赤と緑で「Merry X’mas !」

tomatofritesリスマスと言えば、の組合せ。この季節、クリスマスリースやクリスマスツリーをはじめ、街にはが溢れる。ヒイラギやもみの木のように常緑樹の「」は永遠の命、永遠の愛を表し、荊の冠の象徴でもある(刺のある)ヒイラギの実の「」はキリストの流した血を表すのだという。クリスチャンでもないのに、世界でも最もクリスマス好きの民族である(私も含めた)日本人。そんな意味など気にしない。の組合せを見ると、単純に、そして急激にクリスマス気分が高まる。ココロオドル。クリスマスに合わせて栽培された花屋の店先のポインセチアも、映画化で再度本屋の店頭に並ぶ村上春樹の『ノルウェーの森』の装丁も、のクリスマスカラー。

ikuraVeuveClicquotる週末、ご近所の高級住宅街に住むスカッシュ仲間が開催した、ちょっと早めのクリスマスパーティ。リビングの大きなテーブルにはのクリスマス仕様の料理が並んだ。いトマトとモッツァレラチーズの上には鮮やかなバジル。かりっと揚がったフリッターの上にはパセリ。プチプチのイクラを巻き込んだ寿司と一緒にキューリ。どれも目にも舌にも美味しい逸品。がクリスマス気分と食欲を刺激する。そして、の泡のボトルVeuve Clicquotで、更にテンションが上がる。柔らかな泡が喉を優しく潤す。ん〜んまい。「IGA-IGA、まだたっぷりあるから飲んでね♬」スカッシュ仲間のご主人が鷹揚に言ってくれるのを良いことに、密かにゼータクな宣言をする。よし、今日はヴーヴだけ飲もう!

Nakagawaviolinそして、いつものように出張寿司屋が開店。仲間たちと一緒にカウンタに座り、ヴーヴを飲みつつ、一通りのネタを握っていただく。ん、んまい。寿司とシャンパン。幸せなマリアージュ。のボトルですっかりくなる。夜が更けると、いつものように階下からチェロの音。スカッシュ仲間のご主人が、娘のヴァイオリンと一緒に演奏しようと練習している様子。楽しみにしてるね♪勝手知ったる友人の家、階下の物置にヴーヴののボトルを取りに行きつつ、懸命に練習中のご主人にご挨拶。待つ事しばし、親娘の演奏を堪能。そしてその夜はスペシャルゲスト。娘が通う音大の同級生の男の子との演奏。同じチェロでも全く違った味わい。若々しく、力強く、伸びやかで繊細な音。ブラァヴォ!演奏に酔い、ヴーヴに酔う。

tomatostomato-artsが付けば、いつの間にか電車がなくなってしまう時間。遠方のゲストが1人帰り、2人帰り、残ったメンバーで飲み続ける。「今日は自転車ですからまだ行けます!」「私泊まっていっても良いですか♡」「まだダイジョーブ!私たちと一緒にタクシーで帰ろう!」そんな呑んべたちだけが残り、飲む黄色いラベル。すっかり酔いどれの集団。いつの間にか寝入った新婚(夫)の隣で初々しく奥さまが微笑む。デザートとして供されたのトマトで、新婚男の横顔をアートにする。「ふふふ♡写真撮っちゃってください」奥さまの同意を得て、記念に撮影。いトマトとのヘタで、メリークリスマス!

れにしても、たっぷり飲んでたようだけど、今日は調子良かったね?」帰宅するタクシーの中で妻が不思議そうに尋ねる。ふふふ、ヴーヴだけ飲んでいれば、良い酔い!というのを発見したのさ。「ふ〜ん、でもウチではそんなゼータクできないからね」とひと言。…妻はこうして私が密かに発案していた、名付けて「の泡計画」の実行を未然に防ぎ、私の作戦は水泡に帰したのだった。

さぬきうどん、骨付き鶏、自転車「高松名物」

Streetyoridorimidoriぬきうどん以外の香川名物に「骨付き鶏」という料理がある。さぬきうどん店を効率的に訪れるために買ったガイドブックにそんな記事があった。骨付き鶏、何とも無骨な名前ではある。掲載されている写真を見ても、さほど食欲はそそらない。けれど、“ビールが進むスパイシーな味付け”という紹介文が、ビール好きの私の琴線に触れた。そして、夜の高松市街を歩いて驚いた。総延長日本最長を誇る高松の商店街のアーケードの下には巨大な横断幕が下がり、鶏料理店はもちろん、居酒屋の看板にも「骨付き鶏」の看板が連なる。昼の商店街はうどん店の看板が目立つのに対し、夜の商店街は骨付き鶏の看板が圧倒する。これも街の特色を前面に出した戦略としてアリ。

