毎年10月の連休に、自由が丘最大のイベント「自由が丘女神まつり」が開催される。そして、その日程に合わせて、マガジンハウスが「Hanako」自由が丘特集を発売するのがお約束。今年の特集タイトルは「気になる、自由が丘。」という気になるキャッチだ。毎年、イベント初日に「Hanako」を買って、スカッシュ仲間と一緒に自由が丘の街を歩くのが恒例。今年の街歩きのテーマはNEW OPENのパン屋巡りだ。
晴天に恵まれ、いつもの年よりも一段と来街者でごった返す街を歩き、「Luz自由が丘」1階に昨年11月にOPENした「なんとかプレッソ」に向かう。なんともふざけた店名だけれど、オシャレな店内に、かわいい小ぶりなパンがずらっと並んで…いない!売り切れ間近のパンをすかさずGet!。これはいかん!と慌てて2軒目の人気店「バゲットラビット」へ。ブティックのようなディスプレーに「きゃーっ!ステキ」と友人の歓声。
看板商品は店名を冠した「バゲットラビット」をはじめ、4種類のバゲット。他にも人気のブール、デニッシュなど、魅力的なパンが並ぶ。パン好きの妻は買い占めたい気持ちを抑え、翌日の朝食用のパンと、冷凍保存できるパンをお買い上げ。「やっぱり良いなぁ、自由が丘」「だねぇ」などと友人と語りながら、予約してあった「ビストロ ハムサ」に向かう…途中の専門店で傘のお買物。歩いて楽しく、買物にも便利な街だ。
「BISTRO KHAMSA(ビストロ ハムサ)は、今年5月にOPENしたばかりなのに、すでに人気の店。KHAMSAとは、アラビア語で「5」を意味し、店のロゴにも使われている5本指のことで、邪視から身を守るための護符でもあるという。インテリアもモロッコランプやゴブラン織りのカーペットやクッションなど、モロッコテイスト満載。料理もモロッコ(かつてフランス領だった)とフレンチが融合したモロカンフレンチビストロ。
メニューもリエットやパテなどのシャルキュトリが充実し、タジン鍋の料理がウリだったり、クスクスがサイドメニューで追加できたりと、まさにモロッコとフランス料理の良いとこ取り。「クスクスって美味しいね。初めて食べた!」という仲間に世界最小のパスタと言われている事、量の調整が簡単だから少人数の料理にぴったりなことなど、ウンチクをひとくさり。そのクスクスが魚介出汁のスープに良く合って実に旨い。
「デザートも行っちゃおう♬」その日のメンバーには大酒飲みはおらず、私の酒量も控えめ。まるで(いつもながら)女子会のような、そんな日はデザートとコーヒー、紅茶というシメもありだ。「二子玉プリンちゃん、気になってたんだ〜❤️」「あぁ〜、やっぱりこんな時間が必要だなぁ」その日のメンバーは、ガッツリ仕事をしている女子3人。彼女たちのストレスが、じんわり減っていく様子がなんだか嬉しい。
翌日。祭りの後、宴の後は、満足感と心地良い虚脱感がうっすらと残る。街は前日までの賑わいとはまた違った顔。落ち着きが戻る。小春日和の穏やかな陽気に誘われ、緑道でランチを楽しむ人たちがベンチに並ぶ。実に平和な光景だ。桜の頃や、クリスマスシーズンも心踊るけれど、やはりこの季節の自由が丘がお気に入り。この街に関わり始めて10年を超えた。それでも新鮮に、あぁ良い街だなぁと思う時間だ。
秋だなぁとしみじみ。そこで、おじいちゃんのモンブラン、食べたくない?と会社のスタッフ(モンブラン創業者のお孫さん)に尋ねると、「食べます!食べたい!」と尋ねた相手とは違う方向から返って来る。では全員分買って来るようにとお願いすると、「顔を知ってる人がいて、孫割引してくれました♬」と嬉しそうに帰って来た。そんな長閑で温かい商売もできる街。やっぱり良いなぁ、自由が丘。
「ん。良いね」と妻も同意。きっとずっと気になり、きっとずっとお気に入りの街。自由が丘LOVE❤️。
