やはりこの店で「龍景軒」香港 四季酒店

AbaronTaro念すべき10度目の香港。どの店で何を食べようか。妻はとても嬉しそうに悩んでいた。「今回もランチが中心だね。どこに行きたい?」初心に還って「福臨門」で茹で海老、蓮の葉チャーハンというのはどう?「あの店はポーションが大きいからなぁ」だったら、「鏞記酒家」か「満福樓」でローストグース?「ダイナスティ(満福楼)は改装でやってないし、ヨンキー(鏞記)は今イチだなぁ」じゃあ、やっぱり「龍景軒」かなぁ。「うん、まずはそれだね」と予約のメールを送る妻。「すごい!週末のランチは年内は予約取れないって」連続ミシュラン☆☆☆の龍景軒。未だに人気は衰えないらしい。何とか滞在2日目、金曜のランチを予約。

ChaHanMangoォーシーズンズホテルの4階。すっかり通い慣れた店となった龍景軒。まずは、点心メニューからアワビのパフ。サクサクのパイ生地と、甘辛く上品な旨味を閉じ込めた煮アワビのハーモニーが絶品。この店で外せない一品。そしてタロイモのダンプリング。軽やかに揚げられたサクッとした衣と甘いタロイモ餡が実に旨い。いずれも食感、食材の組合せ、味のバランスが素晴らしい、2人の大好物。続いて蓮の葉チャーハン。この店のポーションは小食ながらいろいろ食べたい2人にぴったりの大きさ。相変わらずサービスは洗練されており、盛付けも美しく、ヴィクトリアハーバーを臨む明るい店内。どれもが心地良い。ゆったりした、この店ならではの時間が流れる。

LungKingHeenAppetizerっぱり夜も食べに来たいね♬」デザートのマンゴーサゴクリームを満足気に食べながら、妻がアピール。さらに「茹で海老も食べたいしね」とダメ押し。楽しみにしていた海鮮メニューは、仕入が間に合わなかったとのことで、食べられなかったのだ。顔なじみになったスタッフに確認すると、翌日の早い時間なら席があるという。では!と予約。翌日、ほとんど客のいない時間。シェフおススメの前菜4種類の盛合せからスタート。艶やかなBBQポークは、甘く香ばしく、ワインが進む。繊細で美しい盛付けはヌーベルシノワーズのようで、料理の基本はオーソドックスな広東料理。けれど、食材の組合せや味付けは斬新。これはお気楽夫婦の好み、ど真ん中のストライク。

ShrimpsVegiして、待望の茹で海老。時価という表示も怖れることはない。日本で食べるのに比べれば安いぐらい。香港での表記はシンプルに「SHRIMPS」。新鮮であれば、何エビだろうと、名前は関係ない。鮮やかな朱色の艶かしい海老たちが供される。「これ、これ♬」手づかみで、わしわしと海老の頭を取り、ちゅうっとしゃぶる。殻を剥いたエビをさっぱり系のソースに浸し、ひと口でぱくり。「う〜ん、美味しいなぁ。やっぱりこれ食べないとね」2人で1ダース程の大振りのエビを平らげる。満足。と、忘れていけないのはシャキシャキの野菜炒め。数種類の野菜がどれもが新鮮で、あっさり塩味が野菜の味を引立てる。野菜好きの2人にとって嬉しい一皿。

っぱり香港に来たら、この店で食べなきゃだね」と満足そうに微笑む妻。当時六本木の中華料理店「SILIN火龍園」の支配人だったねもきちくんに薦められ、初めて訪れたのが2009年の夏。香港でもこんな素晴らしいサービスができるんだ!と驚愕。以来、記念すべき通算10度目の訪問。料理の味だけではなく、そのプレゼンテーション、フレンドリーなのに品のあるサービス、スタッフの気遣い、さらには店のロケーションまですっかりお気に入り。香港に来たら、この店へ。というより、この店に来るために、香港へ。

10度目の♬「HongKong紀行」

Mt.FujiHongKong1995年12月、お気楽夫婦は初めて香港を訪れた。1997年の香港返還前に、どうしても香港を訪ねたかった。間もなく香港というアナウンスに窓から外を覗くと、機体のすぐ下には摩天楼。ビルの群れを掠めるように着陸し、降り立ったのは香港啓徳空港。混雑を極め、薄汚れた空港ターミナルビルを彷徨う。何とか街の中心部に向かうバスに乗り込む。通り沿いのビルから物干竿が突き出され、洗濯物が風にたなびく。エアコンの室外機が落下してきそうな恐怖に駆られる。悪名高き九龍城砦は前年に解体されてしまっていたけれど、初めて訪れた旅行者にとってはどのビルも悪の巣窟に見える。

ParcWanchaiテルのある湾仔(ワンチャイ)の街をおっかなびっくり歩いてみる。街を歩く人が皆自分たちを騙す悪人に見える。看板だらけの明るい大きな通りから、足下も覚束ない薄暗い裏通りに入ると、ますます不安が増す。ガイドブックを片手に何とか辿り着いた店にあるのは、広東語表記だけのメニュー。ビールくださいと英語で言っても、全く伝わらない。何とか食事を済ませ、トラムが走る通りの近くにある公園に立ち寄る。ビルに囲まれコンクリートで被われたグランドで、子供たちはサッカーに興じ、スタンドではオトナが屯している。麻薬の密売取引でもしている空気に怯える。…今となれば笑い話。

