禁酒法の時代に「In Room Dining」

InRoomDining11920年から1933年にかけて、アメリカ合衆国において「禁酒法」が施行された。酒の製造と販売が違法となったが、スピークイージーと呼ばれた違法な酒場が乱立し、かのアル・カポネなどギャングたちの大きな収入源となった。そう言えば、当時14歳だったジョディ・フォスターをはじめ子役だけが出演する1977年公開のミュージカル映画『ダウンタウン物語』も、禁酒法時代のスピークイージーが舞台だった。*大好きな作品で、入替制ではなかった当時の劇場で2回連続で観た記憶がある。その劇中歌に「スピークイージー」という歌詞があり、ふと思い出した♬ そして急激に観たくなり、AmazonでDVDを購入してしまった(笑)。現在到着待ち!〜と書いたところで到着。さっそく今晩にでも観ねば。

InRoomDining22021年の日本における禁酒法(笑)は、それに比べれば圧倒的に緩い。但し、酒が出せない「居酒屋」、ワインを飲めない「ワインバー」はあり得ない。飲食店にとっては死活問題だ。お気楽夫婦が勝手に応援して宿泊を続けているホテル業界も同様。しかし、この現状をネガティブに捉えているだけではなく、あるホテルは素敵な企画を始めた。クラブラウンジで夕刻から始まるカクテルタイムを楽しみに訪れる宿泊客のために。

InRoomDining3つもはラウンジで供する料理を個包装にして、客室で食べられるようにセッティング。酒なしでも良ければラウンジで食すのも可。部屋には赤ワインを1本用意し、缶ビールなどもラウンジから持ち帰ることができる。これは嬉しい。とは言え、客室の広さが37㎡からというホテルだからこそできる技。その客室の広さを活かし、翌日のランチも中華街の名店「重慶飯店」で絶品の焼物をテイクアウト。*越境がバレる(汗)

InRoomDining4たある日は、横浜で開催された(またもや越境。すっかり開き直ってしまった)PSA(スカッシュの国際大会)観戦の帰りに、やはり横浜のホテルで客室宴会。お気楽夫婦が大好きな新幹線宴会と同様に、牛すき焼き弁当、おつまみのローストビーフ、やっぱり横浜なら崎陽軒のシウマイなどを客室のテーブルに並べ、ビールをグビリ。ラウンジやレストランで飲めないのなら、自室や自宅で飲もう!というのが呑んべいの証だ。

InRoomDining6ンチにサンドウィッチ、という場合も前夜に飲み残した白ワインで乾杯。コンビニの前や公園などに屯し、大勢で立ち飲みをするワカモノたちは論外だが、食事の際に酒が飲みたいという気持は良く分かる。美味しい料理には旨い酒、美味しい酒には絶品のつまみ、単独でも成立はするけれど不可分な関係だ。それでもこのご時世、こっそり多摩川は渡っても、外食しにくく、酒は飲めない。だったらやはりIn Room Diningだ。

InRoomDining7前ならホテルの客室に持ち込んで飲んだり食べたりするのは一抹の後ろめたさがあったが、今ならOK。ホテルも推奨?だ。だいたい外食をしても、ブログで感染防止万全な店でとか、爽やかなテラス席でとか、予防線を張る自分がとても悲しい。お気楽なブログも書きにくいったらありゃしないっ!←本音。近頃ブログの更新頻度が落ちている一番の理由だ。これは禁酒法ではなく、自粛警察の摘発を怖れる禁楽法ではないか。

InRoomDining8外は行けないけど、これはこれで楽しいね」海外旅行に行けない代わりに、国内のご近所ホテル宿泊の頻度が高まった分、ホテルジャンキーのお気楽妻はご満悦。思えば酒を飲まない妻は、本来なら禁酒法に苦しむことはなく、飲めない私を慮って外食が減っているだけ。「試合観戦でスカッシュを応援して、テイクアウトでお店も応援だね」まだまだ続く禁酒法の暗黒時代、せめてポジティブに、ご贔屓の応援を続けよう。

アートか、プロダクトか?エンタメだ!『佐藤可士和展』

Kashiwa13度目の緊急事態宣言が発令され、飲食店では酒が出せなくなり、舞台や美術館は休業を「要請」されるとの報せに慌てて都心に向かった。陽気の良いこの季節に、のんびりランチを楽しもうという作戦だ。しばらく外飲みができなくなる直前の、最後の昼餐に選んだのは東京ミッドタウンの「Le Pain Cotidiene」。20年ほど前に、初めてニースで利用して気に入り、パリや代官山(閉店)の店にも伺った馴染みの店。←何様?

