedBun終日のランチは「利苑(Lei Garden)」のIFC店。初訪問。香港、シンガポール、北京などで多店舗展開している有名店。香港にある7店舗の内、IFC店を含めた数店舗がミシュランの☆を連続して獲っているらしい。IFCの階下にあるエアポートEXPの香港駅でインタウンチェックインと呼ばれる搭乗手続を済ませ、手荷物だけでお店に向かう。これがなかなか便利。予約より少し早い時間に到着して店頭で待っている間にも、予約なしの客が訪れ全て断られている。ふぅむ。席に案内され、メニューを眺めると予想外に種類が少ない。むむ。オーダーした前菜や点心はどれも美味しいのだけれど、盛付けが素っ気なく、正直に言えば貧相でヘタ。これで結構なお値段を付けるのはいかがなものか。と、閃いた。追加のオーダーを止めて、軽めに済まそう。

TastyWantonMee事の途中で一旦席を立ち、ある店に向かう。IFCの同じ階にある「正斗(Tasty)」という麺粥中心の人気料理店。この店は予約ができず、受付で番号札をもらう方式。20〜30組待ちは当たり前。前回の香港訪問の際、余りの待ち時間の長さに食べるのを諦めた店。番号札だけをもらい、利苑に戻り、ゆっくりと食事を済ませて正斗に向かうというハシゴ作戦。頃合いの時間に店に向かう。庶民的な店で、値段も手頃。メニューも豊富。出てきた雲呑麺の味はと言えば、The HongKong Mee!これぞ香港の味!「美味しい♬やっぱりこれを食べないとね」と妻も満足の笑み。やはり定番の芥蘭のオイスターソース掛けも、これこれ!これが食べたかった!という味。ストレートにうまい。

後に逆転サヨナラ勝ちって感じだね」と妻。街場で食べた初日の夜の麺粥店が珍しくハズレ、最後のランチで挽回できない気配が漂った香港食い倒れの旅。その劣勢を小食のお気楽夫婦としてはかなり珍しい2食ランチで挽回。有終の美を飾ることができた。…けれど、その数時間後に搭乗したCathay Pacific Air の機内食をほとんど食べられなかったのは言うまでもない。

やはりこの店で「龍景軒」香港 四季酒店

AbaronTaro念すべき10度目の香港。どの店で何を食べようか。妻はとても嬉しそうに悩んでいた。「今回もランチが中心だね。どこに行きたい?」初心に還って「福臨門」で茹で海老、蓮の葉チャーハンというのはどう?「あの店はポーションが大きいからなぁ」だったら、「鏞記酒家」か「満福樓」でローストグース?「ダイナスティ(満福楼)は改装でやってないし、ヨンキー(鏞記)は今イチだなぁ」じゃあ、やっぱり「龍景軒」かなぁ。「うん、まずはそれだね」と予約のメールを送る妻。「すごい!週末のランチは年内は予約取れないって」連続ミシュラン☆☆☆の龍景軒。未だに人気は衰えないらしい。何とか滞在2日目、金曜のランチを予約。

ChaHanMangoォーシーズンズホテルの4階。すっかり通い慣れた店となった龍景軒。まずは、点心メニューからアワビのパフ。サクサクのパイ生地と、甘辛く上品な旨味を閉じ込めた煮アワビのハーモニーが絶品。この店で外せない一品。そしてタロイモのダンプリング。軽やかに揚げられたサクッとした衣と甘いタロイモ餡が実に旨い。いずれも食感、食材の組合せ、味のバランスが素晴らしい、2人の大好物。続いて蓮の葉チャーハン。この店のポーションは小食ながらいろいろ食べたい2人にぴったりの大きさ。相変わらずサービスは洗練されており、盛付けも美しく、ヴィクトリアハーバーを臨む明るい店内。どれもが心地良い。ゆったりした、この店ならではの時間が流れる。

LungKingHeenAppetizerっぱり夜も食べに来たいね♬」デザートのマンゴーサゴクリームを満足気に食べながら、妻がアピール。さらに「茹で海老も食べたいしね」とダメ押し。楽しみにしていた海鮮メニューは、仕入が間に合わなかったとのことで、食べられなかったのだ。顔なじみになったスタッフに確認すると、翌日の早い時間なら席があるという。では!と予約。翌日、ほとんど客のいない時間。シェフおススメの前菜4種類の盛合せからスタート。艶やかなBBQポークは、甘く香ばしく、ワインが進む。繊細で美しい盛付けはヌーベルシノワーズのようで、料理の基本はオーソドックスな広東料理。けれど、食材の組合せや味付けは斬新。これはお気楽夫婦の好み、ど真ん中のストライク。