JunkPanorama2013年12月、10度目の香港訪問。18年前と同じホテルに宿泊。2人とも30代だった18年前は、中庭に面した狭い部屋だった。今は貯めたポイントでアップグレードし、ハーバービューの広い部屋。九龍や中環の景色が目の前に広がる。ジャンク船やスターフェリーが行き交う風景をのんびり眺める。18年前の香港旅行のテーマは、直前に手に入れた『別冊太陽』の特集のタイトル通り「香港を食べに行く」旅。暴飲暴食を重ね、初めての香港から帰ってすぐに体調を崩し、点滴のお世話になった。けれど、香港の味にハマった。それ以来、訪問回数を重ねてもそのテーマは変わらない。

MarketHongKongSquashOpen年はどの店に行こうか」妻のファイルには、エリア別、ジャンル別にレストランの長いリストが並ぶ。18年の間にはお気に入りの店も増えた。優先度を明確にしないと短期間の滞在では行ききれない状況になった。「龍景軒は外せないし、夜上海でも絶対に食べたいしなぁ」結局メインのランチに確実に行きたい2軒、新規開拓が1軒、夕食は当日の体調任せということになった。と言うのも、定宿となった湾仔のグランドハイアットのラウンジで過ごす時間も香港訪問の目的のひとつ。夕暮れ時のヴィクトリアハーバーを眺めながら、シャンパンを味わうという至福の時間。ビュフェのオードブルの美味しさに負けず、食べ過ぎなければ夕食をきちんと食べる。負けてしまったら麺粥店で軽く済ませる、というのが定番コース。

合は何試合か観られれば良いよね」この季節、日程が合えばスカッシュの「香港OPEN」を観戦できる。テニスで言えば4大大会クラスの世界的大会。へなちょこスカッシュプレーヤーの2人は、観戦が目的で香港に向かうことは少ないけれど、それでも香港OPENの試合観戦は4度目。世界トップクラスのプレーを間近に観るチャンス。2時間以上続いた熱戦もあり、終了予定時間を大幅に超える。観戦は満腹、そして食は空腹ということで、いくつかの試合を観ずに会場を出る。「やっぱり香港は、食べなきゃね♬」小食ながらも貪欲な妻の目が輝いた。

幸せのSomething Red「広東料理Foo」

SomethingRedMenuレスコードがあるんですよ♬」幹事のマコちゃんから連絡があった。行きつけの広東料理店のシェフ、慎ちゃんの結婚をお祝いするサプライズパーティ。常連客を中心として貸切の予約を入れ、店の2周年のお祝いを兼ねた忘年会を装い、最後に慎ちゃんのパートナーをこっそりお呼びして、お祝いをしようという企画。何と言っても、自分のお祝いなのに慎ちゃんは自分で料理を作るのだから、最後までバレてはいけない(笑)。ドレスコードは、Something Red。参加者全員が、お店のシンボルカラーである「赤い」モノを、何かひとつは身につけてお店に登場するという主旨だという。

ZensaiCarpaccioかぁ…。何にしようかな♬」赤いジャケット、赤いコート、アクセサリー。選択肢の幅が広い妻は嬉しそうに迷っている。私は何を身につけようか。「あなたは飲んだらすぐ赤くなるから良いんじゃない」という妻に、マコちゃんも「あ、IGAさんはそれで良いです」と返す。ふんっ!当日、赤いジャケットの妻を伴い、赤いストライプのシャツに赤いネクタイで店に向かった。席に着くとすぐにお誘いした友人夫妻が登場。赤いポロシャツ、赤いシャツと完璧なコーディネイト。彼らをこの店に紹介したところ、気に入って何回か訪問してくれた香港好きのカップルだ。

ChickenFriedRiceFooの2周年おめでとうございます!」とダミーの乾杯でパーティがスタート。スパークリングワイン、ビール、紹興酒などが飲み放題、コースメニューにデザート付きで7,000円という破格の会費。自分たちで選ぶと偏ってしまう傾向にあるが、選んでもらう料理をいただくのは新鮮な美味しさ。特に豪華な前菜の数々は涙もの。美味しい料理につい酒が進む上に、幹事チームがニコニコしながら席を廻って飲物を薦めてくれる。「このカルパッチョはメニューにないんですが、○○さん(常連客)が釣って来てくれた鯛です」というねもきちくんの紹介に全員拍手。実に温かく楽しいパーティだ。

HappyWeddingOperaイコ蟹のチャーハンという絶品シメ飯が登場。蟹の内子の濃厚な味、ズワイ蟹の身の上品な味などが渾然一体となり、それらの美味を纏ったお米のぱらぱら具合が堪らない。そしてシェフの慎ちゃんも一息付いた。そのタイミングでねもきちくんが当日の真の主旨をばらす。そこに新婦、幹事のマコちゃんが作ったウェディングケーキのオペラが登場。会場に拍手と笑顔が溢れる。慎ちゃんは少し照れながらも、今まで見たことのない満面の笑み。シェフコートの上に赤いエプロンを付けた慎ちゃん、赤いセーターの奥さまが寄り添う。実に幸福な画だ。幸福そうなカップルだ。

味しかったぁ♬しあわせ、しあわせ♡」友人(妻)も満面の笑みとなる。彼女たちとは一昨年、同じ時期に香港に行く機会があり、何度かの食事をご一緒した。わざわざ香港に行かなくても、この店に来れば香港が味わえる。また世田谷の香港にご一緒しようね、と問うと「うん、来たい来たい!」と返ってくる。今日はありがとうございました!と主賓のお二人や幹事チームに見送られる。赤いジャケットやセーターが集まり、笑みとともに別れて行く。良い時間を過ごすことができた。幸せのSomething Redが、その日参加した全ての人に広がった。

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SINCE 1.May 2005