自宅で仕事をすることが多くなった。すると、自宅の貧弱な椅子が気になってきた。使っていたのは、近所の家具屋で購入したオフィスチェア。座っていると、あちこちのネジが緩んできた。その度に椅子をひっくり返してネジを締めた。リクライニングも一方的で、一応傾いてやるかんな!という優しさの欠片もないものだった。身体を包み込む包容力もなかった。数年前、スカッシュのレッスン中にふくらはぎを肉離れ、松葉杖生活となった。その際に、病院に行くまでの車椅子となり、自宅で移動する際の脚となった。そんな思い出の多い椅子ではあった。けれど、決して快適な椅子ではない。あぁ、こいつは腰に良くないな、というのは数時間座っていると実感した。
元々、腰は痛めていた。2003年の冬、NYCに飛び立つ前夜、ベッドの上で動けなくなった。妻は独りで旅立とうと覚悟したらしい。(決して行けないと覚悟しないのが妻らしいのだけれど)その際はコルセットを巻き、奇跡的に10時間以上のフライトに耐えた。けれど、いつ再発するか不安はあった。毎週通っている整体でも腰は重要なケアポイントだ。え?えぇ。長い長〜い言い訳です。はい。ゼータクだとは思います。ということで、新しい椅子を買ってしまった。okamuraの「Baron」というErgonomic Mesh Chair。Ergonomic:人間工学に基づいた、と言われた瞬間に文系の私はフラフラとなる。そのフォルムに、特にセクシィな後ろ姿にクラクラとしてしまう。
そして何より、座った際の包容力。包み込まれるような柔らかさ。その座り心地の良さは、微調整の可能なリクライニング機能だけではなく、細部まで機能性を追求した結果。そして、夏。メッシュの背もたれも、座面も、汗っかきの私のために作られたような素材。色のバリエーションも豊富。12色の中なら、選んだのはMedium Blue。爽やかできれいな色だ。背もたれも、ハイバック、ローバック、エクストラハイバックと3種類の高さからハイバックを選択。腰のためにランバーサポートを追加し、フローリングの床を傷つけないようにソフトキャスターも注文した。
ダメ押しは、シンプルでシャープなデザイン。私好みの清潔なセクシィさが溢れるフォルム。イタリアの巨匠、アルファロメオなどのデザインで知られるジウジアーロのデザイン。そして日本のオカムラが製造。なるほど。納得の逸品。これなら大人が納得して使うに相応しい。え?誰に向かって書いているのか?いくらかって?野暮ってもんですぜ、ダンナ。良いモノは良い。納得できるモノを手に入れるのが大人ってもんですぜ。なにも皮の椅子を買おうっていうんじゃない。まぁ、おいらにゃぁ(いつの間にかオイラ)暑苦しっくて座れやしませんがね。てな訳で、こんなに暑い日でも快適にデスクワークができるってもんでさぁ。
うん、もちろんカードで払ったから、請求が来るのは来月かな。まぁ、そこそこです。うん、はい。
御三家と言えば、尾張、紀州、水戸の徳川家。江戸幕府の徳川将軍家に次ぐ地位にあった徳川御三家のことを指す。その後、徳川御三家になぞらえて、特定の分野でも御三家と呼ぶようになった。例えば、芸能界の初代御三家は、橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦。彼らの絶頂期を知っているのは50代以上。新御三家は、野口五郎、西城秀樹、郷ひろみ。この辺だと40代以上が。ちなみに、同時期に花の中三トリオ(後に高一、高二トリオと進級に合わせて上がっていった)の、山口百恵、桜田淳子、森昌子がいる。平成生まれは知らないだろうなぁ。他にも、帝国ホテル、ホテルオークラ、ホテルニューオータニがホテルの御三家などと呼ばれたこともある。外資系ホテルの御三家はパークハイアット東京、ウェスティン東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京。新御三家は…この後も続けたいが先を急ぐ。
そして、昨年導入された家電エコポイント御三家は(誰もそう呼んでいないが)エアコン、薄型テレビ、そして冷蔵庫。お気楽夫婦はこの機に乗じて買い替え作戦を敢行した。2人は1995年に現在のマンションに入居。近年、その前後に購入した家電が次々に引退していった。2007年、初代洗濯機没(享年12歳)、2代目掃除機引退(8歳)、初代ウォシュレット没(享年12歳)。2009年、初代エアコン没(享年13歳)、初代ブラウン管テレビ引退(12歳)。そして2010年、最後に残された冷蔵庫が逝った。享年16歳。天寿を全うしたと言っても良い。何しろ、お気楽夫婦にとっては、冷蔵庫はビールとチョコレートを冷やすだけの機械。ある意味大事に使っていたとも言える。無理はさせていなかった。庫内はいつもすっきりしていた。けれど、高齢は隠せず、深夜のキッチンで独り声高に唸っていた。エコポイント実施期間内には…、それがお気楽夫婦の間で交わされた了解だった。
そしてついに、梅雨時のある週末、新任の冷蔵庫がやってきた。お気楽夫婦の選択は明確。条件は、サイズ限定:幅62cm、高さ190cm以内。野菜室が一番下、冷蔵室はフレンチドア。以上。となると機種は2種類に絞られた。価格と色、使いやすさで比較した結果「Panasonic NR−F434T−N」に決定。事前の調査を怠らず、現場でブツを確認するだけ。お気楽夫婦の買物は速い。ちなみに、クレジットカードで支払ってもたっぷりポイントが付き、ポイントはシェーバーとドライヤーに変わった。その上、家電エコポイントも付いてしまう。にわかにポイント成金の気分。何を買おうか。購買意欲が急上昇。お気楽夫婦は単純で分かりやすい消費者でもある。
ところで新人くんは、なかなか優秀。前代と比べて外寸は余り変わらないのに、容量は5割増に。きれいな氷を作ってくれるし、あつあつの食品を冷やしたり、急速冷凍もできる。エコナビも付いたエコ家電の真打ちとも言える。16年前に誕生した先代に比べると異次元の能力。家電は進化する。ビールもチョコレートもたっぷり入る。庫内に入っていた食品類を移し替えると、以前に増してすっきりというより、スカスカ。野菜室には一片の野菜もない。入っているのはワインと梅酒、ミネラルウォーターだけ。「よしっ!野菜買うよ!」妻が妙に張り切っている。そう言えば、チョコレートやアイス類の買い置きも増えた。野菜を買ってもいつ料理を作るのか、という疑問は横に置き、嬉しそうな妻を静観する日々。「あなたも前よりビールが良く冷えるって、嬉しそうに飲んでるじゃない」あれ?そうでしたか。
お気楽夫婦にとって、ビールとチョコを冷やす機械としての用途は余り変わらず、すっきり庫内は以前と同様にエコ。高機能の冷蔵庫はオーバースペック。その機能はしばらく封印。それでも満足な2人だった。