数年前、自宅マンションのリノベーションの際に、2ヶ月程中目黒の住民になった。中目黒と言えば、レベルの高い飲食店が多い街。これ幸いと毎晩のように(週末は朝から)食べ歩き、飲み倒した。*もちろん順番は逆で、そのために中目黒を仮住まい先に選んだのだけれど。仮住まいを終え、我が街に戻り、かの街と比べ寂しく思ったものの、ご近所にもなかなか良い店があるではないかと飲み歩く毎日だ。ん?どこに住んでも一緒か?(笑)
例えば歩いて2分程の場所にある「さんぱち(38)食堂」は、定食屋のような名前ながらこぢゃれたビストロ。オードブルの盛合せをオーダーすると、その店の料理の水準が分かる。パテドカンパーニュなど、自慢の料理が少しづつ盛り付けられたこの店の皿は、堂々たる風格。「良いねぇ、この店♬」ある日同行したスカッシュ仲間も満足そうに頷く。スタッフの(イケメン)フランス人留学生を評価している可能性もあるけれど。
さらに近い場所にあるのが、ベルギービールを豊富に揃えたダイニングバー。歩いて数10秒の距離。お気楽夫婦は、この店に来る度に「メガ盛りポテト」をオーダーしてしまう習慣がある。カリッと、サクッと、上手に揚がっているフリッツは、止められず止まらない。ベルギーの白ビール「ヒューガルデンホワイト」の生が実に合う。ぐびっと飲み干して2杯目をオーダー。1杯目はすぐに飲んでしまい、撮影はいつも2杯目。
妻のドリンクは辛口のジンジャーエール。大きめの氷と一緒に、わざわざオーダーしなくても、自動的に出て来る仕組み(笑)だ。この店には、他ににもムール貝の白ビール蒸し(もちろん白ワイン蒸しもある)や、フィッシュ&チップスなど、ベルギーのバーにあるようなメニューが揃っているし、ゴーヤチャンプルーのような日本ならではのメニューもある使い勝手の良い店だ。こんな店が近所にあるのは幸福なことだ。
こぢゃれた店だけではなく、夜な夜な小宴会が繰り広げられるディープな店もある。店名は明らかに蕎麦屋なのに、その実態は夜遅くまで営業している居酒屋。メニューも、板わさ、卵焼き、天ぷらなど、お馴染みの蕎麦前のつまみだけではなく、鯖の塩焼きや刺身まで揃っている。客の大半は(我々のように)蕎麦をひと口も食べずに帰って行く。店内の棚を見ればボトルキープの焼酎瓶がズラリと並ぶ。これは明らかに居酒屋だ。
お気楽夫婦が立ち寄る店は、いずれもこの街ならではの店が多いのだけれど、チェーン店にも嬉しい店がある。その一つが「肉汁餃子製作所ダンダダン酒場」だ。1号店は調布。スカッシュの帰りに頻繁に立ち寄る小さな店だった。それがあっという間に人気が出て、下北沢、明大前、新宿、渋谷、中目黒とお店が増え、何と今や全国で60店舗を超え、我が街にもOPENというスピード出世ぶり。凄い!そして何だか誇らしい。
嬉しいのは肉汁たっぷりの餃子の味が変わらないこと。山盛りのメンマ、ウズラの卵など、大好きなメニューが引き続きあること。残念なのは「当店の餃子の召し上がり方はご存知ですか…」などと若いスタッフに説明されること。こっちは1号店しかなかった頃から通ってんだ!と思いながら、知ってますと穏やかに答える。よくぞあの小さな店からここまでと、感慨に耽りながら生ビールをグビリ。餃子をぱくり。幸福だ。
もう1軒、最近元気な店がある。数ヶ月に1度、ビストロを名乗る小さな食堂だ。ある日のメニューは「まかないロールキャベツ」と「生ハムとシャインマスカット、ブルーチーズのサラダ」。賄いと巻かないを掛けたメインのキャベツ料理は、常連客の妻にも好評だった。仕事を続けている現在は不定期営業だが、何年か後にはほぼ毎日営業になる予定だ。「ん、良いね」妻の感想は短いが、まぁ良いか。この店が1番の御用達。