Kashiwa2やかな風が吹くテラス席で選んだ料理は「ローストビーフサラダ」と「スモークサーモンとアボカドのタルティーヌ」もちろん白ワイン付き。ベルギー発祥のこの店は、タルティーヌ=ベルギー式のオープンサンドウィッチがウリで、そしてとても美味しい。ちょっと酸味のあるオーガニック小麦の全粒パンとスモークサーモンとアボカドとの相性が素晴らしい。キリッと冷えたワインとよく合う。幸福で平和な時間だ。

Kashiwa3してベルギーと言えばチョコレート。「ホットチョコレート」と「ミックスベリータルト」をデザートに。ボウルに入った熱々のミルクとチョコが別々に登場し、たらりとチョコを垂らしてかき混ぜるのが楽しい♫ サクッとしたタルトの歯応えと、甘さを抑えた生クリーム、ベリーの酸味が良いバランス。苦目のホットチョコと絶妙なハーモニー。ガラス天井の天蓋付きで半屋外のキャノピースクェアでの食事は実に快適だ。

Kashiwa4足の昼餉の後は、東京新美術館で開催されている『佐藤可士和展』へ。休日に六本木まで出掛けたもうひとつの目的だ。当初の会期は5月の連休明けまで。ところが急遽決まった宣言の影響で、翌日から休館。その日が最終日となった。混雑を予想して覚悟して行ったものの、入場時間や入場者数を規制し、会場内での混乱なし。これなら宣言期間中でも開催できるのではないかというオペレーション。主催者の努力の賜物だ。

Kashiwa5場内は通常の“美術”展とは大きく異なる趣き。一部を除いて静止画(動画はNG)の撮影可。若い客それも男性が多く、“作品”の前で記念写真を撮りあっている。佐藤可士和を一躍有名にした「SMAP」のプロモーション展示が目を惹く。ポスターやパッケージデザインが並ぶ会場は、美術館であり、記念館でもある。会場の「国立新美術館」ロゴも含め、有名企業や団体のVI作品が並ぶ壁の前には「これも?」と驚く人が集まる。

Kashiwa6こにあるのは“作品”ではあるが、アートではなく、デザインでありプロダクト。けれど、単なるデザインではなく、空間や時間を創造するプロダクトであることが分かる。私が最も好きな佐藤可士和作品が、立川にある「ふじようちえん」だ。幼稚園の園舎建て替えの際に、遊びを核にして「園舎自体を巨大な遊具にする」というコンセプトで建設されたドーナッツ型の園舎。ここに通いたかった!と大人にも思わせる空間だ。

Kashiwa7ルダリングの壁面のような一角は「7−11」のセブンプレミアム商品パッケージで埋め尽くされた展示室。ひとつ一つのパッケージは見過ごしてしまっても、こんな風にトータルデザインで攻め込まれては圧が強い。セブンカフェのベンディングマシーンのデザインでは「デザインの敗北」と物議を醸したが、やはり見やすく分かり易い。ジャケ(パッケージ)買いしたくなるデザインの(敗北ではなく)勝利だろう。

Kashiwa8の展示会の協賛・協力企業には、佐藤可士和が関わった企業が並ぶ。楽天、ユニクロ、TSUTAYA、セブンイレブンなど勝ち組企業のブランドロゴだけではなく、絶対的ブランドとして確立した今治タオル、店舗変革を象徴するくら寿司、釣りのイメージから脱却したDAIWAなど、そのジャンルも幅広い。これは佐藤可士和の活動の軌跡であり、各企業のVI展示会でもある。アートではないが、展示会はエンタテインメントだ。

