今年も香港スカッシュOPENに行くぞぉ!と仲間と一緒に宣言をして約半年。事前に丸の内で香港を学び、三茶で香港を味わい、予習もばっちり。万全の態勢で香港に飛んだ。去年一緒に行って“ハマった”友人と、香港は20年ぶりぐらいだと言う友人は1日遅れで現地に到着。前日にあちこち下見をして、いかに香港を楽しんでもらうかを塾考して友人たち2人を迎える。まるでお気楽妻は現地コーディネーター状態(笑)。
旅のメインはスカッシュの試合観戦だけれど、もうひとつ大切な目的があった。カクテルタイムに「モアシャンパン?」とスタッフがグラスに注ぎ続ける、グランドハイアット香港のクラブラウンジの名物(笑)“わんこシャンパン”だ。友人たちは2人とも飲んべで、中でも1人は度々ランスのセラーを訪ねシャンパンを大量に(自宅用として)買い付けるツワモノ。そんな彼女たちと一緒に延々とシャンパンを楽しめるのだ。ワクワク。
香港初日、さっそく31階にあるクラブラウンジに向かう。ヴィクトリアハーバーを臨む広々としたスペース。九龍半島側、尖沙咀(チムサーチョイ)の摩天楼群、九龍湾の巨大な埠頭や、香港島側の銅鐸湾まで望める大パノラマが目の前に広がる。「わぁ〜っ!凄いね!天井高い!素晴らしい眺めだね!」と、初訪問の友人が声を上げ、「良いでしょう♬」と、妻がまるで自宅を褒められたように嬉しそうに微笑む。
「豪華ぁ〜っ!」カクテルタイムに供される料理の数々は(以前より減ったとは言え)冷製オードブルからホットミール、チーズやデザートまでゼータクに並べられ、終了時間ギリギリまで補充される。その上、どれも美味しいのだ。少食のお気楽夫婦はここでの食事が夕食になってしまう。「どれも美味しい♬私たちもこれが夕食で良いよ!」レバーペーストを気に入ったと言う友人が満面の笑顔。それを聞いた妻も嬉しそう。
夕食はホテルのラウンジで取るなら、せっかくの香港、中華料理を食べるのはランチ、という事になる。そこで香港2日目は「香港大會堂(シティホール)」にある「大會堂美心皇宮」で飲茶。香港でも珍しくなったワゴン方式の巨大なレストラン。受付の前には大勢の人だかり、聞けば1時間待ちだと言う。そこで、私1人が残り、3人の奥さまたちでジェニーベーカリーまでお土産を買いに行くという作戦に。
「チャーシューパイ、追加しようかな」「腸粉、滑らか!本場は違うね」ハイテンションのまま、賑やかに食事を終える。やはり中華は大勢で食べるに限る。そして最終日は前日と打って変わって高級路線。フォーシーズンズ香港の「龍景軒」で、豪華なゼータクランチだ。前菜の盛合せに入れてもらったローストグース、チャーシューは感涙もの。「クラゲ、ヤバい!」クラゲをリクエストした友人も美味しい歯応えにびっくり。
そして真打ちは「海老ワンタン麺」。お気軽なワゴン飲茶の店でも、ミシュランの星付きの店でも、シメで食すべきは、これだ。なぜか奥ゆかしく、どの店でも具のワンタンは麺の下に沈んでいる。そのワンタンを表に浮かび上がらせ、インスタ映え(インスタやってないけど)する写真を撮る。これがお約束。「このゴム麺(香港麺)がたまんないんだよね♬」お気楽妻が日本にいても発作的に食べたくなると言う大好物。んまい。
「香港、やっぱりイイね」「来年もまた来たい!」友人たちのそんなセリフが妻にとっては最大級の賛辞。君は香港政府観光局か!と思うぐらい熱心に、いかに香港の魅力を友人たちに伝えるかを腐心した妻。思えば、ひと口も飲まない“わんこシャンパン”を、実に嬉しそうに、得意げに、友人たちに勧める妻なのだ。気が付けば今回で記念すべき20回目の香港旅行。お気楽夫婦は、つくづく、しみじみ、香港LOVE!
