恒例となった「用賀 本城」の鮎尽くしの会も今年で7回目。但し、今年は暦の関係で活け鮎が入荷できなかったとのことで、秋の味覚のひとつとして鮎が登場することになった。桶の中の活け鮎と一緒に踊る、本城さんの“鮎ダンス”が観られないのは残念。とは言え、鮎をはじめとした秋の味を堪能できるのも、それはそれで嬉しいことだ。まずは、虫かごの八寸に入れられた秋の味。目にも舌にも美味しく、美しい。
続いて晩菊や栗の入ったお椀、そしてお造り。天使の海老、カワハギ肝添え、中トロなどが神々しいまでの輝きで供される。ここ数年、食べものの嗜好は、美味しいものを少しづつ、いろいろな料理を味わいたい、という方向に急激にシフトしている。大盛りという単語はお気楽夫婦の辞書には存在せず、ましてや食べ放題などは論外。食べることは楽しみであり、満腹は目的ではなく結果。…けれども本当は巨大な胃袋が欲しい。
鮎の一夜干し、鮎のなれ鮨、ウルカなどで日本酒をグビリ。松茸の土瓶蒸しでニヤリ。そして、鮎の塩焼き、この辺りで満腹中枢が刺激され、SOSの信号が発せられる。残念だ。酒も抑え気味にしていたのに。最後の力を振り絞り、イクラを肴に日本酒をグビッと…、これは仕方がない。お酒あっての肴だ。「お食事はどうしますか」むむっ、楽しみにしている鮎ご飯…は持ち帰ることにして、酒を優先だ。ぐびり。ん、幸福だ。
「美味しかったぁ♬ごちそうさまでしたぁ。今年も伺えて良かったです」という友人たちの声に「おおきにぃ。ありがとうございました」と本城さんが応える。本城さんご自身も鮎の会は楽しみにしていただいている模様。今年のメンバーは4人。カウンタ席でご一緒するにはぴったりの人数。やはりこの店の料理は本城さんとの会話を楽しみながら味わうのが一番。こうしてまた来年も、夏を惜しみながら鮎を味わうのだろう。
「そろそろ遠藤にも行かなきゃね」と妻。ん、行かねばねと応じる。しばらくご無沙汰で気にはなっていた。ここで彼女が言う遠藤は、プロスカッシュプレーヤーでもあるYou Tuber遠藤くんではなく、神泉にあるワインバー「遠藤利三郎商店」だ。そこに「え!ちいママ辞めちゃうみたいよ」と言う情報。3代目担当ソムリエ、ミホちゃんが9月末で退社。最後に彼女が選ぶグラスワインを飲みに行かねばだ。さぁ電話を!
「IGAさん、こんばんは。お電話ありがとうございます」予約の電話を掛けると、私の携帯の番号が登録してあるようで、名前を呼んでくれる。ちょっと嬉しいおもてなし。週末の予約完了。嬉しいことにカウンタ席も空いていた。「IGAさん、こんばんは。ありがとうございます」お気楽夫婦がちぃママと呼んでいるミホちゃんに迎えられ、カウンタ越しに退社後を尋ねると、何と某ホテルへの転職だと言う。それはおめでとう♬
某ホテルは、お気楽夫婦が最もお気に入りのホテル。私の還暦と2人の25周年をお祝いしたホテルでもある。「え〜、じゃあ是非伺うよ!」と妻のテンションも上がる。選んでもらったワインは、シャンパン、白、料理に合わせてもらった赤と、それぞれ好みの味で、絶妙なマリアージュも生まれた。店長でチーフソムリエの斎藤さんに、残念だねと声を掛けると意外と「卒業ですから、ぜひ店に行ってあげてください」との反応。
開店からの初代ソムリエのミカちゃんはイタリアへ、2代目ユカちゃんはご出産、そして3代目のミホちゃんは希望していたホテルのソムリエに。店を離れる理由はそれぞれだけれど、辞めてからも仲の良い仲間たちだ。この店の居心地の良さは、そこにある。ソムリエとしては3人とも頼れるプロであり、皆柔らかな接客でこの空間を作った。だから、またこの店を訪ねよう。4代目と斎藤さんに会いに、そしてミホちゃんの店も。
お気楽夫婦の今年の秋はこうして始まった。幸福のカウンタ席の鮎尽くしで夏に別れを告げ、居心地の良いカウンタ席で別れと新たな出会いがあった。次はどの店で秋の味覚に出会おうか。「鮨と中華に行かなきゃね」妻の秋は豊作のようだ。
