前へ進めっ♬「石巻・仙台紀行」

SpecialTrainIshinomakiStationの列車に出逢えたのは偶然だった。仙台駅に到着してすぐにバスに乗換え石巻へ。JR仙石線の石巻駅前に到着したのは、予定時間に遅れること20分。1時になろうかという時間。駅前ロータリーに降り立ち、ふと駅舎を見れば、石ノ森章太郎の作品のキャラクターが溢れていた。なんだ?入口には『サイボーグ009』の唯一の女性キャラ003(フランソワーズ)の像が建ち、屋根には002(ジェット)が飛び、駅舎の入口のステンドグラスにはサイボーグたちが勢揃い。その時、石ノ森マンガのキャラクターたちで溢れた電車がやって来た。な、なんだ!?後で確認すると、毎週土日に1日2本だけ運行されている「マンガッタンライナー」という列車だという。なんという幸運♬

LunchInformation巻の街を歩けば、ロボコンがいる。サイボーグたちがいる。仮面ライダーがいる。メインの通りはマンガロードと呼ばれている。故石ノ森章太郎は宮城県登米郡石森町(現、登米市)の出身。2001年に縁があった石巻市に「石ノ森萬画館」が建てられ、町おこしに活用された。そして10年後に被災。ボランティアたちにも助けられ、2012年11月に復活したという。駅からそこまで歩いてきた周辺全てが津波に襲われた石巻。復活した石ノ森萬画館も旧北上川の水位から驚く程近い場所に建っている。川を遡行する波を想像し背筋に冷たいものが流れる。「プロショップまるか」という鮮魚店でランチ。この店のオーナーが被災して店を失くした店主たちにスペースを貸し、共同で運営している店。「人って強いなぁ」美味しいサンマを食べながら妻が呟く。同意。

LabyrinthSukezo台に戻り、ホテルにチェックイン。そして、震災後に単身仙台にやって来たスカッシュ仲間と待ち合わせ。指定された場所はおよそ観光客が立ち寄りそうもない、ビルの1階にある居酒屋密集地帯。ラビリンスのような通路を歩いていると、迎えに来てくれたスカッシュ仲間と遭遇。分かりにく場所だからと聞いてはいたが、確かにその通りの迷宮のどん詰まり。細やかな気遣いに感謝。いつもは口数の少ないスカッシュ仲間。早い時期から私のブログを読んでもらっており、ネットでは繋がっていたものの、リアルでは大勢で1〜2度飲んだことがあるだけ。ネットでは饒舌な彼なのに、リアルでは長い会話をした記憶もない。そんな彼がFacebookで仙台に移り住んで仕事を始めた様子を知り、会ってみたいと思い連絡を取った。

GyuTanSanmaしいですよ」東京にいた頃よりもネットワークが広がって、楽しそうだねと尋ねると即答。「皆にそう言われてるよね」誘って連れてきてくれた彼の友人(女性)も激しく頷く。仙台出身の彼女。東京で働いていたところにお誘いを受けて、故郷に戻って働くことになったという。2人が働いているのは「いざなみ」というベンチャー企業。「食と農業による東北支援」を標榜し、IT技術を活かした農作物の新品種を育成、販売する会社。勤務していた大手IT系企業を辞め、2012年に創業した経営者との縁で仙台にやって(戻って)来た2人。仙台での新たな人との繋がりを楽しみ、仕事も充実している様子が伝わってくる。良いことばかりではなかった東京、さらば!の心情も今は笑って語れるようだ。初対面(に近い)の飲みの場で、なんだかずっと親しい友人だった気持になる。楽しい宴だ。嬉しい縁だ。

て良かったなぁ♬会えて良かったね♡」帰路、妻のひとことが嬉しい。これで仙台にも飲み友だちができた。嬉しい限り。そうなのだ。年齢を重ねるに連れ、チャンスがあれば人に会おうと意識してきた。古い友人にも、新たな友人にも。間口を閉じず、開こうと思ってきた。会いたいと思う気持と会えるタイミングを大切にしながら。そして、自分たちなりに、ポジティブに、少しずつでも前に進むことを意識しながら。そうだ。みんな、さぁ、前へ〜っ、進めっ!

待望の鮎尽くし「用賀 本城」

IchiyaBoshiMatsuTake特の香りを持つことから「香魚」とも呼ばれる鮎は、初夏から夏が旬。秋にも落ち鮎、子持ち鮎が楽しめる。けれど、清涼感がある季節の食材として、やはり鮎料理を楽しむには夏が良い。お気楽夫婦は大の鮎好き。初夏の稚鮎の天ぷらに始まり、年に何度も鮎を味わう。特に今年は行きつけのビストロ「トロワキャール」で鮎のコンフィをいただいたり、いくつかの店で鮎の一夜干しを食べ比べたり、鮎を堪能した年だった。そんな2人は、いつか新橋の「鮎正」で鮎尽くしの料理を食べることが夢だった。

AraiCaviar夏の頃、「用賀 本城」を訪ねた2人に幸運が舞い込んだ。店主の本城さんと鮎の話題になり、「鮎尽くし料理ならウチでやりましょか」という願ってもない展開になったのだ。小躍りした2人。さっそく晩夏にいつもの席を予約。先付けは雲丹、生湯葉、茄子を使った小鉢。もちろん美味しいが今日の主役は鮎。続いて登場したのは一夜干しの鮎とウルカ。待ってました!の美味しさ。この一皿だけで何杯も酒が飲める。ちびちびと大切に味わう。逸る気持を抑えつつ松茸を味わうが、次の鮎料理に気持が移る。