繋がるまで何度電話しただろう。予約の開始は1ヶ月前の13時30分。もしかしたらと事前に掛けても虚しく音声案内が流れるだけ。そして開始時間から何度リダイアルしても、話中の音が聞こえるだけ。かつての「チケット○あ」状態。何十年も前に、ネット予約はおろか、音声自動応答受付もなかった頃、「チケット○あ」コールセンター長だった自分を思い出す。あぁ、あの頃のお客様は、きっとこんな気持で電話を…。(涙)
何日かトライし、ようやく電話が繋がった後の店のスタッフの応対は、意外な程にゆったりと落ち着いていた。やっと繋がったのだと伝えると、今ぐらい(夕方)が比較的繋がるんですよとの答え。とは言うものの、1ヶ月先の日程は満席。ところが、その当日を含め何日か空きはあると言う。さすがに当日は無理として、他は予定が入っていた週末。えぇいっ!何とかしよう!と、席を予約。予定を変更し、同行者も確保した。
渋谷の駅から歩くこと数分。待望の居酒屋「高太郎」は、桜ヶ丘の小さな路地にひっそりと佇んでいた。…と、誰もがこんな描写をしがちだけれど、本当にそのままの風情。この周辺に土地勘があるお気楽夫婦は迷わず行けるけれど、同行のM嬢は「一人じゃきっと来られない!」と言うロケーションだ。店に入るとすぐに厨房とカウンタ席、奥に4人掛けテーブル3つ。和やかで幸福そうな雰囲気に満ち、良い店だと直感させる。
眺めているだけでも楽しいメニュー。どれにしようかと迷っている絶妙のタイミングで、スタッフから「お任せでいかがですか」と声が掛かる。どうやら客の多くはお任せで料理を頼むらしい。そこで少食なのでと伝えると、ではポーションを小さくしましょうと返ってくる。それは嬉しい。色々試したいし、店のオススメも食べてみたい。「ポテトサラダとメンチカツはぜひ食べていただきたい」とのこと。それでお願いします♬
初めに刺身の盛合せ。タコは塩で、カマスはワサビ醤油で、そして秋刀魚は肝醤油でいただく。それぞれのキャラが立ち、魚によって食べ分ける味の組合せも楽しい。これは良い出足だ。そして期待の「燻玉ポテトサラダ」と言う店の名物料理。ポテサラ好き、燻製好き、ゆで卵好きとしては、直球どストライク。これはポーションを大きくするか、お代わりをしたかった。次回にトライしよう。そう、この時点で再訪を決めた。
「熱いのでお気を付けください」と供されたのは、香ばしく、いかにも旨そうな面構えの「チコリとつぶ貝のグラタン」だ。熱々のチーズ香りとチコリの苦味、ツブ貝のコリコリとした感触が良い組合せ。これは良いね。ところで、いったいこの店の料理のカテゴリは何なんだろうと悩む完成度の高い味。そうか、悩むことなどなく、ここはオトナのための美味しい居酒屋だ。美味しい料理、旨い酒、居心地の良いスペース。
小ぢんまりとした店だから団体客は入れない。隠れ家風の敷居の高そうな店構えと、そこそこの料金だから、ワカモノには向かない。かと言って気取った料理ではないから気軽にリピートできる。電話さえ繋がれば、だけれど。「メンチカツ食べて初めて美味しいと思ったなぁ♬」もうひとつの名物料理「讃岐メンチカツ」に妻が驚く。揚げ物LOVEの私としては、自分が褒められたように嬉しい。これもまた中毒性のある味だ。
「最後のうどんまで食べられたね!」少食だと言いながら、シメの(毎日打っていると言う)手打ちのぶっかけうどんを平らげた。さらには、他にもいくつかの料理と、乾杯のビールの後には日本酒を4種もいただいた。どこが少食だ!と言う突っ込みはさておき、料理メニューには他にもそそられるモノがあり、やはりぜひ再訪したい店だ。「うん、また来よう!」と、お気楽妻も納得。では、また頑張って電話しようか。
*スタッフにその先の空いている日程を聞くと、残念ながらいずれも予定が合わず断念したが、1ヶ月以内の空いている日なら店内での予約も可能だ。ご近所にあったら、ヘビーユーザーとして月イチで通いたい店だ。