KadogenHonetsukidori付き鶏の看板を見比べながら「寄鳥味鳥(よりどりみどり)」という場末のスナックのようなネーミングの鶏料理店に入る。階段を上り、やはりスナック然としたドアを開けた瞬間、これは失敗だと悟る。小上がりやテーブル席はスーツ姿の男たちで大賑わい。カウンタに僅かに席は空いているけれど、余所者である旅のオヤヂが独りで飲み食いする雰囲気はない。地元の人に愛され続ける店なのだろう。また来ます!と永遠の別れのことばを告げ、他の店を探す。すると、別の路地で発見したのは「かど弦」というちょっと落ちついた雰囲気の店。これだ。店探査本能が働き、迷わず入店。お座敷は賑わってはいるものの、店のスペースは余裕があり、4人掛けのテーブルに案内される。店内に流れているのはビートルズ。隣の席では四国転勤族の同僚同士か、高松と東京の比較談義が静かに交わされている。

RentalCycleHodonohyouji付き鶏は、親とヒナがありますけど」お店のお姉さんが優しく教えてくれる。親鶏の身はしっかりした歯応えでじわじわと旨味が溢れ、ヒナ鶏は身がほっこり柔らかく食べやすいのだそうだ。迷いつつヒナをお願いする。待つことしばし、登場した骨付き鶏はヒナという割には骨も身も充分な大きさ。骨を持ってかぶりつく。カリカリの皮、ジューシーな肉汁、柔らかな肉、スパイシーな味付け、その全てが一気に口の中に広がる。旨っ!確かにビールが進む。お代わりください!これは名物と呼ぶに相応しい。思わず食べ過ぎ、飲み過ぎ、うどんの入り込む余地がない。街に出て腹ごなし。すると、24時間100円という市営レンタサイクルを発見。身分証明書があれば旅行客でも気軽に借りられる。どこで借りた自転車でも、市内7ヶ所にあるサイクルポートに返却できる。また、高松の街を(酔っ払いながら)軽快に走っていると、自転車専用レーンが多いことに気付く。歩道も歩行者ゾーンと自転車ゾーンに分けられている。これもまたエコ通勤通学を促す明確な戦略。なかなかやるなぁ、高松市。

CycleRoadCycleCity日、朝食のうどん2杯を平らげた後、訪問先に向う。そして打合せの後、観光客向けに人気の「わら家」で、その日の3杯目、高松滞在中4杯目のうどんに挑む。移築した藁葺き屋根の民家で、観光客向けのこけおどし演出の「たらいうどん」などを出す店。独り大きな店の片隅で食す私は、オーソドックスにぶっかけうどんに半熟たまごをトッピング。とろりと流れ出した半熟の黄身をうどんに絡め啜る。ん、やはり旨い。観光客でいつも満席の、流れ作業接客の店と感じてしまったけど、味は合格。ところで、香川県の人口約100万人に対し、うどん店の数は600店以上。日本最高の密集度。逆に、ラーメン店が極端に少ない。他の地方では目に付くラーメンチェーン店の看板もほとんど見かけない。うどんと言えば讃岐、讃岐と言えばうどんという戦略的な広報によって、そして幼い頃からラーメンではなくうどん!と徹底的に味覚を教育された(嘘です)結果、このような独自のうどん王国が繁栄しているのだろう。

うして2日間かけ、セルフ、製麺所、一般店(深夜営業、観光客向け)うどん店の全カテゴリを制覇。いずれも、うどんマニアではない観光客(あれっ?ビジネス客である自覚がない)にとっては、それぞれの特色を出した充分満足の味。夜の名物「骨付き鶏」まで味わい尽くした満足の旅だった。

「…美味しそうな出張だね」と妻。うん、今度は一緒に行こうか(笑)