世田谷の外れにその店はある。看板はなく、営業も不定期。会員制ではないけれど、シェフまたはスーシェフの友人限定。料理はシェフとスーシェフに全てお任せ。もちろん料金は頂かない。但し、自分の飲みたい酒を飲みたいだけ持参するのがルール。2014年の全面改装の前にも営業はしていたが、本格的な営業開始はリノベーションで使いやすい対面キッチンになってから。そんな「ビストロ808」の開店も33回目を迎えた。
5年で33回ということは、2ヶ月に1度の開店。延べ142名のお客様にご来店いただいた。1回当たり平均4.3人。店の大きさから妥当な人数か。5年の間に料理のレパートリーも増えた。作った料理の数は、296品。1回当たり平均8.9品の料理をお出ししたことになる。我ながら凄いなと思いながら、これらの何倍もの種類の料理を何倍もの量を作り、毎日営業する(それも昼も夜も)飲食店を経営する皆さまには尊敬の念しかない。
前回32回目のメンバーは常連の皆さま。ただし、普段はそれぞれホームコートが違うスカッシュ仲間たち。一緒にスカッシュをした後にご来店。お気楽夫婦にとってはどちらも親しく楽しい仲間たちだが、2つのクラブの仲間が合流するのは新鮮でさらに楽しい。スカッシュというスポーツを通じ、酔っ払い仲間が増えて繋がるのは嬉しい限りだ。常連さまたちからのリクエストされた料理は、定番メニュー。これも嬉しいことだ。
好評の定番料理、「パテドカンパーニュ」と「キャロットラペ」は師匠である「ビストロトロワキャール」木下シェフからの直伝。もうすっかり自分のレシピが頭に入っており、サクッと作ることができる程。ほぼ毎回お出ししている看板料理だ。そこに夏の定番になりつつある「トウモロコシのムース」や、旬を迎えてお手頃価格になったシャインマスカットを使ったサラダなどが加わる。季節感を大切にしたメニュー作り。
スカッシュが大好きで、お酒を愛し、美味しいものが大好きな奥様たち。あっという間に何本かのビールに加え、1人1本以上のワインを軽々と飲み干し、気持ち良く全ての料理を召し上がっていただいた。スカッシュで汗をかいた後のビールは格別で、楽しい仲間たちとワイワイと食す料理は旨い。それらが何よりのソースであり、シェフとスーシェフの料理の腕前は、そのソースに頼ってもいる。ちょっとした謙遜だけど、事実。
33回目の開店にご来店いただいたのは、若いラブラブカップル。彼女は2回目のご来店、彼は初来店。沖縄で一緒に旅をした彼らと、互いの夏のヴァカンスの写真を見せ合おうという趣向。彼らが訪れた香港の様子を聞き、録画した地元の報道の映像を見せてもらうと緊迫の度合いが分かる。日本での報道以上に黒服のワカモノたちと香港警察が激しくぶつかり合う様子は想像以上に激しい。香港を避け台北を訪れたのは是か非か。
彼の祖母は香港に住み、家族はカナダ在住。香港LOVEのお気楽夫婦と香港の行く末を案じるのもそこそこに、さて料理だ。「わぁっ!プロの料理みたい」彼の感想は嬉しいが、さて味の方はいかが。「おぉ、美味しいです。これは何ですか」サバのリエットが口にあった模様。それは良かった♬続いて新作料理「鮎のコンフィ」は、カナダ育ちの彼にはどうだろう。「うん、美味しい。骨も食べられる」ん、定番料理に決定。
「うわぁ〜っ、ホントに凄い!」スーシェフ定番、自慢の料理「ローストビーフ」に歓声をあげる若い2人。やはり若い子には肉だね。ましてやカナダ人には。「写真撮ってインスタにあげて良いですか」もちろんOK。後日、「Wonderful dinner prepared by my talented friends」というコメントと共に写真が彼女のインスタに載せられた。てへっ、照れるじゃないか。そんな若き友人たちとの食事はいつもココロオドル。
「ビストロ808」は、ウェイティングリストに載っている友人たちに(初めて)ご来店いただける日を楽しみにしながら、こんな風にひっそりと愉しく不定期営業中。H田M子ちゃん、博多の地から飛んでいらっしゃることを、心よりお待ちしています。ご予約はお早めにどうぞ♬