「香港ウィークのイベント観に行かない?」そんな言い方は、どうしても行きたい!というお気楽妻の意思表示。了解!とスカッシュレッスンが終わった後、東京駅に向かう。KITTE丸の内で行われていたのは、「香港ウィーク2018 Great Bay Area Showcase」という、香港だけでなくマカオや広州を含めたエリアのプロモーション展示。KITTEのアトリウムには、ド派手な電飾アーチで迎えてくれる展示スペースが出現。
アーチをくぐって中に入ると、この夏に訪ねた最近話題の「OLD TOWN CENTRAL」のイラストデジタルMAPや、元SMAPの香取慎吾くんの描いた壁面アートのレプリカが展示されていた。入場制限があり、やけに人気のイベントだと思っていたら、どうやら人気の理由はこれか。他にも精密に作られた香港の街並みのミニチュアが展示されており、旅情を誘い、今すぐにでも香港に行きたい!という気分が盛り上がる2人。
すぐに香港に行こう!という高揚感のまま、香港に向かったお気楽夫婦。思い立ったら即実行!がIGA夫婦のモットーだ。狭い路地に小さな飲食店が軒を連ね、通りの向こうには高層ビルが聳える。典型的な香港の裏通りの風景…に見える三軒茶屋の通称“三角地帯”だ。大山街道の道標を頂にし、国道246線と世田谷通りに挟まれた、一度入ったら脱出不可能な迷路のような小さな通りからなる、香港にも負けない魅惑的なエリアだ。
その迷路の中に、香港があるという噂を聞いて、三軒茶屋の三角地帯に向かった2人。ところが、事前に予約をし、店への行き方を調べたにも関わらず、散々迷った末にようやく店に到着。恐るべし三角地帯。その店の名前は「香港バル213」という、テーブル席3つと、路地に背中を向けて座るカウンター席4席だけの屋台のような小さな店だ。その小さなハコの中に、香港らしいエッセンスがふんだんに詰め込まれてる。
例えば料理のメニューが香港だ。日本では余りお目にかからないが、香港の飲茶の店ではフツーに何種類もある「腸粉(チョンファン)」という米粉のクレープに豚肉や海老を巻いたメニューが、この店には(海老の1種類だけだが)ある。お気楽夫婦の大好物で腸粉を「ちょうこ」と呼んで溺愛している。これはメニューにあるだけで素晴らしい。「これ美味しいね。初めて食べた!」と同行の友人。ふっ、香港ならもっと…。
「芥蘭がある!」妻が歓喜の声を上げる。アブラナ科の緑黄色野菜で、香港の食卓には良く登場するけれど、日本では滅多に見かけない。コリしゃきとした歯ざわりが心地良く、味はブロッコリーに似て(チャイニーズブロッコリーとも呼ばれるらしい)葉も茎もクセがなく美味しい。茹でてオイスターソースを掛けただけでも旨いし、ワンタン麺と合わせて食べると彩りも良く美味。こんな香港の味を三茶で味わえるなんて!
「海老ワンタン麺も食べたい!」香港に行くと3食は必ず食べるのが、この香港麺(輪ゴムのような細さで噛み切りにくい)のワンタン麺。お気楽夫婦はゴム麺と呼んで愛する麺。これも日本で食べさせる店が少なく、三宿の「新記」に行っては懐かしがっていた。サービスも香港並みの雑な接客(それがまた香港を思い出し、かなり嬉しい)で、美味しいのだけれど、遠いのが難。それが三茶の駅近くの店で食べられる幸福。
「香港の予習もこれで完璧だね!」そう、実は香港バルに集合したメンバーは、スカッシュ香港オープンに参戦(もちろん観戦のみ)する仲間たち。香港に行くのは20年ぶりくらいという友人と、前年にも同行したスカッシュ仲間。そんなメンバーで香港でのスケジュールを確認し、香港を味わいながら決起集会(笑)を開催しよう!という趣旨。そんな目的で集まるにはぴったりの店だった。さあ、香港に行くぞぉ!おぉっ!