どんどんうどん「さぬきうどん」

Tsurumaru NikuBukkakeTsurumaruつの頃からだろうか。讃岐と言えばうどん、うどんと言えば讃岐と誰もが言うようになったのは。“あの”村上春樹が『辺境・近境』に収録されている「讃岐・超ディープうどん紀行」の取材で讃岐を訪れたのは1990年。その紀行文ではまだ、香川県限定うどん文化の国を異邦人(村上氏)が訪ねる、という趣がある。2泊3日の取材で、1年分のうどんを食べたみたいと言う村上春樹が、ちょっと羨ましかった私はうどん好き。調べてみると、1980年代の後半に地元情報誌『タウン情報かがわ」で連載された「ゲリラうどん通ごっこ」が評判を呼び、『恐るべきさぬきうどん』として単行本化されたのがブームの源らしい。その後は、地元で話題になっただけではなく、「セルフ店」など香川独特のうどん専門店までが全国的にも知られるようになり、人気店の周辺は“うどん詣”の車で大混雑!という現象が現れた。

MatsushitaBukkakeMatsushitaる日、姫路と高松へ1泊2日の出張の予定が入った。チャンス到来。初日に高松に入ってしまえば、何杯かうどんは食べられそうだ。訪問先とのスケジュールを考え、綿密な計画を立てる。さすがに郊外の店までは行けそうもない。ガイドブックを買込み、高松市内でターゲットを絞る。ちなみに、讃岐うどんの店のカテゴリは3つ。1つは全国チェーン「はなまるうどん」などでも有名になったセルフ店。うどん玉の数を指定し、自分で湯がき(湯がいてもらう場合もある)ダシを入れ、ネギなどのトッピングなども自由。店によって微妙に方式が違うため、観光客だと見ると店のスタッフが優しく教えてくれる。このタイプの店は、私も2009年に体験済み。もうひとつは製麺所。文字通り、製麺所のお隣で(作り立ての麺を!)食べさせてもらうスタイル。そして、食券を買ったり、テーブルにオーダーを取りにきてもらえる一般店だ。

UeharayaBukkakeUeharaya松駅前のホテルにチェックインし、すぐに街の中心部に向う。香川県のもうひとつの名物、骨付き鶏を味わった後にうどんを食べに行こう!という計画だ。骨付き鶏の予想以上の美味しさのために、軽めに食べた後にうどんという計画が早くも暗礁に乗りかけている。こんな時には腹ごなしの散歩に限る。すると、市営レンタサイクルの看板発見。これだっ。さっそく手続きを済ませ、翌朝から予定していたうどん店の下見を兼ねて夜の高松市街を徘徊する。そして、胃に僅かな隙間ができた頃、1軒目のうどん店「鶴丸」に向う。多くのうどん店の店じまいは早い。うどん玉がなくなり次第閉店という店も多い。そんな中、店のカテゴリとしては、深夜営業の一般店。讃岐うどん国の住人たちは、飲んだ後のシメにラーメンではなく、うどん。カレーうどんで有名だと言う鶴丸も、宴会帰りのスーツ姿で溢れていた。カウンタに座り、オーダーしたのは肉ぶっかけ。もちろん「小」でお願いしたのに、多くね?とワカモノ的に反応してしまいそうな量。食べられるかな?という一瞬の迷いも、ひとくち啜り、飲み込む程に消えていく。旨い。あっという間に完食。やるなぁ、さぬきうどん。そう呟きながら颯爽と自転車に乗りホテルに戻り、翌日に備えたかったのに、部屋飲み。あぁ(涙)。

WarayaBukkakeWaraya朝、7:30から開いていると言う「松下製麺所」に向う。住宅地にひっそりと佇む小さな店。地元のお馴染みさん、観光客で賑わっている。店に入るや素人だと見抜かれ「うどんは何玉にしますか?」と優しく声を掛けられる。180円。安っ!「2、3秒湯がいてね」丼に入ったうどんを自ら温め、ダシを入れ、たっぷりネギを振りかける。優しく温かい上品なダシ、柔らかめのうどんが朝一番の1杯としては申し分無く旨い。先客をチラ見すると、残ったスープをバケツに捨てて、割り箸はゴミ箱、丼は別のバケツに重ねて出て行った。なるほど。ごちそうさまぁ〜っ♡先客に倣って店を出る。よしっ!仕事を開始する前に、もう1杯。栗林公園近くのセルフ店「上原屋本店」に向う。こざっぱりとした店内に入ると、天ぷらが並ぶカウンタ、大きなダシが入ったタンクなどが並ぶ。かけ(小)と竹輪の天ぷらをオーダー。さっぱりとしたダシが旨い。完食。さすがに、お腹がきつい。

ょっと今日の記事は長いね」と妻。そう?うどんだからね。でも、余り長いと消化し切れないかもしれない。読んでいただいている方を気遣い、翌日に続く。

002318545

SINCE 1.May 2005