ShioYakiTempura城さんが跳ねる活き鮎を掴み損ねる演出?を経て、鮎の背越しと刺身の登場。骨ごと味わう背越し、そぎ切りの刺身とどちらもぷりぷりと文句なく美味しい。次はお約束の塩焼き。小振りの鮎を頭から丸かじりで頬張る。絶妙な塩加減の鮎の香りが鼻孔をくすぐる。肚の苦みと繊細な身、香ばしい皮のバランスを堪能。あぁ、日本の夏だなぁと震える美味しさ。そして天ぷら。刺身で使わなかった頭や尾までカリッと揚げて盛付けられている。王道の塩焼きと甲乙つけがたい鮎料理の定番。淡白な鮎の味に奥行きを付ける味。

UmeNiAyuMeshi都出てから初めて作りましたわぁ」本城さんが笑顔で鮎尽くし料理の裏話を披露してくれる。そしてこれでもか!と鮎の煮浸し。仄かに梅の香りが漂う、これまた絶品の一皿。ほろほろと口の中で蕩けるダシの染み込んだ鮎、旨いに決まってる。そしてシメは鮎メシ。土鍋で炊いた上品な味付けのご飯の中に、焼き鮎の味と香りが絶妙なハーモニー。ほとんど満腹のはずなのに、ついお代わりを差し出す始末。京漬物をかじりながら、その日の鮎料理たちの味を噛みしめ、反芻する。実に幸福な時間だった。

の日の心残りは1点だけ。急遽決めた日程だったため、スケジュールが合わず仲間たちと一緒に伺うことができなかったこと。ダメ元で声を掛けた友人たちはいずれも「えぇ〜!鮎ぅ〜食べたい♡」「えっ!行きたい!」と、皆身悶える。予想以上の反応。オトナの舌には鮎が合うらしい。鮎好きとしては嬉しい誤算。来年の鮎の季節に、ぜひご一緒に♬

■「食いしん坊夫婦の御用達」 *「用賀 本城」詳細データ、過去の訪問記

魅惑の三角地帯へ♬「アバスク」

TodaKeikoAbasque谷2丁目に、ずいぶん前から気になっている店があった。六本木通りと青山通りに挟まれた渋谷2丁目の東側の三角地帯。ここ数年、人気の飲食店が増えた話題のエリア。そのエリアにある会社に1年だけ籍を置いていた。六本木通りと八幡通りの交差点にある半地下の店、「アバスク」。店名通りのバスク料理の店。2007年の開店直後、その店の佇まいと店頭に貼り出されたメニューに、気持が引っかかっていた。その後、仕事の本拠地を自由が丘に移したため渋谷2丁目とは縁遠くなり、未訪問のままに時間が経った。

AnchoïadeSaladeんなある日、青山円形劇場で芝居を観終わった後、アバスクに行ってみようと閃いた。青山通りを渡り、八幡通りを六本木通りに向かってのんびり歩く。馴染みの店が変わっていたり、元気に頑張っていたり。沖縄チャイナの店「TAMA」、シチリア料理の「ドンチッチョ」など、また行かねば!の店が並ぶ。左手に「渋谷区渋谷四丁目五番五号」という「渋谷エコセンター」の巨大看板が見えたらゴール。通りを挟んで向かい側の松下ビルの1階。見た目はレストランというよりはお気軽なカフェの風情。

AgneauTripeアを開けると小ぢんまりとした店内はほぼ満席。カウンタなら空いているとの案内に了解。メニューを眺めていると、ソムリエバッジを付けたサービススタッフが丁寧に説明してくれる。押し付けがましくない柔らかなトーンで、プリフィクスのメニューがお得だとのこと。なるほど。アラカルトの組合せよりも確かにお得。それも1.5人前ぐらいだから2人でシェアし、足りなかったら追加という作戦を勧められる。なるほど×2。小食の2人にはぴったり。すると窓際の席が空いたからと案内される。好感度アップ。

VinBlancSorbetスクは独立運動で長らく紛争が続いた、フランスとスペインの国境付近の地域。フランスにもスペインにも属さぬ独立した国家を求めるバスク。けれどもバスク料理は両国の良いとこ取り。有機野菜のアンショイヤード(アンチョビソース)、バスク風トリップのトマト煮、子羊のグリエなどをチョイス。やや不満は残るものの、概ね満足の味。アバスクサラダに添えられた砂肝のコンフィは絶品。ワインの品揃えも、小さな店の割には充実。バスク地方のワインも揃えられている。料理やワインのお値段も手頃。

の店はなかなか良いんじゃない?ランチも再開するみたいだから来てみようかなぁ」iPhoneで検索しながら妻が(ちょっと上から目線で)呟く。何しろ彼女の働くオフィスは目の前。調べてみるとミシュランの星を2010年から3年連続で獲得。その時のシェフは独立し、若いシェフに代わって1年ほどになるとのこと。オーナーは接客を担当してくれた方らしい。おしっ、バスク料理の何たるかを知るためにも再訪してみよう。それにしても、美味しい店が増えたと噂の渋谷2丁目。まだまだこんな店がありそうだ。魅惑の三角地帯の探検だ!

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SINCE 1.May 2005