「くぅ〜っ!辛くて美味しいっ!」香港への渡航直前、さらに予習を重ねるお気楽夫婦。ご近所の四川料理店に向かった。お気楽妻が喜んでいるのは麻辣牛肉麺。牛スネ肉と干し椎茸、ニンニクの芽が入った真っ赤な麺だ。香港には四川料理店が余りなく、予習というよりは、辛いもの好きの本能で食べたいと欲した模様。何れにせよ満面笑顔でご満足のご様子。やはり、食は香港だけではなく、東京にもあったということだ。
那覇初日、ホテルの窓から街を見下ろすと、煌々と光るネオンサインが目に付いた。目を凝らすと「BARサクラザカ」と読める。ん?なんと、その日の夜に行く予定の店。まるでお気楽夫婦を呼んでいたかのようだ。その店はシモキタにある行きつけの泡盛バー「Aサインバー2号店」の姉妹店。入ってみると狭い店とは言え、ほぼ満席。んんっ?店長らしき(何しろスタッフは1人しかいない)男性の顔は覚えがあるぞ。
話を伺うと、やはり彼は姉妹店「チャンプル〜」にいた事を確認。おつまみは缶詰だけ。珍しい天ぷら缶をお願いすると、「天ぷらは美味しくないから止めといた方が」とのこと(笑)。了解。3台もあるジュークボックス、「GORO」や「スコラ」などの懐かしい雑誌。何だか和める良い店だ。泡盛を2杯ほどいただき、また来ますと伝えると、「この店僕1人なんで、休みが多いから気をつけて」と、テーゲーなウチナー感満載。
瀬良垣の視察の後、再び那覇に戻り「壺屋やちむん(焼物)通り」を散策。前回の訪沖の際ものんびり散歩した、お気楽夫婦お気に入りのエリアだ。壺屋焼の販売店があったり、窯元や工房があったり、そして足元には壺屋焼の欠片が埋め込まれていたり、見上げると蔦のからまる塀の上にシーサーが睨みを利かせていたり。戦禍を免れた古い街並みが残り、昭和にタイムスリップしたような商店街に続く、街歩きのハイライトだ。
桜坂中通りを渡り、土産物屋、ゲストハウスなどが軒を連ねる平和通りに入る。1980年にアーケードが作られたと言うから、かなりの“年代物”。昼呑みしている観光客たちを横目に眺めながら、敢えて怪しげな路地に入り込む。何だか既視感があると感じ、あぁ、香港やバンコクの裏通りと似た街の香りだと気付く。これこそ那覇のまちま〜い(街周り)の醍醐味だ。そしていよいよ迷宮の中心、「牧志公設市場」に辿り着く。
戦後間も無く、闇市の露天商を集めたのがマチグヮー(市場)の始まりだと言う。建物の中に入ると、色鮮やかな海産物が並ぶ鮮魚店、チラガー(豚の顔の皮)やテビチなどが圧倒的な迫力で迫る精肉店、島マースをはじめ何十種類もの香辛料を売る店など、市場好きのお気楽夫婦がワクワクする空間が広がる。「楽しぃ〜っ♬」と目を輝かせた妻が自分用のお土産に激辛調味料コーレーグス(島唐辛子入り泡盛)を購入。324円の幸福。
市場の2階にある食堂では1階の店で買った魚などを調理して食べさせてくれるが、敢えて市場の近くにあるソーキそば専門店「田舎」へ向かう。看板メニューのソーキそばが390円、ラフテー入りの沖縄そばが450円。決して清潔とは言い難いし、愛想が良いとは全く言えないし、今まで食べた事のない美味しさとは思わないが(笑)、素朴に美味しい。2人で840円の口福。観光客に媚びない営業方針(たぶん)を貫く姿勢が好ましい。
那覇の夜の掉尾を飾るのは、「沖縄料理と泡盛の店 カラカラ」と言うホテル近くの居酒屋。前回の訪沖の際に偶然通り掛かり、気になっていた店だ。ホテルの近くで沖縄料理の美味しい店を検索すると、この店に当たった。果たして私の嗅覚は?と店に入る。瞬間、当たり!と分かる店の空気。小綺麗でありながらワクワク感満載の内装、料理と泡盛(何と50種類以上!)をはじめとしたドリンクメニューも豊富。これは楽しみだ。
店名にもなっているカラカラ(泡盛用の酒器)で、さっそく泡盛をオーダー。*ビールは(シャンパンも!)ホテルのラウンジで頂いて来た。琉球料理かりゆし3種盛り「ドゥルワカシー」「ミヌダル」「クーブーイリチー」という、どれも大好物のメニューに感涙。都内の沖縄料理屋ではこの3種が揃う店は珍しい。「この店に来た甲斐があったねぇ」と彼女の好物でもあるウチナー料理を味わいながら、妻が満足そうに微笑む。
那覇滞在中のホテルは、瀬良垣泊の前後2泊とも「ハイアットリージェンシー那覇 沖縄」だった。まちま〜いに便利で、マチグヮーにも近い。お気に入りになった2軒の店どちらにも徒歩1分!「良い旅だったねぇ。ウチナー料理もかなり美味しかった♬また来なきゃね!」と、妻の最大級の賛辞。そこで、ふと窓の外を眺めると、うわ〜!遠く打上げ花火が上がる。と、最後までマーサン(美味しい)ウチナーの旅だった。