「四年に一度じゃない、一生に一度だ!」ある週末、そんなキャッチ・コピーに乗せられて、ラグビーワールドカップのチケットを手に、東京スタジアムに出かけたお気楽夫婦。日本チームが出場する開幕戦は入手できず、少し高めのカテゴリーで何とか入手できたのが「フランスvsアルゼンチン」戦だった。何しろ「東京スタジアム」は、お気楽夫婦の住む街からは電車で1本、わずか10分余りの場所。これは行かねばの会場だ。
最寄りの駅からさっそく“桜のジャージ”を見かけ、次第にサッカーでもお馴染みの白とスカイブルーの横縞のユニや、ブルーのラグジャーが増えて来る。そして、会場のある飛田給の駅では「ようこそ東京スタジアムへ!」の大きなバナーに迎えられ、駅構内にはナポレオンのトリオやら、相撲レスラーの着ぐるみやら、Le Coqやら、観客の仮装オンパレード。感情体温の低いお気楽妻でさえ、一気にテンション上がってしまう。
駅前広場に出ると大勢のボランティアが観客の誘導や写真撮影のサポートをしており、中にはインスタ用のフレーム付きで撮影してくれるサービスも。これは嬉しい。さっそく列に並び、ついでに直前に撮影していたフランス人グループに声を掛けて、一緒に記念撮影。会場までの道はすでに観客で溢れ、「ラ・マルセイエーズ(フランス国歌)」を大声で歌うフランス人大集団がいたり、会場の周辺はワールドカップ一色。
会場の東京スタジアムに、キックオフの1時間ほど前に到着。ゲートまでの道のりは長かったものの、セキュリティチェックも含め入場はスムースだった。ボランティアスタッフが座席を案内してくれたり、「ワールドカップを楽しんで行ってください」と声をかけてくれたり、フレンドリーで物腰が柔らかい。言わされている感がなく、ホスピタリティに溢れ、とても自然な感じ。良いぞ!調布市民!(とは限らないけど)。
ところが、物販系のオペレーションが困った状況に。オリジナルグッズや食事のブースが圧倒的に少なく、どこも長蛇の列。何だかホスト国側の一市民として、情けないというか、申し訳ない気分でいっぱいになってしまう。飲食の持ち込み禁止を徹底させているのなら、スムースに食事を提供すべき。…と思ったらやはり不評だったらしく、自分の食べる程度の食事の持込は(9月23日より)OKとなったらしい。やれやれ。
ドリンクコーナーの行列は比較的短く、お気楽妻がソフトドリンクを買うために並ぶ。すると、列の前に長身のフランス人美男美女カップル。小柄な妻も自覚したらしいが、女性の脚の長さは妻の胸の辺り?までありそうで、とても同じ動物とは思えない。その違いを撮影しようとスマホを構えると、その意図が妻に伝わり、彼らの背後で視線をレンズに向けてくれた。狙い通りの(ホントは彼女を撮りたかったのだが)写真が撮れた。
そして、いよいよキックオフ。後ろの席に座った5人のフランス人と一緒に「ラ・マルセイエーズ」を歌う。アテネ・フランセ高等科終了、大学受験はフランス語の発音は錆びていない♬ところが、その5人の声が大きい。フランスチームがチャンスの時も、ピンチの時も、「Allez Les Bleus !(行け!フランス・チーム!)」と叫びまくる。「彼らは何て言ってんの?」という質問に答え、ラグビーのルールの解説をしながらの観戦。
試合の行方はと言えば、前半リードのフランスをアルゼンチンが逆転、そしてフランスが再逆転と、ラグビー初観戦(!!)の妻にとっても分かりやすい好ゲーム。終盤のドロップゴールを決めたフランスチームの勝利を祝って飛び上がる(後ろの席の)フランス人とハイタッチ♬実に良い試合だった。「ラグビー、楽しいね♬他の試合も観に行く?」と宣う妻。残念ながらチケットは取れないけれど、ファンゾーンにでも行ってみようか。
「行きたい!行く!」妻の嗜好は分かりやすい。新日鉄釜石が強かった頃のOLDラグビーファンとしては、新たなファンが増えるのは嬉しい。それにしても、日本代表が初戦のロシア戦に勝利したこともあり、ラグビーワールドカップの盛り上がり方は良い感じ。海外からの観客と日本観客やボランティアとの交流も、思ったよりもフランクにできている。来年の東京オリンピックも楽しみだ。