ShrimpsVegiして、待望の茹で海老。時価という表示も怖れることはない。日本で食べるのに比べれば安いぐらい。香港での表記はシンプルに「SHRIMPS」。新鮮であれば、何エビだろうと、名前は関係ない。鮮やかな朱色の艶かしい海老たちが供される。「これ、これ♬」手づかみで、わしわしと海老の頭を取り、ちゅうっとしゃぶる。殻を剥いたエビをさっぱり系のソースに浸し、ひと口でぱくり。「う〜ん、美味しいなぁ。やっぱりこれ食べないとね」2人で1ダース程の大振りのエビを平らげる。満足。と、忘れていけないのはシャキシャキの野菜炒め。数種類の野菜がどれもが新鮮で、あっさり塩味が野菜の味を引立てる。野菜好きの2人にとって嬉しい一皿。

っぱり香港に来たら、この店で食べなきゃだね」と満足そうに微笑む妻。当時六本木の中華料理店「SILIN火龍園」の支配人だったねもきちくんに薦められ、初めて訪れたのが2009年の夏。香港でもこんな素晴らしいサービスができるんだ!と驚愕。以来、記念すべき通算10度目の訪問。料理の味だけではなく、そのプレゼンテーション、フレンドリーなのに品のあるサービス、スタッフの気遣い、さらには店のロケーションまですっかりお気に入り。香港に来たら、この店へ。というより、この店に来るために、香港へ。

10度目の♬「HongKong紀行」

Mt.FujiHongKong1995年12月、お気楽夫婦は初めて香港を訪れた。1997年の香港返還前に、どうしても香港を訪ねたかった。間もなく香港というアナウンスに窓から外を覗くと、機体のすぐ下には摩天楼。ビルの群れを掠めるように着陸し、降り立ったのは香港啓徳空港。混雑を極め、薄汚れた空港ターミナルビルを彷徨う。何とか街の中心部に向かうバスに乗り込む。通り沿いのビルから物干竿が突き出され、洗濯物が風にたなびく。エアコンの室外機が落下してきそうな恐怖に駆られる。悪名高き九龍城砦は前年に解体されてしまっていたけれど、初めて訪れた旅行者にとってはどのビルも悪の巣窟に見える。

ParcWanchaiテルのある湾仔(ワンチャイ)の街をおっかなびっくり歩いてみる。街を歩く人が皆自分たちを騙す悪人に見える。看板だらけの明るい大きな通りから、足下も覚束ない薄暗い裏通りに入ると、ますます不安が増す。ガイドブックを片手に何とか辿り着いた店にあるのは、広東語表記だけのメニュー。ビールくださいと英語で言っても、全く伝わらない。何とか食事を済ませ、トラムが走る通りの近くにある公園に立ち寄る。ビルに囲まれコンクリートで被われたグランドで、子供たちはサッカーに興じ、スタンドではオトナが屯している。麻薬の密売取引でもしている空気に怯える。…今となれば笑い話。

JunkPanorama2013年12月、10度目の香港訪問。18年前と同じホテルに宿泊。2人とも30代だった18年前は、中庭に面した狭い部屋だった。今は貯めたポイントでアップグレードし、ハーバービューの広い部屋。九龍や中環の景色が目の前に広がる。ジャンク船やスターフェリーが行き交う風景をのんびり眺める。18年前の香港旅行のテーマは、直前に手に入れた『別冊太陽』の特集のタイトル通り「香港を食べに行く」旅。暴飲暴食を重ね、初めての香港から帰ってすぐに体調を崩し、点滴のお世話になった。けれど、香港の味にハマった。それ以来、訪問回数を重ねてもそのテーマは変わらない。

MarketHongKongSquashOpen年はどの店に行こうか」妻のファイルには、エリア別、ジャンル別にレストランの長いリストが並ぶ。18年の間にはお気に入りの店も増えた。優先度を明確にしないと短期間の滞在では行ききれない状況になった。「龍景軒は外せないし、夜上海でも絶対に食べたいしなぁ」結局メインのランチに確実に行きたい2軒、新規開拓が1軒、夕食は当日の体調任せということになった。と言うのも、定宿となった湾仔のグランドハイアットのラウンジで過ごす時間も香港訪問の目的のひとつ。夕暮れ時のヴィクトリアハーバーを眺めながら、シャンパンを味わうという至福の時間。ビュフェのオードブルの美味しさに負けず、食べ過ぎなければ夕食をきちんと食べる。負けてしまったら麺粥店で軽く済ませる、というのが定番コース。

合は何試合か観られれば良いよね」この季節、日程が合えばスカッシュの「香港OPEN」を観戦できる。テニスで言えば4大大会クラスの世界的大会。へなちょこスカッシュプレーヤーの2人は、観戦が目的で香港に向かうことは少ないけれど、それでも香港OPENの試合観戦は4度目。世界トップクラスのプレーを間近に観るチャンス。2時間以上続いた熱戦もあり、終了予定時間を大幅に超える。観戦は満腹、そして食は空腹ということで、いくつかの試合を観ずに会場を出る。「やっぱり香港は、食べなきゃね♬」小食ながらも貪欲な妻の目が輝いた。

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SINCE 1.May 2005