Kashiwa9週月曜から日経夕刊の「こころの玉手箱」に佐藤可士和が登場している。従来の会期で開催されていたならとても良いプロモーションになったはずだ。この連載を読みつつ、作品の背景、彼の世界観、空間観を味わってみよう。今週金曜日まで、全5回。すると「あ、読んでないや。読んでおいて!」とお気楽妻。そう言えば、私がかつて在籍し彼女が今も在籍する会社「ぴあ」がこの展示会の共催。やっぱりこれはエンタメだ!

ハイアットはサブオフィス?「ステイケーションの日々」

staycation03staycation04末毎にハイアットホテルズに籠り、仕事をしつつ休日を過ごしているのには訳がある。客室が広く仕事がし易く、朝食が美味しく、ジムがあってリフレッシュでき、そして何より「ワールド オブ ハイアット 」というメンバーズシップのグレードを上げるという目的のためだった。

staycation01staycation02会すると「メンバー」となり、年間10泊で「ディスカバリスト」、30泊等で「エクスプローリスト」と会員資格が上がっていく。エクスプローリストになると、20%のボーナスポイント、客室のアップグレード、14時までのレイトチェックアウトなどの特典が受けられる。

staycation05staycation06気楽夫婦はエクスプローリストがせいぜいだった。というのも上には上があり、年間60泊で獲得できる「グローバリスト」というグレードが存在しているのだ。通常の生活でホテルに(それもハイアット ホテルズに)年間60泊もできるはずもなく、幻のようなグレードだった。

staycation07staycation08ローバリストになると、スイートルームへのアップグレード、16時までのレイトチェックアウト、クラブラウンジ利用などの特典が得られる。ハイアットファンのみならず、ホテルジャンキーの誰もが垂涎のグレードだ。お気楽夫婦もいつかはグローバリスト!と憧れていた。

staycation09staycation102021年、そんな夢が叶うチャンスが到来した。コロナ禍で苦しむホテル業界が、帝国ホテルのサブスク月額36万円に代表される新たな企画を次々と打ち出した。我がハイアットホテルズ も例外ではなく、メンバーシップの上位の資格獲得のハードルを大幅に下げた。むむむっ!

staycation11staycation12の内容は、会員資格のための宿泊数が1/2となり、2月末まで限定で宿泊数をダブルカウントするという大盤振る舞い。つまりグローバリストになるためには、15泊する「だけ」で良いということだ。好機到来!Go to Hyatt!早速お気楽夫婦は中期計画(得意ジャンル♬)を立てた。

staycation13staycation14期的なグローバリスト資格(単年度)獲得だけではなく、グローバリストになった後にさらにその資格を維持し、妻の引退後の(世界周遊!!)旅行の際にフルに資格を活用しようという作戦だ。中期目標があれば、モチベーションが上がり、短期目標をクリアすることは容易になる。

staycation15staycation16年早々に集中的な週末ホテル籠り生活がスタートし、2月末までお気楽夫婦の客室はサテライトオフィスと化した。そして見事に目標達成!晴れて(なんちゃって)グローバリストが誕生した。そして早々にパークハイアット にお礼参りの宿泊♬そこに2人を待っていたのは…。

い!これはすっごい!」と妻が珍しくテンション高めに歓喜。それもそのはず、スイートルームへのアップグレードは勿論の事、クラブオンザパーク(豪華なスパ付きスポーツクラブ)も無料で、滞在中は何度でも利用可能。さらにクラブラウンジのないパークハイアットは、代わりに「ニューヨークバー」でオードブル付きのフリーフロー♬16時まで滞在できるから0.5泊分くらい余計にホテルライフを堪能できる。そんな太っ腹なサービスが無償提供された。「またすぐに来なきゃだね!」滞在中のほとんどの時間をパソコンに向かっていても、妻の満足度はやたらと高かった。VIVA!!グローバリスト!え!? 次のパークハイアット は来月?

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